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魔法騎士となり第二王女の護衛となったが親友が第一王女と共に戦争を仕掛けてきました  作者: 夜桜陽炎


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38話 アリスの望むもの

 襲撃犯である3人は中立国にて

 中立国、セントラルにオズワルド襲撃をしたアリス、クウガ、マタタビは潜伏していた。落ちこぼれではあったとはいえそこは王族の1人であったアリスは大金を持っている。そのためホテルの3階ほどを貸し切る事も可能だ。そうして貸し切った部屋の一室にて


「ぐぅっ、、がぁっ、、ああ〝あ〝ーー!!」


 アリスは苦しんでいた。体温は40℃を超えており、汗はとめどなく流れている。これがオズワルド襲撃を終えてホテルにて休みを取ってから3日続いている。


「クウガ〜、姫様が飯と水を取らないからってお前まで同じように取らないのは違うんじゃにゃいか? いざという時に騎士であるお前が動けなかったらどうするんだにゃ」

「問題ない。この程度で俺のパフォーマンスは落ちない」

「バケモノだにゃ〜」

「そう言ってお前も飯と水を取ってないんだろ」

「そりゃそうにゃ。3人中にゃ〜だけが飲食するとか気まずいにもほとがあるにゃ」


 なんて会話を苦しみながらも聞いていたアリスは、


「め、命令、、です」

「アリス様」

「私の事は気にせずにマタタビと飲食をしなさい」

「しかし!」

「こうなる事は、、覚悟していたでしょ。飲食なさい」


 そう言って命令した後にまた苦しみ出すアリス。苦しみながらも命令した主に逆らう選択がクウガにあるはずもなく、


「分かりました。暫しの間隣室にて飲食をしてきます。行くぞ、マタタビ」

「行ってくるにゃ」

「えぇ、行ってらっしゃい」


 そうして部屋から出るとクウガは顔面に拳を叩き込む。それに驚くマタタビ。


「な、何してるにゃ! 気でも狂ったのかにゃ!」

「気は狂ってない。ただ俺が騎士として未熟だったからな。主に気を遣わせてくだらない命令をさせてしまった。これは俺への罰だ」

「事前に言ってくれにゃ。怖いにゃ」

「善処する」

(これは善処する気ないにゃね)


 そうして2人は隣室にて飲食をする。その部屋の横にいるアリスは苦しみながら精神世界にて、


「苦しいだろう? その苦しみから解放してやるから体を開け渡せ」

「流石にしぶといわね。完全に消えたと思ったのに魔人たちの魔力を手に入れてまた戻ってくるなんてね」

「しぶとさには自信があるんだよ。何せ何百年も耐え忍んだほどだからな」


 と得意気に語る魔人を握りつぶす。


「ぐあっ!」

「貴方は私の力なんだから大人しくなさい」


 また魔神を飲み込む。


「世界を変える。それを行うだけの魔力を得るためにとオズワルドを襲撃して魔人たちの心臓を喰べたのだけど魔神の自我が目覚めたのは想定外だったわ。流石は伝説の存在ね」


 魔神の自我が復活したのはアリスにとっても想定外であった。それでも魔人の心臓を喰らい魔力を増やすというのは絶対に必要な行為なので後悔はない。それがたとえ、


「人間を捨てる事になろうともね」


 そう言ってベッド近くに置かれた水を飲んでみるが、


「ゲホッ! ゴホッ! オェ!」


 吐き出してしまう。アリスの体は人間としての在り方を捨てていた。体は水も食べ物も受け付けない。今は空気中に漂う魔力があれば栄養を必要としない体となっている。それでもまだ人間の姿を保っており絶世の美女として健在だがいずれはそれもなくなってしまう。その事を2人の従者は承知の上で着いてきている。


「2人とも本当に良く着いてきてくれるわ。ありがたいわ」


 クウガの存在は本当にありがたい。彼がいなければこの計画は後数十年は遅れていた。


「本当にクウガには感謝しかないわね」


 感謝の念しか湧かない。しかし、もっと早く出会いたいとも思った。魔神よりも先にクウガに出会えていたなら人間を捨てて世界を変えるなんて計画は立たずにどこか遠い異国の地にて夫婦としてのんびりと過ごす事も出来ただろう。


「まぁ、たらればよね」


 なんて悲しそうな顔で笑う。


「マタタビは世界を変えるなんて妄言に付き合ってくれる良い子ね。もっと長い時間を一緒に過ごしたいけどそれも終わりね」


 鼓動が早くなる。体が作り変わるのが感じる。


「さような。人間の私」


 黒い魔力がアリスを包みこむ事ほんの数十秒。魔力が霧散してアリスだったものが現れる。この世のものとは思えないほど美しい人だった。しかし、驚くほどに白い。髪も服も真っ白だ。しかし瞳だけは鮮血のように真っ赤だ。


「アリス様!」


 異様な気配を感じて飲食中だったクウガとマタタビが駆け込む。2人は生まれ変わってアリスを見て人間を完全に捨てたのを理解する。しかし、それを覚悟して着いてきたのだ。悲しむ事などない。2人は片膝をつく。


「アリス様、新たなお姿の調子はどうですか?」

「問題ありません。心地良いです。人間の体は不完全でしたね。ずっとこの姿でいたいほどですが目的のために駆け抜けましょう」

「それでは?」

「えぇ、始めましょうか。私の、いいえ、私の目的である世界を変える計画を叶えるために世界の最北端、エンドへと向かいます。そこで世界魔法‘崩壊’によりこの世界を滅ぼし世界魔法‘創世’により新たな世界を構築します。着いてきなさい」

「「はっ!!」」


 世界を変えるという目的持った3人は最北端、エンドを目指す。アリスたちを止める事をライガたちは出来るのだろうか。

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