35話 オズワルド襲撃の終幕
オズワルドに巣食う魔人を一掃したアリスと対峙するアルス
オズワルド襲撃を受けてフルール家の別荘にいたアルスは、
「急いで馬車の用意を! 王宮へ向かいます」
指示を出してフルール家最速の馬車にて王宮へと向かう。道中は特に襲撃がなかったのだがどこもかしこも火の手が上がっている。
(どう言う事なの? これだけの被害が出ているのに襲撃犯に遭遇しないなんて)
アルスは王宮に向かう事を第一としてはいるが道中に襲撃犯がいたら締め上げて仲間の人数、配置、その目的を聞き出すつもりだったのだが全く襲撃犯に出会わないので疑問を持つアルス。
(遭遇しないならしないでしょうがない。これだけの襲撃なら大帝国にいるライガも帰ってきて襲撃犯と戦ってくれるはず。私はとにかく王宮に向かう事を優先する)
そうして王宮に到着したアルスであったが、
「な、なんて事なの」
王宮の一部が吹っ飛んでいた。
「これは襲撃犯の仕業? それとも大帝国? いいえ! 今はお母様、女王陛下と合流しなくては!」
ボロボロになった王宮を進んで王の間に入るとそこには、
「お姉様?」
「あら? 久しぶりね、アルス。元気だった?」
「元気でしたよ。先程までは」
「先程までは、ね。今は?」
「最悪の気分ですよ。これはどういう事ですか。お姉様!」
そう言って王の間の惨状について追及する。
「見ての通り。女王陛下とソーン家代表と長男は私が殺した」
「一体どうして?」
「どうして? か。これからの計画に必要だったからとだけ答えておくわ」
「計画?」
「内容は教えない。教えた所で貴女には関係ないもの。それでどうする? 私と戦う?」
「うっ」
最後に会った時からは考えられないような威圧感を放つ姉に言葉が詰まる。正直な話、母であるアリアが殺された事やメルトとステイルが殺された事に対しては怒りの感情をアルスは持ち合わせてはいない。何せギールスからは彼女、彼らが魔人だという事を聞かされているからだ。いずれは戦うべき敵と認識して勝つために努力もした。しかし、戦う予定だった相手は殺されておりその殺した相手は会いたかった姉というのもありどうにも戦闘のスイッチが入らないアルス。そんなアルスに、
「ここにはもう用事はないから戦わないのなら私は帰るわね」
そう言って自分の横を通り過ぎるアリスに対して、
「待ってください! お姉様!」
「何かしら?」
「この襲撃がお姉様の仕業だというのなら国民を殺したのにも理由があるのですか?」
「特にないわね。強いて言うなら王宮に向かうまでの目的逸らしかしら。それに遅かれ早かれオズワルドの国民は死ぬ。何せこれだけの襲撃が起これば他国が攻めて来るでしょうからね。今も大帝国からミサイルが放たれている訳だしね」
「分かりました。貴女を敵として私が倒します」
「どうぞ。やれるものならやってみてちょうだい」
「遠慮はしませんよ」
そう言って自分が使える最大の重力を浴びせるのだが、
「最近肩こりが酷いから丁度良いわ。本当に貴女は優しい娘ね」
「なっ!?」
余裕綽々と言った様子のアリスに驚く。普通ならぺちゃんこになっている重力に平然と耐えるアリスに恐怖を覚える。何せ魔法を使用した形成がないからだ。
(大帝国の人間みたいなタイプ? いやありえない。それだと何かしらの武器がなきゃほぼ不死身の魔人を殺せない)
アリスの力の源が分からずにいるアリスであるが、
「これだったらどうかしら!」
そう言ってアリスの体が重力を纏い始める。
「凄いわね! 重力化。きっと重力魔法でその域に達したのは貴女だけよ!」
「まだ余裕がありそうね。だけどその余裕もそこまでよ!」
そう言って高重力の拳を叩き込もうとするアルスであるが、
「どんなに強くても魔法使いじゃ私には勝てない」
「な、何で」
いつのまにか背後に立たれて肩を掴まれていた。しかも高重力を纏った自分に無傷でだ。
「そもそも今の私の力を理解出来ていないもの。今の私は魔人を超えた魔神なのだから」
「魔神? お姉様は人間を辞めたのですか! どうして!」
「知りたければ世界の中心で会いましょうか。おやすみ」
そう言ってトンと手刀によりアルスは気絶させられる。アルスを気絶させたアリスは、
「クウガ、マタタビお疲れ様。今日はもう帰りましょうか。南の中立国にでも行ってゆっくり休みましょ」
「了解」
「了解にゃ」
襲撃犯であるアリス、クウガ、マタタビは合流する。
「ルーン家はどうなったの?」
「あ〜それにゃんだけど〜」
「叱ってやってください。こいつ代表のオッズは殺したんですが女王候補のアルフリートは取り逃したんですよ」
「あら? 何があったの?」
「戦闘中にいきなり消えたんだにゃ〜。音も匂いもなく」
「あら? それって穴かしらね。そういえば王宮にいなかったものねステンノ」
「始末しますか?」
「放っておきましょうか。どうせこの世界はいずれ滅ぼすのだから」
そう言って3人は中立国へと消えていくのであった。
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