4話 消えた親友
4話投稿となります。
騎士初日に第二王女、アルス・フルールの専属騎士となったライガ。
「あんたにはあたしの騎士として相応しい装いをしなきゃいけないわ。だから街に出るわよ」
「それは構わないのですが着任したばかりで金がないです」
「そんなのあたしが出すに決まってんでしょ。そもそもあんたら騎士じゃ買えないような高級品を買うんだからね」
そう言ってフルール家の屋敷の中のアルスの部屋前に連れて行かれる。
「あんたのせいで服がボロボロだから着替える。覗いたら殺すから」
「分かりました」
覗くなんて思考はなかったがそんな事を言われたら逆に気になる。ソワソワしていると隣の部屋の扉が開かれて絶世の美女が現れた。アルス同様の金髪ロング。違う点はアルスよりもグラマラスボディをしている事。そんな美女に顔を赤くするライガ。
「あら? 見ない顔ね。どちら様かしら?」
「今日から魔法騎士に着任しましたライガと申します」
「そうだったのね。でも何故ここに?」
「実はアルス様の専属騎士に任命されまして」
「あらあら、あの娘専属の! と言う事はあなたはとても強い魔法使いなのね。あの娘ったら自分より強くないと嫌だと言って中々専属騎士を付けなかったんだから」
そう言って笑う女性に、
「それで貴女は」
誰なんですか? と聞こうとしたらアルスの部屋の扉が開きお忍び用の服装に着替えたアルスが出てくる。
「準備出来たわよ。それじゃあ、、、、あら? お姉様どうしたの?」
「お姉様!? つまり第一王女の」
「ふふっ、初めまして。第一王女のアリス・フルールと申します」
「申し訳ありませんでした! 仕えるべき相手に気づかないなんて!」
そう言って頭を下げるライガ。
「大丈夫よ。第一王女ではあるけど私は魔力がない落ちこぼれ。表舞台に出ないのだから知らなくても当然よ」
「自分を下卑しないで下さい! お姉様! 魔法の才能は恵まれずともそれ以外の才能は他の後継者を凌駕しているんですから! 堂々として下さい」
「そうは言ってもね。ここはオズワルド。魔法が全ての国だから。どんなに色んな才能があっても魔法の才能がなきゃ意味がないの」
「自国ながら歪んだ国ね。絶対に王女になって変えてやるんだから」
「ふふっ、貴女なら絶対に出来るわ。それよりもその格好は? どこかに出かけるの?」
「えぇ、今から私の専属騎士として相応しい服をライガに買い与えようと思って」
「そうなのね。気をつけて行くのよ」
「分かってますわ。行くわよ、ライガ」
「分かりました。それでは行って参ります」
アリスに別れを告げて2人は街に出る。
「お出かけ用の服装とはいえ気付かれないもんですね」
「着飾ってなければ王族だと分からないものなのよ」
「そういうものなんですね」
なんて言いながら目的の場所に着く。
「ここでスーツを買うわよ」
「スーツですか?」
「王族の専属護衛に相応しいのはスーツだと相場が決まっているのよ」
(スーツだと戦いづらいからやだな)
なんて考えるが文句を言う立場ではないので案内された店に入ると店主の老人が話しかける。
「これはこれはアルス様。お久しぶりでございます」
どうやらアルスの事を知っているらしい。
「ここは王族や貴族専門のスーツ店なの。爺や、今日からこの男、ライガが私の専属騎士になったの。だから、私の騎士と相応しいスーツを用意してちょうだい」
「ほう! アルス様の専属騎士がとうとう決まりましたか。そう言う事なら喜んで選びましょう。それではライガ様こちらへ」
「はい」
そうしてライガは店主セレクトのシンプルな黒のスーツを着てアルスの前に出てきた。
「良いじゃない。これこそが専属騎士のあるべき姿よ」
「満足いただけたようで何よりです。お代はこちらになります」
(どんなもんなんだ?)
アルスに渡された料金表をチラ見するライガ。そしてギョッとする。
(高級スーツっても所詮は布じゃねぇのかよ! こんにするのかよ!)
自分の手持ちでは絶対に払えない金額。そんな金をポンと払うアルス。流石は王族だ。
「さぁ、帰るわよ」
スーツを買って目的も達成して帰ろうとするアルスに、
「申し訳ないのですがアルス様。お願いがあるのですが会いたい奴がいるんです」
「ん? 会いたい奴?」
「俺の親友でクウガって奴なんですけど魔法騎士にはなれなかったんです。魔法が使えないから。でも! そこらの騎士団員よりも強いんです」
「ふ〜ん。魔法が使えないね。まぁ、この国でそんな奴が人権を得るのは難しいわね。それに魔法騎士って名称に魔法があるのに魔法が使えないなら落とされるのも仕方ないわね。そいつに会いたいの?」
「試験が終わってから会えていないんです。今、どうしてるか気になって」
「時間はあるし良いわよ」
許しを貰ったのでクウガの家に向かう。その道中にて、
「あたしが女王になったらそのクウガも専属騎士にしたげるわ。あんたは魔法騎士としてクウガをただの騎士として」
「ほ、本当ですか!?」
「魔法を使えない男を騎士にするのはオズワルドという魔法主義の国を壊す一歩になりそうじゃない」
アルスはクウガを騎士として雇うという考えを持っていた。それはライガにとって有難い話だ。
(やったぜ! クウガの夢を叶えてやれそうだ。幸先が良いぞ! クウガ!! 俺たちの夢は叶うぞ!!)
そんな嬉しい気持ちを持ってクウガの家に到着したのだが、
「何よ凄い人だかりじゃない」
「そうですね。何かあったのか? お〜い何かあったのか?」
クウガの家近くに人だかりが出来ていた。疑問に思ったライガは人混みにいた1人に話しかけるのだが返ってきた答えは、
「オウリュウ夫妻が死んだんだよ。犯人は出来損ないの息子だってよ」
「は?」
ライガが両親を殺したというものだ。
(あいつが両親を殺した? なんで? 確かにゴミみたいな両親だったがあいつが殺しをする訳がねぇ)
そう思って人を押し除けて家に近づくとそこにはクウガの両親の死体があった。綺麗に首と胴が離れ離れになっていた。その切り口の鮮やかさは紛れもないクウガのものであった。
「ウソだろ、、、、お、、、、おぇぇぇぇ!! ゲホゲホッヴォェェェェ!!」
信じられない事が起きて吐いてしまう。ライガ、
「ちょっと!! 大丈夫!!」
心配そうに近寄るアルス。そんなアルスを視界の端に捕らえたのを最後にライガの意識は消えるのであった。
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