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読者の皆様のお陰で

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8月14日に59位

8月15日に49位に入れました。

ありがとうございます。

また、もっと面白い話を書けれるよう精進いたします。







寒くもなく、暑くもない。

気温が丁度良い、暖かな季節。春。 

俺は春の暖かい日差しが当たる場所、グラウンドの倉庫近くにあるベンチに座り、高校の中で限られだ自由、昼休みをそこでのんびりと過していた。 


「にしても……俺は高校一年生に戻っていたのか……」


俺は高校に来て、ようやく自分が何年前に戻ったかが分かった。

現在高校一年生。

自殺する前、27歳。

12年前だ。

ブレザーの制服が新品で薄々気づいては居たが、本当に高校一年生に戻っていたとは……。

人生、何が起こるか分からないものだな。


さて、折角の昼休みだ。

自分の身に起きたこと、考えた事をまとめよう。 


主に挙げられるのは3つ。

1 過去に戻った理由。

2 味覚が無い事。

3 過去に戻る前の自分、27歳の俺の身体は自殺した後、どうなってしまったのかという事。



1番目は、良く分からない。神様の悪戯では?と俺は考える。



2番目、何故味覚が無いのかについてだが、これも良く分からない。

他の四感は万全に機能する。

まぁ、味覚は失くなっても、生活の上で困るものでも無いから失ってもok。




3番目。これが一番重要だ。

俺は確かに自殺を図った。

ガス爆発で。

しっかりとガスコンロのガスの元栓を開けて、しょーもない人生を振り返った後に、ライターを点けた所までしっかり覚えている。



なのに、目が覚めたら過去に戻っていて、高校生の肉体になっていた。

自殺失敗。

今頃、自殺を図った27歳のナイスガイの肉体はどうなっているのだろうか。

棺の中に入れられ、霊柩車に乗せられ、火葬場に向かっている頃だろうか。

それとも、まだ息をしているのだろうか。



それが分からない。



だから俺は授業中、ペン回しをしながら、一つの仮説を立てた。



パターン1 精神だけが肉体から外れ、タイムリープしたパターン。

パターン2 肉体、精神共にタイムリープしたパターン。


俺はパターン1が最有力だと思う。


パターン2だった場合、肉体だけが若返り、精神が若返らないのは俺は、可笑しいと思っているからだ。


逆にパターン1なら、27歳の俺の精神を、高校生の俺に上書きしたとすれば、辻褄は合う。

で、27歳の肉体は死んでいると。




あー頭痛くなってきた。 

ちゃんと死んでいれば、こんな事を考えずに済んだ筈なのだが。


「俺はどうして過去に戻ったんだ?」


何か俺にしか出来ない事があるから戻ったとか?

東◯リベ◯ジャー◯みたいに?

……いやそれは100%ないか。

自分に期待したって、裏切られるばかりの人生だって分かってるし。


考えても答えが、結論が出ないため、俺はベンチの上で座る姿勢から、寝る姿勢へとチェンジして青空を眺める。



「………ねっむ。」






◇◆◇





「ふむ……南風花仁君か、懐かしい生徒だ。」


職員室の隣の部屋、校長室で窓ガラスの外側へと視線を通し、グラウンドのベンチに座る者の名前をポツリと呟いた者が居た。


「彼は確かサッカー部だった筈だが……。」


サッカー部の入部届一覧と、茶道部入部届一覧が書かれた物を手に持っていた男は、グラウンドにいる者を凝視した。


「まさか……彼も……いや、私が過去に戻った事により、多少、歴史が変わってしまったのだろう。」


男はグラウンドのベンチで寝ている者に対して、多少の罪悪感を感じていた。



「にしても、彼が茶道部か。彼がサッカー部で頑張る姿は、全生徒の模範そのものであったのだがな……。」 


男は少し、寂しそうな声を漏らして自分の机の椅子に座り、入部届一覧表を引き出しの中に入れ、スーツの胸ポケットから1枚の写真を右手で取り出した。


「私の……大切な愛娘よ。今度は必ず私が守るからね……必ず」



男は誰も居ない校長室で、何も持っていない左手の拳を強く握り、愛娘が写る写真を、殺意が籠もったような、憎悪を感じるような、悲しさと怒りが爆発しそうな目で見ていた。

 



そして、ぼそっと呟いた。

「28年前に戻ってきたんだ……死んでも救ってあげるからね」














第五話 EXTRA お読みいただきありがとうございます。


この作品はここから、どんどん面白くなっていきますので、☆☆☆☆☆(評価ボタン)を押してくれると励みになりますのでよろしくお願いします!

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