40話 宣戦布告
魔人、ギールスと会合したアルスたちのもとに意外な人物が乱入する
「目的は一致した。俺は魔人として長い時を過ごして来た。その過程で魔法についてはお前らよりも知っている。そんな俺からの指導を受けたらお前たちは魔法使いとして遥か高みにたどり着けるだろう。そうすれば魔神が相手であっても勝機が僅かながら出てくる」
「僅かじゃ困るのだけど。私たちが求めているのは絶対な勝利なの。100勝てると言い切れるほどに強くしなさいよ」
「100勝てると言えるまで強くしろって言うけどな。俺は魔神の強さを口伝でしか知らない。オズワルド襲撃の際に力を解放したようだがその時は大帝国からの脱出に精一杯だったから感知出来なかったんだよ」
なんて会話をしている面々の前に、
「俺も強くして貰おうか」
「ライガ! もう起きたの!」
ライガが現れる。
「まだ寝てろよ。死にかけていたんだからよ」
「医者の言う事は絶対だとでも言うのか? そんなもんクソ喰らえだね。何せ相手の目的が分からないんだ。俺が寝てる間に相手が目的達成して負けましたなんて笑い話にもなんねぇ」
「だから寝てる暇がないってか。志は立派だがそれは自殺行為だぞ。急がば回れって言葉を知らないのか?」
「あいにく教養がないんでそんな言葉知らねーよ」
バチバチと火花が散りそうなメンチの切り合いをする2人に対して叱責の言葉をアルスが投げようとしたところで
「面白いメンツね」
「「「「「「「!?」」」」」」
ライガとメイカの間にアリスが現れた。それと同時にライガは抜刀術で首を刎ねようとしたのだが空振りに終わる。
「敵と認識した瞬間に首を刎ねる。素晴らしい判断の早さですね。優秀な騎士を持てて良かったわねアルス」
「お姉様。一体何の用があってこのような場所に」
「魔人の魔力を感知したのよ。私は現存する魔人は処理したつもりだったから取りこぼしを始末しようと思ったのだけど周りに人間の魔力もあるのを感じたらそれが可愛い妹と女王の座を争った者たちがいるのを知ったからこうして分身体を送った訳。そして、その目的は宣戦布告よ」
「宣戦布告」
「私は魔神として莫大な魔力を手に入れた。この魔力を使って『創世』魔法を行使します」
「創世魔法だと! 俺たち魔人が活躍した時代にすら使い手は存在せず神話でしか語られた事がない究極の魔法だぞ!」
「流石に魔人はその魔法の存在を知っていましたか」
「創世魔法ってのは何よ」
「新たに創り出すのよ。モノでも生物でも何でもね」
「はぁ! 何よそのデタラメな魔法は」
「そんなデタラメな魔法で何をしようというのかしら。アリスは」
「世界を創世します」
「は?」
アルフリートからの質問に対してのアルスの回答には? という言葉が誰かの口から漏れた。だがそれも当然だ。世界を創世するなんて言われたら誰だって同じような反応をする。
「この世界はあまりにも生きづらい、私たちのような弱い存在には。そうした弱い存在の救済のためにも世界を創り直して魔力をなくします。王族や貴族といった階級をなくして平等な世界を作り直しのが私の目標です」
アリスの目的のスケールのデカさにほとんどが黙る中メイカは尋ねる。
「アリス様。貴女は平等な世界を目指している。それは素晴らしい事だが指導者がいないと文明の発展がなく人類は滅亡してしまうのでは?」
「そのような視点は大事ですね。もちろんそれを考えなかった訳ではありせんよ。もし人類が滅亡するようならその時はまた創世魔法が発動するようにしています。その他にも保険はあるので安心してください」
「安心出来る訳がないでしょうが! 結局はあんたの理想の世界を押し付けているだけでしょうが!」
ステンノの言葉は正しい。アリスの目的は簡単に言ってしまえば自分の求める世界を押し付けているだけだ。
「そうね。その通りだけど。それの何が問題なのかしら? 確かに貴女たち恵まれた者たちにとっては損でしかないでしょう。でもね、そんな事は私の知った事ではないの。私は弱者の味方でありたい。貴女たち恵まれた者たちが堕ちても構わない」
「だから世界を創り直すのですか」
「そうよ。アルス」
「だったら私はそれを止めますよ」
「何故?」
「強者が不利益を被っているからです。本当に平等な世界を求めるなら弱者を強者へと押し上げる方法もあるのでは? それをしないのは魔神の力を得る前のお姉様同様に弱者へとなって欲しいという私怨を感じます」
そのアルスの言葉にアリスは、
「そうね。私怨ね。だとしてもやり方は変えない。私はこのやり方で弱者を救済するわ」
「そうですか。それなら争うしかありませんね」
「争いにならないわ。修行で私に勝てるとは思わないしそもそも貴女たちの修行を終わるのを待つ気はない。魔神の力が安定次第、私たちは極点にて創世魔法を行使します。実行は今から一週間後。止められるものなら止めてみなさい」
そう言ってアリスの分身体は消えるのであった。
「さぁ! 魔人! 修行開始よ! お姉様に勝つための修行! お姉様は一週間後と言ったけど極点へと移動を考えたら3〜4日で修行を終えないといけないんだから!」
「そうだな。覚悟しろよ。人間に耐えられるような修行を行うつもりはない。地獄を味わって貰おう」
地獄の修行が始まる。
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