13話 ライガvsクルーズ
ライガvsクルーズ開始! 一度負けた相手にライガは勝てるのか!?
大帝国の東エリアにてライガは五点星筆頭であるクルーズと対峙する。
「大人しく国にいれば死なずにすんだものを」
大剣を構えるクルーズ。
「もう勝った気でいるのか? たった一回勝っただけで」
「そりゃそうだろ。一戦目からまだ数日も経ってない。そんな短時間で強くなれる訳ないだろ」
「そうだな。だけどあの時の俺は万全じゃなかったんでな」
「言い訳か?」
「そう思うなら勝手にそう思ってろ。ぶっ殺してやるからよ」
そう言って魔力を解放するとライガの体に変化が現れバチバチと帯電する。
(何だ? 前のように体内の電気を操作して身体能力を極限まで高めているのとは何かが違うな)
変化に気づいたクルーズはそのまま黙って見届ける訳にもいかず攻撃する。神速とも呼べる速度の斬撃をライガは容易く躱して、
「おっせぇな」
クルーズの頭に乗っかって煽る。そんなライガの体は明らかに人とかけ離れていた。何せ雷そのものとなっているからだ。これは雷魔法の極地である使用者の『雷化』だ。
「前は手加減してたのか。生意気な小僧だな」
大剣を振るクルーズから距離を取る。
「手加減したんじゃない。前回は魔力が尽きかけていたから使えなかったんだよ」
元々使えるのだが前回はギリカやクルーズが来る前には魔力消費を度外視して帝国兵を雷で焼いていたので結構な魔力を消費してからの五点星のギリカとの戦い。そこからのクルーズ戦ではガス欠に近い状態であったのだ。おまけにクルーズから一発攻撃を貰って負傷した状態なのも悪かった。「雷化」は負傷箇所を修復しようと勝手に魔力消費するのだ。ただでさえ雷化は魔力消費が激しいのにそこに追加で使用する魔力をライガは持っていない。だが今回は雑兵は他に任せて完全に五点星との戦いに備えて魔力消費はしていない。だからこそ使える奥の手。それでも平均的な魔力量しかないライガでは雷化は5分しか出来ない。それでも、
(5分も雷に耐えれる人間は存在しねぇだろ!)
雷は秒速約30キロと言われている。そんな速度に対応出来るものなど存在しない。そんな雷となってクルーズに襲いかかる。
「ク、、ソが!!」
人間の極地とも言えるレベルまで鍛え上げた歴戦の猛者であるクルーズは雷でも対応出来る。しかし、それは自然発生した雷だけだ。普通雷は上からしか来ないうえに頻繁に落ちる訳ではない。だから対応するのは可能。しかし、今相対しているのは雷となった人間であり意思がある。カウンターを狙うもただ直線に動くのではなく斜めの動きなんかもして来るので対応出来ずにダメージを負っていく。雷を喰らって即死しないのは帝国装備の雷耐性が優秀だからだ。
(中々仕留め切れない。だが向こうは全く対応出来ていない。このまま嬲り殺しにしてやる)
雷化が解けるまで2分とちょっと。それだけあればクルーズを殺せると判断したライガであるがそれは間違いだ。相手は大帝国最強だ。
(速いがもう慣れた。カウンターで仕留められる)
クルーズは雷速では動けない。それでも対応は出来る。雷速であるライガであるがあくまでもライガの意思で動く。そんなライガの目線や呼吸なんかでどこを狙うかが分かる。後は攻撃が来る場所に攻撃を置けばよい。しかし、大剣ではそれを実行するのは難しい。
(ふんっ!)
大剣の一部を引きちぎりそれでカウンターを仕掛け、
「グッ!」
「チッ!」
クルーズのカウンターは成功した。しかし、完璧ではない。雷速に対してのカウンターなんて神技を一発では成功出来ず自分も攻撃を喰らってしまったが、
「ここまで追い込まれたのは初めてだ。だが! 俺は大帝国最強だ」
ライガの腹に大剣の破片が刺さっていた。おまけに雷化が解ける。
「な、何で雷化が解けんだ」
「五点星の武器は魔力に対して強い武器を持つ。俺の大剣ももちろんそうだ。その破片が刺さっているんだ。雷化の解除なんて訳ないんだよ」
そう言ってトドメを刺そうと近づくも、
「ゲフッ!」
血を吐いてよろめく。流石に雷化によるライガの攻撃を喰らい過ぎたようだ。
「あ〜、マジで久しぶりに傷を負っちまった。テメェは魔法使いだが特別に名前を覚えてやる。死ぬ前に名乗れ」
「ライガだ。ライガ・ルーツ。テメェをぶっ殺して大帝国を滅ぼす最強の魔法使いだ」
「そりゃ無理だ」
大剣で首を落とそうとするクルーズの懐にある通信機が鳴り響く。
「んだよ。うぜぇな。俺だ。どうした?」
「セントラルセンターに侵入者です!」
「はぁ! そこにはフウカを向かわせたはずだ! まさか」
「フウカ様は戦死しました」
「おいおいふざけんなよ。五天星俺だけじゃねぇか。命拾いしたな。だがまぁお前はもう2敗した負け犬だがな」
そう言ってセントラルさんに向かうクルーズ。そして倒れたままのライガにアルスが駆け寄る。
「大丈夫! 良くやってくれたわ! 貴方のおかげよ! 後はあたし達に任せてゆっくり、、、、あっ」
心配そうにアルスがライガの顔を覗き込むと泣いていた。当然だ。同じ相手に2回の敗北。成人しているとはいえまだ15歳の子供だ。しかも、実力は国内でも最高レベルだと思っていたが通用しないのを思い知らされたのだから悔しくて当然だ。
(クソクソクソ、、クソが!! 弱い!! 弱過ぎる!! こんなんでアルス様を女王にするなんて出来ねえだろうが!!)
歯を食いしばり涙を拭いて立ち上がる。
「ちよっ、大丈夫なの?」
「アルス様。この南エリアをとっと制圧して俺たちが大帝の首を取りましょう」
やる気に満ちた目をするライガに満足そうにして、
「当然よ。今日があたしの即位日よ!」
他の魔法使いたちと共に南エリアを制圧していく。それと同時にオズワルドでは、
「強いな。流石は現女王だ」
「羽虫如きが粘るな」
大帝国に現れた辻斬りがオズワルド女王にも牙を剥いていた。
次回は辻斬りvs女王!!
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