16話 新たな帝国の力
新たな大帝国の大帝となったクルーズがオズワルドを殲滅しようと襲いかかる
大帝、ギールスを殺して新たな大帝として名乗りを挙げたのは五点星筆頭のクルーズ。そんなクルーズはセントラルセンターの放送室から侵略中のオズワルドの兵隊に呼びかける。
「あーあー、こちらセントラルセンターより新大帝のクルーズ。元五点星筆頭だ。これよりお前らオズワルドを殲滅する」
この放送に、
「あいつが新大帝だと」
「ソーン家がギールスを殺したって事かしら。だとしても新大帝を立てるのが早過ぎる」
ライガとアズサは疑問を持つ。しかし、問題はそこではない。大帝国最強の男が自分たちのトップとなった事に大帝国の兵隊たちの指揮が上がりオズワルド側が押され始めたのだ。
「指揮が上がった程度ではまだこちらの優位は変わらない」
ルーン家代表のオッズはまだ自分たちが優位だと考えている。そんな思考を読んだかのようにクルーズの放送は続く。
「指揮が上がった程度では優位は変わらないなんて思っているオズワルドの人間がいるだろう。それは確かにその通りだ。指揮が上がった程度で勝てるなら苦労はしない。だが俺は前大帝とは違い懐が広いんだよ。だから協力者がたくさんいる」
その言葉の意味をオズワルドの面々が理解する前に戦場に異変が起こる。
「大変です! 落ちこぼれ集落の連中が大帝国の連中と協力しています!」
「何ですって!」
落ちこぼれ集落とは魔法主義のオズワルドにおいて魔力がない者や魔力が低いために魔法を碌に使えない者たちで形成された集落だ。
「と、とにかく応戦しなさい! このままじゃ負ける」
アズサは焦る。集落にいる人間の数は正確には把握していないが数万は余裕のはずだ。もちろん全員が攻めて来てる訳ではないが元々戦力は向こうが上なのにそれが余計に広がってしまったからだ。
(ライガは負傷してる。それにうちの魔法騎士は他の家の連中よりも練度が低い。このままじゃ負ける)
敗北が頭をよぎる。そんなアズサの足元に穴が開くとそこから、
「久しぶりね。アズサ」
「ステンノ様! 何故ここに!」
「理由なんていいでしょ。ほら撤退よ。全員穴に入って脱出するわよ」
「う〜了解! 全員撤退! 穴に入って!」
脱出するのであった。穴の中にはルーン家もおり代表であるオッズが重症で娘のアルフリートが泣きながら抱きついている。他にもソーン家のオッズが右腕を失っていた。何があったのかというと、
「ふむ。大帝が死んだ、、、、か。おそらく先程の男が殺したようだな」
「自分の国のトップをですか? 信じられませんね」
「大帝国も一枚岩じゃないようだ。だが良いではないか。大帝はこちらが殺したようなものだ。これで国に帰れば王位は我々ソーン家のものだ」
「そうですわね。それでは帰りましょうか」
そう言って穴を開いてそこから脱出する予定であったが、
「帰るには早いんじゃないか?」
声がする方へメルトが振り向いた瞬間右腕を斬り落とされてしまう。斬ったのはクルーズだ。放送が終わりすぐに追いかけて来たようだ。
「お父様!」
父親の右腕を斬られて声を上げるステンノであるがそんなステンノと違いメルトはヒモで斬られた腕を縛り止血する。
「脱出だ! そこの奴! 俺の腕を拾っておけ!」
そう言って配下の者に斬り落とされた腕を拾って貰い脱出を狙う。当然、
「逃す訳ないだろうが」
そう言って追撃するクルーズであるが、
「盾」
メルトのその一言に反応して兵隊数十人が足止め役としてクルーズに立ち塞がる。
「邪魔だ」
一振りで片付けるがそれだけの時間があれば脱出には充分でありソーン家は中央エリアから消えるのであった。
「他のエリアに行きたいが他は新たな仲間の力を知りたいな」
通信機を取り出して連絡する。
「南エリアはお前に任せるぞ。ソフラン」
「了解」
クルーズに南エリアを頼まれたソフランはオズワルドの落ちこぼれ集落の人間であったが5年前に新たな兵が欲しいと思っていたクルーズにスカウトされて大帝国入りした。そんな彼は自分を落ちこぼれ扱いしたオズワルドのトップ層であるルーン家の代表であるオッズと対峙していた。
「いよいよ。お前らオズワルドの人間に吠え面をかかせてやれる」
そう言って双剣を構えるソフランに、
「誰だが知らんが今は忙しい。とっと消えろ」
無慈悲な業火がソフランを襲い焼き尽くされてしまうかに見えたが、
「ははは! 凄いな。これが大帝国の装備か! 全く熱くないぞ!」
業火の中でもノーダメージのようで笑っている。そして燃えた状態のままで突っ込んで来る。
「自分炎を味わったみな!」
「そんなのごめんだな」
そう言って炎の槍を2本作り出して発射するが、
「遅い遅い」
2本とも躱わされてしまうと炎を纏ったソフランがオッズに抱きつく。
「ぐおおお!!」
ソフランのように炎耐性のある装備を着ていないオッズは悲鳴を上げて膝をつく。しかし、
「死なないな。炎の魔法使いだからか炎耐性があるのか? まぁ、死なないだけで大ダメージには変わんないな」
そう言って双剣で腹を切り裂いて真一文字の傷をつける。出血して倒れるオッズにトドメを刺そうとした所で、
「お父様!」
蒼炎の剣で斬りかかるアルフリート。それを黙って受けてノーダメージに相手が驚いた所をカウンターで殺そうと思ったソフランだが嫌な気配を感じて後方に飛びのく。
(あれは無理かもな。死にはしないだろうがカウンターするのが無理な位のダメージを受ける気がする)
その判断は正しい。アルフリートの炎は大帝国の装備。それも五点星の装備ですら耐えられない温度だ。ソフランの装備ごと焼き斬られる所であった。
「良くもお父様を!」
殺意を滲ませアルフリート。そのまま戦闘が始まるかに見えたが、
「撤退よ。アルフリート」
穴からステンノが現れる。
「うるさい! こいつはお父様を傷つけた! 殺さないといけないの!」
「その大好きなお父様を見殺しにするのかしら?」
「ぐっ!」
父親が死ぬのは絶対に嫌なアルフリートはソフランへの殺意を無理矢理押し込むと、
「命拾いしましたね」
穴へと入って脱出するのであった。それを黙って見届けたソフランは、
「全く持ってその通り。あれは化け物だな」
冷や汗をかくのであった。こうして2つの王家の代表が重傷となり撤退するオズワルドの兵隊たち。大帝は死んだが進軍時には10万はいた兵隊が半分にまでなっておりこれは勝ったといえるのか分からない状態での帰還となった。それでもルーン家は五点星の1人を殺して、ソーン家は大帝の死を殺したようなものだがフルール家つまりはアルスたちは特に成果を上げる事は出来ず悔しい結果となった。
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