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王都ナダ観光

「すっかり暗くなってしまった」

王都の城門についた時には日が暮れていた。

「確か露天商の許可証を持っている場合は城門の隣の小さな扉から入れるんだよな」

確かに小さい扉があり、その前に兵士が立っている。

「あの兵士に許可証を見せるのか」

小さい扉の方に向かう。

「これ露天商の許可証です。通れますか?」

「ええ、どうぞお通りくださいって…あっ!」

何だ?急に兵士が大声を出したぞ。

「えっと…どうしました?」

「あ、いえいえ!なんでもありません!お、お通りください!」

兵士が扉の前からどいた。

それでも視線は俺の方を見ている…なんか少し鼻息が荒い気が…まさか…

俺がフード外した時に周りで見ていた兵士の1人か!?

ヤバいと感じ、扉を開けて足早に通路を通る。

後の方から「女神が……」とか聞こえたが、聞こえない聞こえてない!

城門を抜ける。

「はぁ………宿に帰ろ」

少し駆け足で宿に帰る事にした


            ×


「やっと帰ってこれた…」

最後の最後で凄い精神ダメージを受けたよ。

「あっ!お姉ちゃん!おかえりなちゃ〜い!」

宿に入った途端、出迎えの挨拶とともにベルちゃんが抱きついてくる。

「ベルちゃん、危ないですよ」

「あ〜〜い」

ベルちゃんのおかげで精神力が回復いたしました。

「ふふ…その感じだと稼げたみたいですね」

ベロアさんも奥から出てきて出迎えてくれる。

「はい、上手くいきました。それで一週間泊まりたいのですが連泊は大丈夫ですか?」

「もちろん!連泊は大歓迎ですよ」

俺は銀貨7枚をベロアさんに払う。

あっ!そうだお土産渡さないと

「あの、コレ採取している時に見つけたのでお土産です」

「あらっ!コレはアクバンブとアクグレプではないですか、貰ってもいいんですか?」

「珍しいんですか?」

「アクバンブは成長が早くてね。成長すると勝手に抜けて川を流れて行くんですよ。アクグレプは痛みやすくて、ここまで新鮮なのは珍しいわ」

なるほどそういう特性があるのか。

「グレプ痛みやすいので頂いちゃいますが、バンブは柔らかくて風味がいいんですよ。明日、朝食としてだしますからね。あと、夕食はどうします今日はサービスで無料で出しますよ」

「ありがとうございます。では夕食いただきます」

夕食のボールラビットの香草焼きは美味でした。

部屋へと戻り、薬の合成をする。

これで露店の品揃えが増えたので一安心。

明日の露店はお休み、王都観光をするので早めに就寝することにした。


          ×


翌朝。

ベルちゃんに起こされる前に起床、少しベルちゃんが不満気なので頭を撫でてご機嫌をとる。

「はい、アクバンブの水煮を作ってみたの。食べてみてください」

水筍の水煮はとても柔らかくて、筍の風味が強く大変美味しゅうございました。

宿を出ようとしたらベルちゃんに遊んでとせがまれるトラブルはあったが王都観光に出発である。

「今日は男の姿でいくか…」

周囲の人気が無い事を確認し男性[モミジ]になる。

「あ〜…やっぱり男の方が落ち着くな」

女性の姿はバランスが悪くてな。

「さてと…まずは大図書館から観光してみるか」

最初の目的地は王都大図書館にする。

王都大図書館は中央広場から東に行った所にあるようだ。


           ×


「これは…確かに立派な図書館だ」

王都大図書館はよくゲームで建っている中世風の尖った屋根のある凄く立派な建物であった。

「入れるのかな?」

中にも興味が湧き、黒光りする両開きの扉を開けて覗き込む。

大図書館内は整理された本で溢れていた。

「本棚だらけだ…」

室内には王都住民らしき人や冒険者風の人達がいるので誰でも入れるようだ。

大図書館内に入と独特の匂いか鼻をくすぐる。

本棚には詩集や歴史書などが多く並んでいた。

1冊手に取りパラパラとめくる。

「なんだ?…愛の詩集か?よくわからん」

内容が趣味じゃない。

触ってわかる。紙質が悪い、手触りがガサガサしているし色も茶色っぽい。

本は沢山あるけど読みたいのはあまりなさそうだ。

「ラノベがあればな〜毎日くるんだけど…」

あるわけないか…

ため息をつきつつ大図書館を出る。

「次は城でも見るか」

城へは中央広場から北に行けばいい

大図書館から城への近道もあるが貴族区に入るようなので絶対いかない。

手間ではあるが中央広場に戻り、城へと向かう事にした。

「ここにも城壁…」

中央広場から城へと向かうと城壁で行き止まりだった。

第二城壁と言うらしい、しかもこの奥からは貴族区になるという。

「ここから見て終わりにするか」

貴族区には入らない。

なので近くのカフェで城を眺めて一休み。

鉄貨3枚でコーヒーみたいな飲み物を注文。

「味薄いな」

基本この世界の料理は味が薄いようだ。

「ここからでもデカいよな城」

形てきには王道の城。

でも色は白一色である。

もう少し近くで見てみたかった。という感想を抱きながらコーヒーモドキを飲み干す。

「行くか…次は七神教会だ」

七神教会は中央広場の西にあるようだ。

席を立ち、まずはまた中央広場に戻ることにした。

戻っている時であった。

「んっ?何か転がってきたな」

カラカラと俺の前に何かが転がってきた。

拾い上げて見てみるとカードの様な形をした物体だった。

「これは…魔導式カードキー…?」

スキル[魔導学]が反応し教えてくれる。

何でこんなのがここに?

「でもコレは…」

「あなたソレが何かわかるの!?」

金髪ロングの軽装鎧の女性が興奮したように声をかけてきた。

後には青髪ショートの重装鎧女性と緑髪ロングの神官服の女性がいる。

「ああっ!ごめんなさい。ソレは私が落としちゃって拾ってくれてありがとう」

金髪ロング女性にカードを渡す。

「それで何かわかるのよね!?」

「シルファ、落ち着けって」

青髪ショートの女性が金髪ロング女性を止める。

「えっと、すまないな。仲間が興奮してしまって、アタシは冒険者[白き羽]のアタリア、4級冒険者だ。

こっちの興奮してるのは同じ[白き羽]のシルファ、後のはソニアだ」

男勝りな感じのアタリアさんが自己紹介してくれた。

「モミジです」

「モミジか、よろしくな。実はなアタシ達は古代遺跡でコレを見つけたんだが使い方がわからなくてな…アンタはわかるのか?」

「ええ…まぁ、それはカードキー…鍵ですよ」

3人は顔を見合わせる。

「あの!あの扉の鍵だよきっと!」

「最奥部のですか?でも何も反応はありませんでしたよ」

「別の場所のなのか?」

3人は議論し始めるが…残念なお知らせをせねば。

「それ使えませんよ。魔力切れてますから」

「え?」

「壊れてるの!?」

シルファさんが膝から崩れ落ちる。

他の二人も少なからずショックを受けているようだ。

「いやいや、違います。魔力切れですから、この鍵は魔導式ですから中にある魔石の魔力が尽きると動かなくなるんですよ」

スキルが教えてくれることを自分なりの言葉でいってみた。

「…魔石を交換すれば使えるってことか?」

「ええ、だから魔導具師にでも頼んで交換してもらってください」

アタリアさんとシルファさんが喜び合っている。

ソニアさんはこちらをじっと見ていた。

「モミジさんは随分と詳しいのですね。ひょっとして魔導具師なのですか?」

「えっ、まぁ…そんな感じです」

訂正するのは面倒なのでそれでいいか…

「じゃあ!モミジさんが魔石交換してよ!」

シルファさんが詰め寄ってくる。

「ええ〜…俺は今日、休みなんですよ。だから他の魔導具師にしてもらってください」

「金貨5枚でどう!?コレが鍵なら私達には直ぐに必要なの!」

「アタシからも頼むよ、実はその鍵を見つけた遺跡はアタシ達が見つけた遺跡でさ、先越されたくないんだよ」

「お願いしますモミジさん」

3人が頼み込んでくる。

なるほど3人が見つけた遺跡なのか、確かに万が一にも他の冒険者に先を越されたくないよな。

「わかりました魔石交換しますよ。でも、ここではできませんよ」

「ありがとう!ならいいところがあるからついてきて」

シルファさん達に案内された場所は高級宿の1室だった。

ここはシルファさん達の常宿らしい、一泊金貨1枚なり。

4級冒険者ともなると稼ぎが凄いようだ。

「さっ!ここで作業して」

高級感のある4人部屋

これも高級感のあるテーブルが作業場になるようだ。

魔導具を触るのは初めてだけどスキルがあるからどうにかなるかな。

「あの魔石ありますか?」

「あるよ!はいっ!」

シルファさんが出したのは魔石[中]。

「大きすぎます。一番小さいのでいいですから」

「え〜そうなの?はいコレ」

魔石[極小]小指の先ほどの大きさの魔石。

スキルが教えてくれるにはこれでいいらしい。

まずはテーブルに人差し指をつけ魔工陣を展開。

魔導加工陣を略して魔工陣いうらしい。

魔工陣の中で魔工術を行使し作業をする。

魔導加工術を略して魔工術らしいね。

カードキーを魔工陣の上に置く。

「私、魔工術を見るの初めてかも」

「アタシも初めてだ」

「私もです」

魔工術はあまり見る機会のない術のようだ。

魔工陣の中でカードキーが浮かび上がる。

まずは魔工術[分解]を発動。

「ああっ!壊した!」

「壊してません。中の魔石を取り出す為に分解したんです」

カードキーは縦から2つに分かれた状態で浮いている。

「コレが魔石か」

機械の様な回路の中に灰色の六角形の石の様な物がある。コレが魔石のようだ。

さらに[分解]で魔石を外し、魔工陣の外に出す。

「コレが魔力切れの魔石です」

「あ〜本当だ黒から灰色になってる」

新しい魔石を魔工陣の中に入れる。

浮き上がる魔石に魔工術[加工]を発動する。

頭の中で埋め込まれていた魔石と同じ形をイメージすと

魔石が回転しだし削れていく…

「お〜、すごい!削れていってる」

「見事なもんだな」

「すごい…まるで魔力に無駄がありません」

3人は回転する魔石に釘付けのようだ。

「よし、上手くいった」

埋め込まれていた魔石と同じ六角形の魔石が加工完了。

新しく加工した魔石をはめる。

魔工術[分解]を解くと分解していたカードキーが元に戻る。

元に戻ったカードキーを手に取る。

「直りました。これで使えるはずです」

「本当!見せて!」

カードキーをアタリアさんに渡す。

「落とすといけないのでアタリアさんが持っていてください」

「ふふ…わかってるねアンタ。直してくれて感謝するよ」

「む〜…落とさないよ」

シルファさんは何かやりそうな気がするんだよな。

「えっと、矢印のような目印がついてる方が先端だと思います。たぶん差し込み口のような所に差すんでしょうね」

「差し込み口か…参考にするよ」

「見事なお手並みでした。これ金貨5枚です」

ソニアさんから金貨5枚を受け取る。

席を立ちながら前から考えていた事を言ってみることにした。

「まいどあり、そうだ薬が入り用になったら中央広場で露天商をやってる妹の店を見て下さい。今日は休みですけどね」

「妹さんいるんだ」

「ええ、双子の妹です。俺と同じ様な格好してるんでわかると思います」


そう、これからは双子でモミジを兄、カエデを妹という設定でやっていこうと決めていた。


「ああ、ぜひ寄らせてもらうよ」

露店の宣伝成功である。

高級宿を出てしばらく歩く。

「金貨5枚か、思わぬ稼ぎがあったな」

これだけあればこれを元手にできるかもしれない。

「予定変更だ。七神教会見学は諦めよう」

俺の足は七神教会とは逆の方向に向かっていた。








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