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6話 大帝国へ

「強くなるにはどうしたら良いのかしらね」


 フルール家の訓練場にてアルスの問いかけがライガに投げかけられる。


「ひたすら訓練する。もしくは実戦じゃないですか?」

「そうよね。良し! 行くわよ!」

「えっ? どこに?」

「大帝国の領土によ」

「本気ですか?」

「本気も本気よ。お母様だって領土を3割奪ったんだもの。お母様を超えるならあたしだってやらないとね」

「その理屈は分からなくはないですけど良いんですか? 許可とか取らなくても」

「許可は必要だけど簡単に出るわよ。大帝国は敵だからね」


 大帝国は魔法ではなく人類の力を信じており魔法を使う者を軟弱者としている。魔法を絶対としているオズワルドとは決して相入れない存在なのだ。そんな国に攻撃を仕掛けるなら許可は簡単に下りるのだ。


「今だと大帝国の南を攻撃中だからそこに混ぜて貰いましょ」

「了解。他の騎士団員も連れて行きますか?」

「必要ないわよ。優秀な魔法を使えるだけの奴らなんて。王宮勤めの人達なら連れて行きたいけど彼らはお母様の命令でしか国外には出られないからね」


 王宮勤めの騎士団員は元はフルール家の騎士団員所属でありアリスとアルスの両王女もある程度の命令権を持っているが流石に国外へ連れ出すほどの命令権はない。


「お母様に出撃の許可を得て来るから準備しなさい」

「分かりました」


 訓練場を飛び出すとアルスはすぐに戻って来た。


「許可は簡単に降りたわ。丁度援軍数名と物資を戦地へと送る予定だからそこにあたしたちも混ぜて貰う事になったわ」


 との事でオズワルドの壁外に2人は行くと馬車が5台あった。その内の最後尾にある馬車から1人の男が下りてライガたちに近づく。


「アルス様。女王陛下からお話は聞いております。私は補給部隊隊長のタイズです」

「よろしくね。こっちはあたしの専属騎士の」

「ライガです。よろしくお願いします」

「なるほど専属騎士が出来たのですね。それで実戦でどれだけ使えるかの確認ですか」

「まぁ、そんな所ね」

「それではアルス様たちは最後尾の馬車に乗って下さい。すぐに出発します」


 そうして馬車に乗り込むとそのまま出発した。オズワルドから大帝国へは北へ300キロ先にある。車を引く馬は魔力で作られたもの。そのため普通の馬車よりも速い。そのため2日もあれば着く。


「現状戦地はどうなってるの?」

「厳しいですね。大帝国が新たな兵器を開発したようでしてね。魔法騎士クラスでないと対応出来ずに一般兵士が死んでいますね」

「五大星は?」

「流石に出張ってないようですね」


 戦地での現状を確認するアルスと補給部隊員の会話を黙って聞いていたライガだが、


「五大星ってのは何です?」


 知らない単語が出たので会話に混ざる。


「大帝国の最高戦力5人よ。大帝国は東、西、南、北、中央のエリアがあってそこを仕切っているの。そして今回は南エリアを攻めているの」


 オズワルドは何度も何度も大帝国を攻めているが相手は強大で全く落とせずにいる。それでも現女王は3割の領地を奪ったのだからそれは偉業と呼んでいいだろう。


「お母様を超えるなら3割以上は領土を奪いたいわね」

「お母様を超えるですか。大変ですよ。お母様が強いのもありますが大帝国はお母様が現役時代よりと強いですから」

「上等よ。最強の女王を超えるならそれぐらいの困難じゃないと張り合いがないわ」


 そうして2日かけてオズワルドと大帝国の国境付近に着くとそこかしこで爆撃音が耳に響き死臭が鼻を襲う。


「とんでもない数の人が死んでますね。これは」

「初めての戦場でその感想か。死臭がきつくてたいていの新人は吐くんだがな」

「最近死体を拝んでいたおかげですよ。それがなかったら吐いていたかもしれませんね」


 クウガの両親の死体を見た事が活きるとは思わなかったがおかげで戦場で醜態を晒す事にはならなかった。


「うるさいわね。それじゃあこの戦場を静かにしてやろうじゃない。行くわよ! ライガ」

「了解」


 早速戦場へと向かおうとするアルスとライガをタイズは止める。


「やる気があるのは結構ですがまずは先行している部隊への挨拶が先ですよ。報告から2日が経過していますから戦況も変わっているでしょうから確認が必要です」

「え〜、そんな事するよりも帝国の兵隊何十人か潰した方が良くない?」

「ダメです。ほら、行きますよ」


 不服そうなアルスであるが戦場ではタイズや他の兵隊の方が先輩なので渋々着いていく。戦地から少し離れた所にオズワルドの遠征拠点がある。


「補給部隊隊長のタイズだ。それから第二王女のアルス様と専属騎士のライガだ」

「はい? アルス様が! 何で!」

「これは、勝てるんじゃ!?」

「まだ分からないが希望は出たな」

「いや、実戦経験がないだろ。戦場は訓練と違うぞ」


 戦地に現れたアルスに様々な言葉が兵隊から出る。


「それで? ここの責任者は誰? 戦況はどうなっているの?」

「はっ! 私が今回の遠征の責任者のハルです。戦況は非常にまずいです。向こうの新兵器のせいで騎士団員クラスじゃないと対抗出来ずに死体の山が積み上がっています」

「最悪ね。でも安心なさい! あたし達が来たからには戦況を変えてやるわ! 行くわよ! ライガ」


 今度こそやってやるとばかりに戦場へと飛び出すアルスにライガも続く。


「さぁ、あたしの初陣張り切って行くわよ!」


 大帝国を重力が襲う。

次回は戦闘シーンありとなっております。お楽しみに〜

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