表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/56

老紳士

「よし、露店午後の部スタートだ」


中央広場に戻ってきた俺は少し遅めの午後の露店を開店した。

「日曜日だから午後でも人が多いいな」

正確には日の日だけど、この多くの人の0.5割でも買いに来てくれたらと思う。


「少し見てもよろしいかな?」


顔は好々爺な感じの白髪白ひげの老人。

質の良さそうなスーツを着こなし、背筋がピシッとしている。

まさに老紳士といった感じである。

これは…どう見てもお貴族さま関係の人間だ。

でも露天商をしている以上、来る客は選べないのだ。

「どうぞご自由に御覧ください」

「……うむ、では失礼して」

老紳士は商品を見始める。

「これは…薬水に味がついているのかな?」

「はい、味確かめてみますか?」

「よろしいのかな?ではナードベリーを味見させていただこうか」

ナードベリーの薬水を味見する老紳士。

飲む姿も気品があるな。

「…素晴らしい。苦みがまるでなく新鮮なナードベリーの甘酸っぱさを感じる」

感想を言う姿も紳士さを感じる。

「これはお嬢さんが作ったのかな?」

「はい、そうです」

ん…?なんか探ってきてる?

「どこで学んだのかな?」

やっぱり探ってきてるなこれ

大丈夫、そういう時の対処法も考えている。

「祖母から教わった秘伝です」

俺の祖母は日本で絶賛農家中だけどね。

「……なるほど秘伝では仕方ない」

上手くいった。

やはりこの世界では秘伝とか秘奥とか言えば追求はされないようだ。

「しかし、見たこと無い品ばかり…相当な腕前の祖母であったのだな」

「それはもう、自慢の祖母です」

手八丁口八丁は商社マン時代の得意技ですから。

「………1つ、聞きたいのだが…目を治せる薬はあるかな?」

「目…ですか?いえ、品はここにある物だけですから」

「そうか…」

なんかがっかりした様子の老紳士。

目を治す薬か…

スキル[薬学[極]を検索してみると…あった、でもコレは

「目を治す薬は材料が凄すぎて集められませんよ」

全部がレア素材だ。

「!!? 待て!それは素材があれば作れると言う事かね!?」

老紳士めっちゃ必死だ…何か理由があるのか?

「ええ、作れますけど…」

「素材を言ってくれ!集めてくる!」

食い気味できた。

「わかりました。必要な素材は[魔石[大]に[龍の瞳]これは等級はどれでもかまいません。最後は[夜の雫]という花ですね」

[夜の雫]は夜にだけ咲く花のようだ。

老紳士はいつの間にか羽根ペンと手帳を取り出しメモしている。

「…3日以内に集めてくる。待っておれ」

とてつもない速さで老紳士が走り去る。

「あの老紳士、何者だ…?」


            ×


「ただいま戻りました」

夕暮れ時に宿へと戻ってきた。

あれから売れたのは魔力飴1粒、子供がおやつ感覚で買っていった。

「カエデさん!あの白い石鹸すごく汚れが落ちていいですね!あと食器用洗剤も油がすぐ落ちるって旦那が喜んでました!」

どうやら試供品の石鹸と食器用洗剤は好評なようだ。

これなら露店で出しても問題ないな。

「両方2本づつ売ってくれませんか!?」

「ま、まいどありです…」

もう売れた。

生活必需品とかは受けが良いのかもしれない。

ベロアさんに品物を渡しながら思い出す。


あの老紳士は本当に3日以内にレア素材を集めてくるのかと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
子供がおやつ感覚で買える魔力リジェネの飴。 値段設定間違えた感がなきにしもあらず
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ