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6 EXTRA2



昼休みが終わり、ホームルームも終わった頃。   

一人の賢者は色んな事を考えながら廊下を小刻みに歩いていた。


「ふぅ〜春はやっぱ暑………くないな」

寧ろ、涼しいくらいだ。

現代日本と、12年前の日本では気温に少し差があった。

12年前の日本は春でも少し涼しく、過ごしやすい。

対して、12年後の日本は春になると夏のような暑さを発揮する。

俺は、地球温暖化が12年で何処まで進んだかを思い知らされながら、部室へと続く廊下を歩いていた。


茶道部にした。 

理由は前々から茶道に興味があったからかな。

これだけだ。


前はサッカー部に所属していたのだが、3年間やっても意味が無い事、レギュラーに入れないのは知っている為、サッカー部には入部届を提出しなかった。

人間、無駄な事をするより、新しいことに挑戦した方が良いからね。



ま、1年後にリリースされるソシャゲが出るまでの暇つぶしだと思って部活に取り組んでいこう。


そう頭の中で考えているんと、部室の前まで辿り着いた。

俺は部室の扉をガラガラガラと横にスライドさせて、部室に入った。


部室に入ると長い黒髪が特徴的な、一人の女子生徒が、窓から外を覗いていた。

外に何か気になるものでもあるのだろうか?


「あのー、ここ茶道部であってますか?」


俺は部室の角に、雑に敷かれてある畳の上に座って、外を見続ける女子生徒に此処が茶道部であるかを聞く。


「あ、はい。あってま………あなたは朝の……」


あ、やべぇ。

薄々気づいてはいたが、この女だったとは。

蒼桜彩音だ。

俺が好きだった人との今日、二度目の邂逅だ。


「朝の……えっと……お名前何でしたっけ?」


あれ?

俺、自分の名前言ってなかったけ?

確か、右腕引っ張られながら一緒に学校行った時に一度言った筈なんだが……。


まぁ、そんなのはどうでもいい。

俺は座っていた畳から立ち上がり、真実はいつも一つ!と言ってきそうな少年のように、右手でピースサインを作り、彩音の方に向ける準備をする。


「俺は高校生に戻った社会人、名前を南……」


その時、俺が自分の名前を言うタイミングで、勢い良く部室の扉が開かれた。


「はぁ…はぁ……ここ、茶道部だよね!?」


俺はピースサインを解く。

チクショー。あともう少しで、コ◯ン君みたいに出来たのによぉー。チクショー!!


「そうだ、ここは茶道部だよ」


俺は込み上がる憤怒を鎮めつつ、息が荒く、何やら急いでいる感じの女子生徒の問いかけに答える。


「なら、アタシのお悩み、聞いてくれるよね……?」


お悩み?

はて、何のことだろうか。

何かの部活と、奉◯部と勘違いしていないだろうか?

無論、そんな部活は無いがね。

でも、彼女は先程確かにここが茶道部であるかを確認した。

確認した上で訊いている……。

何か、あるのか?


「お悩み?悪いけど、ここは茶道部で、お悩み相談部ではないんだ」


分からなかったら質問。これ大事。


「えと……茶道部募集の張り紙に……『入部希望の生徒皆さんへ、美味しいお茶をご用意してお待ちしております。また、入部希望でない方、お悩みがあれば何時でも、解決できるようお力添えをさせていただきます。イケメンの先輩も待ってるよ!』って書いてあったから、来たんだけど……」


……イケメンの部長?俺の記憶では茶道部の部長はイケメンと呼ばれ、チヤホヤされていた記憶はないのだが。


______いや、そこじゃない。

お悩み解決?どういう事だ?

お悩みに何時でも解決できる様、お力添えを點せていただくだと?

笑わせる。

この藺草と茶の匂いが漂う部室は、いつからお悩み解決部になったのだろうか。

いや、マジで。


「あ、あの、部長は今日居なくて……というか、今日の部員は私達しか居ないんです……」


そうだ。今日は卵から孵った新入部員二人しか居ない。

お茶の点て方どころか、お悩み解決の詳細をまだ、聞かされていない二人だ。

だから、今日の所はお引き取り頂こう。


「その……えと……新入部員の私達で良いなら……ご相談に乗ります……はい。」


………………は?

おい、待て待て。

普通に断れよ。

何少しドヤッとしてるんだよ。 

事を分かっているのか?新入部員二人でどうしろと言うんだ?解決の仕方も分からない二人だぞ?     

いや、こうなった彩音を止めることは不可能だ。

だって目が好奇心に満ちてますもの……。

ええい!もう、こうなったら仕方がない。

何とかなれー!!!


「そうですね、俺達二人で良いなら」

俺は息を一つ吐き、覚悟を決める。


「えと………立ち話もなんですので……そこの畳にお座りください……私はお茶を点てますので……」


途切れ途切れに言葉を紡いでいく彩音の言葉に言う通りにする、お悩みを持った女子高生。

俺もその場で膝を崩して、畳の上で正座をする。


「えーと、アンタのお名前は?」

「あ、云うのが遅くなってごめんね!」

「アタシの名前は焔楓(ほむら かえで)!覚えやすいでしょ?」


まー確かに覚えやすい。

名前二文字なのかな?テストで名前書くの早くて有利だな。


「そうか、俺は南風花仁。よろしく。早速だがそのお悩みというのを訊いても?」

「お悩み……という程じゃないんだけど………アタシの彼氏がね……最近頭おかしいの……」

うっわ。ざけんな最悪だよ。

惚気話か?

もしかして話しをする相手が居ないからってお悩み相談部………コホン、茶道部に来てまで話しがしたいとかか?。

だとしたら最悪だな。


「頭おかしい?例えば?」

「馬鹿にしないって約束するなら良いわよ?」

うっぜー。

やっーーぱ惚気か。

「おう。約束する。」

「絶対に?」

「絶対だ」

「そ、なら教えてあげるね」


おう、早く教えてくれよ。

こっちはくだらない惚気には慣れてるんだ。

それ相応のスルースキルを持ち合わせている俺を驚かせるような話を頼むぜ。


「最近、私の彼氏がよく、『俺、未来から来たんだ』って言ってくるの」


_______________は?













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