39話 魔人との交流
落ちこぼれ集落の一角にて天才魔法医メイカの手によって治療を受けたライガ。
「これで完治した訳だが死にかけだったから当分は目を覚さないぞ」
「むしろあれだけの重症を治して貰えたのは助かるわ」
「そうね。平民とはいえ雷魔法を極めたような実力者を失う訳にはいかないものね」
「そうですね。戦力は多いに越した事はありませんからね」
現状の最強戦力であるライガ。それを失えばただでさえ絶望的な実力差がより広がってしまう。そうなってはアリスたちに勝つ事が不可能になってしまう。
「戦力は多いに越した事はないなんて言うけどたった5人で勝てるのか? 相手は3人で国を滅ぼしたようなバケモノたちだろ?」
「勝てるかどうかじゃない! 勝たないと意味ないの!」
「そうよ! 負けは死を意味してる」
「お父様の仇を取るためにも勝つのよ!」
「それもそうか。だったら戦力を提供してやろう。この天才魔法医メイカ様がな」
「戦力? それって一体」
「黙ってついて来いよ」
そうして寝ているライガを集落の人間に任せてアルスたち女王候補組はメイカの案内に従う。目的の場所はまさかの地下にあるようだ。
「よくこんな地下通路を作ったはね」
立派な地下通路にアルスは疑問を持ちメイカに尋ねる。
「アリアはともかくお前らが女王となった際のスタンスがわからないからな。もし落ちこぼれ集落を狙われた際のために住民で必死こいて手掛けたんだよ」
「そんな所に戦力を隠しているの?」
「隠している訳じゃあないんだよな〜これが。知らない間に潜り込まれていた」
「はぁ! そんな不審者信じられるの!」
「信じる必要はないだろ? お前らが欲しいのは信用出来る人間じゃあなくてバケモノたちに勝つための戦力だろ?」
「チッ」
メイカが紹介しようとしている人間は怪しさしかないのだが今は戦力が欲しい。素性を気にしてる余裕が今のアルスたちにはないので大人しく案内を受けるしかない。
「この隠し部屋に気づいたらいたんだ。それじゃあ紹介するぞ」
万が一のための部屋だけあって頑丈そうな扉をメイカが開く。そこにいた人物は、
「今日は1人じゃないんだな。医者」
「お前みたいな不審者であっても必要している連中を連れて来たんだよ。ほれ、挨拶しろ」
中にいた人物に挨拶をするように言うがその前に、
「何でこいつがいるのよ!」
「死んだはずでしょ!」
「どう言う事なんですか!」
3人は驚く。何せ3人とも知っている人物であるからだ。問題はその人物は死んだ事になっているという事だ。
「大帝国、先代大帝のギールスだ。よろしくな。小娘共」
大帝国、先代大帝のギールス。3人にとっては女王を決定的なものとするための殺害目標であった宿敵。そんなギールスはソーン家との激闘により負傷してしまいそこを腹心の部下だと思っていた五天星のクルーズに裏切られて殺されて大帝の座を奪われように見えたのだが実際は生きていた。何せギールスは人間ではなく昔滅んだと思われる魔人だったからだ。そんな魔人であるギールスによって大帝国の上層部と女王候補のアルスとアルフリートは魔人がオズワルドにもいる事を知った。そうして色んな情報を出した後はクルーズによって殺されたはずなのだが、
「だてに滅ぼされた種族の生き残りをやっていないんだよ。生き残るための手段はいくらでも用意してあるんだよ」
そうして語られるのはどうやってギールスが生き残ったかだ。ギールスは魔人の情報を引き出すために生かされていた。そうして生かされた己を世話する係に魔力を与えた。それも同族でもない限りは気づかないレベルの魔力をだ。それはギールスの肉体が完全に死んだ時にそこから漏れた魔力が寄生された者に流れる事で復活するというものだ。
「そんな訳で復活したが完全復活という訳にはいかなくてな。どこかで魔力を補充する必要があって周辺を調べたらこの場所が最適だと知り篭っていたら医者に会った訳だ」
「一目で人間じゃないと分かったが知的好奇心には勝てなかったんでここにいさせる条件として魔人の知識を要求した。おかげで魔人については大分知識がついたな」
「私たちの敵は魔人の祖ともいえる魔神。こいつがアリスお姉様の仲間にならない保証はあるのかしら?」
「どうなんだ?」
「魔神は俺にとっても伝説の存在だ。正直仲間という印象はない。それに他の魔人を殺しちまったんだろ? 俺も殺しの対象だろうから自衛のために戦力は必要なんだよ。そのためにはお前らに力を授けるのもやぶさかではない。どうする? かつての仇敵から指導をしてもらい新たな力を得て協力して魔神を打ち倒す気はお前らにあるのか?」
ギールスからの提案に3人は悩む。本当に協力する気がギールスにあるのかがわからないからだ。それでも、
(信用はしない。それでも勝たなきゃ意味がない。不審な事をしたら殺せばいい)
そう思ってアルスは、
「ライガは自分を2度も負かした相手に教えを乞うた! なら私だってプライドを捨ててやろうじゃない!」
そう言って頭を下げるアルス。他2人は頭を下げはしないものの教えを乞う事にした。こうして謎のメンツでの修行が始まるのであった。
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