表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
契約の種  作者:
2/4

第2話

 

 ──夢を、見ていた。

 目の前に、小さい頃の私がいた。夢の視点は小さな私の一歩後ろで、音は聞こえない。

小さな私は、ワイヤレスもついていない古い受話器を両手で持ち、誰かと話をしている。

──そういえば、あの受話器は私が引っ張り落として壊してしまったのだ。…懐かしい。

 小さな私は電話をしながら、嬉しそうに笑っていた。たぶん、両親のどちらかがかけてきたのだろう。二人とも明るくて優しい両親だが、昔から父はしょっちゅう仕事で出張していたし、母も仕事で夜は遅かった。

だから、小さい頃はいつも家に1人で、正直寂しい思いをしていた。

成長した今は、そうでもないけれど。

 そんな事を考えているうちに話は終わったらしい。

小さな私は背伸びをして受話器を置くと、そのまま駆け出して玄関に向かった。

どうやら、外で両親が帰るのを待つつもりらしい。

 鍵を開けて外にでると、外では星が輝いていた。

 小さい私は最初、おとなしく玄関の階段に座っていたが、どうにも待ちきれなくなったようで、走り出した。

その時、駆けだした私の視界を真っ白な光が、覆い尽くした──



 『──ぃ…』

誰かの声が聞こえた気がする。

「おい」

今度は、はっきりと聞こえた。

私はうっすらと目を開け、意識がはっきりとしないまま、窓のほうを見た。

外は真っ暗で、星が出ている。

(夢の続きか)

そう思い、再び目を閉じようとしたとき…

「おい、そのまま寝たら風邪引くぞ」

と、声がした。私は眠い目を擦りながら体を起こした。ドアのほうを見るが、誰もいない。

 ふと、窓のほうを見ると、外の闇以外の、他の影があった。

訝しんで目を凝らしていると、外で風に揺れる緑の音が聞こえ、雲に隠れていた月が顔を覗かせた。光が、部屋に差し込む。

 ──影が、浮かび上がる。

「!!」

私は大きく目を見開き、後ろに後ずさった。眠気は一気に吹き飛んでしまった。

「──な…なんで!? どうしてあなたがここにいるのよ!!」

 月の光に浮かび上がった、影。

夜に溶け込むような黒髪、変わった格好、そして暗闇の中でも存在感を失うことのない、緑の瞳。

──あの、少年だった。





主人公達、まだ名前が出てきていませんがちゃんと用意してあります。もう少し話が進行したら名乗らせますので!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ