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初露店はじめます

ナード地方と思っていたが、どうやらナード王国が正しいようだ。

大門を通り抜けると真っ先に視界に入ったのは城であった

砦かと思っていたものは城壁たったのだ。

「ということは中心都市ではなく王都ナダになるのか…」

ではなぜそんな間違えをしたのか…それは俺がもらった基礎知識が間違っていたからだろう

「あの事務処理天界め…どこまで杜撰なんだよ」

役所仕事もいい加減にしろである。

この基礎知識は完全には信じない方がいいと確信しつつ、街並みを見渡す

「月並みな感想だけど、RPGのような街並みだ」

まんまファンタジーRPGの街並みをリアルにした感じである。

ただし人の数がすごい多い、ここがゲームとリアルの違う所だろうか

人・獣人・蜥蜴人・角はやした人、様々な種族が行き交う

見ているだけでも心踊る。

「とはいえ今は中央広場にいかないと…中央広場はどこだ?」

なにせ金がない、銀貨1枚しかないのだ。

早く露店でお金を稼がないといけない状況である。

「立て看板発見。案内板のようだな」

少し先に小さい広場があり、そこに案内板が立っていた。

駆け足で近づき案内板を見る。

「あった中央広場、ここから100mくらいいった場所か…おっ!冒険者ギルドと商人ギルドに魔術師ギルドも中央広場にあるのか」

あの森で出会った4人組も冒険者だったのかな?

俺は争い事は嫌いなので冒険者ギルドには興味はない

「素材採取の依頼とか出せるのかな?」

依頼が出せるならばそういった方向で冒険者ギルドを利用してもいいかもしれない。

人々の流れがまるで川のようだ。

俺もその流れに乗りながら中央広場に向かう

その途中、ランプやロープなどが彫られた木の看板が下げられた店の前を通る。

「雑貨屋かな?そうだ露天商するのにも敷物がないじゃないか」

雑貨屋に入ることにした。

店内は所狭しと品物が並ぶ、店の奥には恰幅の良いおばさんがいる。

「いらっしゃい!お嬢さん、何か入り用かい?」

明るいおばさん店主。探すより直接聞いた方が早いか

「敷物ありますか?安い物でいいのですが」

おばさん店主は驚いた感じになる。

「驚いたわ!お嬢さん、いい声してるね!敷物だね!少し待ってておくれ!」

店主は奥に行く、在庫があるのだろう

「いい声…兵士が驚いたのもそういうことか」

確かにいい声だし、俺も驚いたしまだ慣れない。

横を見ると少し曇った小さな鏡が置かれている。

売り物だろう…ローブを被った女性が写っていた。

「誰だ?って俺だよな…いい機会だし顔見てみるか」

鏡に近づきフードを外すと…


「な、なんだこの超絶美女……」


鏡の向こうには絹のようなさらツヤの銀髪で腰まで伸びるロングヘアー、宝石のような黄金色の瞳。

美女と美少女を併せ持った傾国の美女がいた。

「…………はっ!ヤバい自分に見惚れていた!」

これは駄目だ、これは危ないぞ、兵士達がああなったのがわかる。

急いでフードを被り直す、他人にこの顔を見られては駄目だ。

特に権力者とかに見られたりはマジで駄目だこれ。

「はいはい、少し古いけどまだ使える布の敷物だよ鉄貨7枚でどうだい?おやっ?その鏡が気になるのかい?それは金貨3枚だよ」

「あっ、ち、違います。鉄貨7枚ですね買います」

銀貨で払い、布の敷物を受け取る。

確かに少し古い感じだけど特に問題はない

しかし、鏡が高いな。この世界では高級品の部類に入るようだな。

雑貨屋を出る。

「これからは顔見られないようにしないと…普段は男の方を活用した方がいいのかもしれない」

意識を改めて手の中にある硬貨を見つめてため息をつく

全財産が鉄貨3枚に…これは早く稼がねば!


×


「ここが中央広場か…」

中央広場は広場の中央に円形の噴水があり、その噴水を中心に広場が円形に広がっている。

円形の広場に沿うように建物も立っており、そこに出入りする人々で賑わっていた。

「露天商も多いな」

露天商も噴水に沿い、等間隔に座って商売をしている。

「どこで商売しようかな…嫌味そうな隣人は嫌だから慎重に場所は選ばないと」 

広場を見渡し場所を吟味する。

あそこは…駄目か嫌味が顔に出てる。

あそこもなんか嫌だ。

商社マン時代に培った人を見る目は活かさないとな。

「あそこなんて良さそうだ」

中央広場の外側、なんだかガツガツしていない穏やかな雰囲気の1画が目に留まる。

「人も他と比べたら少なめだし丁度いいかも…よしっ、あそこにしよう」

あの革製品を売っているおじさんの隣がいいかもな。

「あの、隣、使ってもいいですか?」

「お、おお、構わんよ。というかここは誰でも使えるんだから許可なんていらんよ」

最初、俺の声にびくっとしたけど、直ぐに朗らかな笑顔を浮かべてくれた白ひげが似合う革製品おじさん

やはり嫌な人ではなさそうだ。

「失礼します…」

革製品おじさんから1m位離して敷物を敷く、リュックを下ろし中から薬瓶を取り出し並べていくのだが…

本当はリュックの中にアイテムボックスを出現させてそこから出している。

「私、行商をしていますカエデといいます。よろしくお願いします」

何事も挨拶は基本であるので革製品おじさんに挨拶しておこう

「おお、これはご丁寧にワシはダグ。ご覧のとおりの革製品を作り、売っておるよ」

革製品おじさん…ダグさんは白ひげを撫でながら挨拶を返してくれた。

「女性の身で行商人とは珍しいのう」

行商人は男性社会のようだ。

「そうなんですか?」

「女性が商売する時は大概は店を持つからの」

なるほど、そちらの方が色々な意味で安全だしね。

「カエデさんは行商人で薬師なのかい?」

「ええ、そのようなものです」

「ほほ〜すごいのう」

本当は魔導具とかも作ってみたいのだが…材料がまるでないので作れない

道具師なのにほぼ薬師状態である。

その後、ダグさんと軽く会話を交わし

いよいよ初露店のスタートだ。







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