3話 レベルアップ
「ふぅ...落ち着け、僕。」
狼を殺した場所から離れ、ゆっくりと深呼吸する。まだ狼が焼けた光景が、狼が焼けた匂いが僕の無いはずの脳や鼻から離れない。
「気持ち悪い……でも、僕だって死にたくないんだ!」
覚悟を言葉に出す。この世界で生きるために生き物を殺す覚悟を。
「よしっ!」
覚悟は決まった。転生してからなんとなく浮かれ気分だったが、今は地に足ついたような感覚だ。
「そういえば、なんか狼を倒したときに音がなってたな。」
狼を倒したときのファンファーレのような音を思い出す。ついでに焼けた狼を思い出して気持ち悪くなる僕。
「うっぷ………はぁ……ステータス!」
----
個体名:待宵 草
種族:魔導書
レベル:2
耐久度:30
MP:∞
力:0
魔力:250
速さ:0
器用さ:0
魔法:火魔法レベル1(2/50)
水魔法レベル1(2/50)
風魔法レベル1(0/50)
土魔法レベル1(0/50)
スキル:霊の悪戯
鑑定
---
「やっぱり!レベルが上がってる!」
前回と比べて耐久度(HP)が10魔力が50上がってる。
「他は0のまんまだなぁ。まあ、本だし。」
でも、本音を言えば人間、せめて人型でいたいと思うのは元人間として自然なことだろう。
「もとはといえば、僕が欲張ったせいなんだけどねぇ。」
自分のことながら少し苦笑してしまう。
「というか、火魔法と水魔法の括弧の数値が増えてる?たぶん使った回数かな?」
実際に、さっき撃った魔法は、山火事未遂(火)、消火(水)、実験(水)、狼(火)だし……
狼……うっ、気持ち悪い。完全にトラウマになってる。
とりあえず使った回数と増えてる数値は一緒だ。
「普通、魔法のレベルって上がったら強くなるよね?」
よし!決めた!
今のままの僕じゃ生き物を殺すことができない。覚悟を決めても存在してない体が拒絶してる。だから強くなって狼に打ち勝つんだ!
「思ったより、心にダメージを負ったみたいですけど大丈夫そうですね。」
「ほっ」と息を吐く神が1神
女神は、天から自分の送った転生者を見ている。
「次は修行回ですか。頑張って下さい、草くんっ!」
気に入ってくれた方はブックマークと高評価お願いいたします!
ちなみに、トラウマは状態異常じゃないです。状態異常については後々出てきますが解説が入るのは結構後になると思います。