メトロノームは動かない
勉強も運動も人一倍できる有賀浜一は入学式で言われた校長の言葉でふと自分何がしたいのかわからなくなった。そんな不器用な彼は彼女によって自身の目的を一緒に見つけようとする…
『私はわからない自分の気持ちも理由も人間味のある感情も』
彼女のその言葉が4月後半にしては早い湿った空気にこだました。
4月9日、俺有賀浜一は高校生に変身した。新しい制服、カバン、環境など当たり前だが中学の時とは違う空気感があった。緊張している。少し汗っぽい。4月とはいえ日が当たるためかなり暑い。しかしこの汗が暑さによるものなのか、それとも緊張によるものなのか、俺にはわからなかった。別に連れを作るのに不安があるわけではない。正直コミュニケーションは得意な方だと自負しているし、勉強も特段できないわけではない。しかし高校生という肩書きが俺の体にのしかかっているのだろう。
『連れくらい早く作りなさいよ』
『心配しんでもわかってるってるよ』
母さんはいつもそうだすぐにおせっかいを焼く。でも母さんなりに俺の事を考えてくれてるのだと俺は思ってる。だからあまり高校で問題は起こしたらあかんな。俺は体育館の椅子に座り式が始まるのを待っていた。俺も高校生か。つい最近まで受験受験ってアホみたいに勉強してたけど、いざ入ってみるとあっけないな。ってかあれ、みんな背高くない。俺の身長は175cmあるからみんな高身長なんかなーとか考えていたら、横からくすくす笑い声がする。母さんを見ると
やりやがったみたいな目で俺をみてくる。あれ。あれ。みんな起立してない?先生らしき人が笑いながら『起立やで』と教えてくれた。俺は急いで立ち上がったが、椅子を倒してしまい。全員からの注目の的に。四面楚歌とはこういうことか。俺は実感した。
式も後半になり校長の話である。『自分で夢中になれるものを作ってください』そんなこと言ってた。俺の夢中になれるものってなんだろう。痛いところをつかれた。わからない。俺のやりたいこと。別に頑張らなくても勉強や運動はできたし、人間関係も良好だった。そんなメトロノームのような俺に何があるっていうのだろう。いやそもそも動かしてもないだろう。
少しもやっとした空気で体育館を後にした。
教室では担任の挨拶くらいしかなかった。明日自己紹介するらしい。まあ、ただの面倒なだけやでいいか。SHRも終わり帰路に着こうとした時、俺の席の右上の席の人の筆箱が落ちた。相当勢いよく落ちたのだろう。俺の席まで飛んできていた。拾って渡してあげると『ありがとうございます』と顔の表情ひとつ変えず言った。これが俺と彼女の出会いだった。
こんにちは。いや夜に読んでいるならこんばんわかな。
筆者の風鐸です。一応週1くらいをペースに頑張っていきたいですね。たぶん大体日曜に上がるかな。まあぼちぼち頑張るんでよろしくお願いします。




