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魔法騎士となり第二王女の護衛となったが親友が第一王女と共に戦争を仕掛けてきました  作者: 夜桜陽炎


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29話 大帝国の戦力増強

ライガは再度大帝国へと潜入する事を決意した。

 大帝国は将来オズワルドを滅ぼすための準備としてオズワルドから迫害された者たちによって作られた集落の者たちを完全に吸収しようとしていた。そこにライガも混ざっていた。


(大帝国が戦力増強を目論んでいるっていう情報があったから先回りして集落に来て正解だった)


 クルーズ家の諜報部隊が特訓場にいたライガとアルスに渡した情報ではオズワルドを潰すため戦力増強を目論んでおり落ちこぼれ集落に来るというのでそれを利用してライガは大帝国に潜入して身体能力を強化しようと考えた。


「大帝国はいずれオズワルドを滅ぼす。お前らを迫害したオズワルドを滅ぼすために協力をする者は大帝国へ来い!」


 その言葉を聞いた集落の者たちの大部分は大帝国へと渡る事を決意した。その中にライガも紛れて大帝国へと潜入した。


「大帝国での戦闘は白兵戦か銃撃戦がメインだ。その適正を図るための身体能力測定を行う。係員の指示に従いたまえ」


 こうして身体能力測定を終えたライガたちの記録を録り終えた係員たちは、


「測定はこれで終了だ。適正判断は明日までに終了して朝に報告する。そこからは適正に合った武器種で訓練して貰う」

「それでは宿舎へ案内する。着いてこい」

(これで2度目の大帝国へと潜入か。専属騎士になってからほぼ大帝国にいる気がするな)


 こうしてライガは無事? 大帝国の一員となるのであった。そんな日の夜に大帝国の大帝を含む新五天星会議にて、


「戦力増強のためにオズワルドの落ちこぼれ集落から連れてきた者たちの身体能力測定が終わりました」

「そうか。だがわざわざこの会議で話すほどの事ではないと思うが?」

「大帝のおっしゃる通り本来は報告の必要がない案件なのですが放っておけない人物がいまして」


 そう言って全員にある人物の測定結果を配る。配られたものを見て大帝、クルーズは、


(あぁ、そういう事か)


 ガイラという偽名を使用しているがどう見てもそれは2度戦い敗北を味合わせたオズワルドの魔法騎士のライガであったために思わず笑ってしまう。それを知らない他の面々は、


「おいおい! 俺らレベルじゃねぇか!」

「良いもん拾ったじゃねぇか」

「だがこんな奴いたか?」

「集落に最近流れたんじゃねぇか?」


 身体能力測定で満点を叩き出した。ガイラに驚きやら疑問やらを口にする。そんな面々に、


「気になる事はあるだろうがこれほどの逸材を放っておく事の方が問題だ。注意は必要だろうが何の問題もない。こいつはドーズに任せる」

「わかりました。俺なんかで良ければ」

「謙遜するな。お前は新五天星の筆頭だ。自信を持て。それでは本題に入ろう。オズワルドにいるという魔人、魔王の対策だ」


 そこで先ほどよりも会議に参加する面々の空気がひりつく。


「全大帝であるギールスが歴史から消し去られた存在である魔人でありオズワルドにもそれが存在する。これを聞いた時は信じられませんでしたが通常武器で何度頭や心臓を破壊しても死なないのを見た時は驚きましたよ」

「全くだ。魔力を阻害する特殊な鉱物により出来た私たち五天星のみが持つ武器で数十回脳を破壊してようやく死亡のバケモノですからね」

「そんなバケモノを殺す事を考えると戦力増強は勿論大事だがそんなバケモノを殺すための武器作りの方が急務では?」


 そんな意見に大帝国の技術班班長のエイトリクは、


「それが相当な無茶だっての理解してます? 対オズワルドにおいて最強の武器が何故五天星にのみ与えられるか分かりますか? 製造が難しいからですよ。どうしてもあの武器の大量生産を目指すなら他国との協力が必要不可欠です」


 しっかりと説明する。それを受けてクルーズは、


「そこは交渉人の仕事だな。とにかく俺たち大帝国はオズワルドを滅ぼして忘れられし存在である魔人を本当に滅ぼしてしまおうか」


 大帝国はオズワルドを完全に滅ぼそうと考えていた。


(そのためには強力な駒が必要だな)


 ニヤリと笑うとクルーズは会議を終わらせてある場所に向かう。


「何だ?」


 与えられた部屋で休むガイラことライガはノックで起きる。


「誰ですか?」


 ドアを開けると、


「よう」


 クルーズがいた。


(ゲッ!)


 大帝にして自分に敗北を2度も与えた相手に内心嫌な顔をしながらもバレないように、


「自分のような新参者の所に大帝がいらっしゃるなんてどうしたと言うのですか?」


 演技するが、


「そういうのはいらない。早く部屋に入れろ」

「どうぞ」


 そう言って部屋に入れる。


(この狭さなら俺のが強い。殺っちまうか)


 与えられた部屋は1人で暮らす分には良いが2人では狭く感じる。そんな部屋でなら大帝国最強であっても殺せると感じるライガであるが、


「殺せると思ってるだろうがやめておけ。わざわざ落ちこぼれ集落の連中に紛れて身体能力測定を受けた当たり身体能力強化に来たんだろ? ここで俺を殺したらそれどころじゃなくなるぞ」

「ちっ、分かってるよ。で、何をしに来たんだよ」

「俺たち大帝国はオズワルドを滅ぼす。とはいっても国民全員を皆殺しにしたい訳じゃない。優秀な人材は取り入れるつもりだ。あくまでも標的は魔王と魔人だ。それはお前もだろ?」

「まぁな」

「しかし、殺すのは難しい。だから協力しよう。この俺が直々にお前を鍛えてやる」

「はぁ!」

「驚く事じゃない。俺は使えるものは使う主義だ」

(狙いは何だ?・・・・・・いや、考えるまでもないな。本当に使える駒が必要なだけだな。そして俺が強くなっても殺せると思ってやがる)


 敵国の人間である自分を鍛えるからには強大になっても殺せる自信がクルーズにはあるのだろう。


「上等だ。テメェよりも強くなってやるから覚悟しろよ」


 これよりライガとクルーズの不思議な師弟関係が出来上がるのであった。


無事に潜入したライガはなんとクルーズの弟子になるのであった。

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