ステージ1-1
けーちゃんです!
初めて小説を書いてみましたが、ここからどうなっていくのかと私も困っているところです!
文章や表現等、稚拙なところが多々あると思いますがよければ最後まで楽しみにしてください。
蝉の声が響く病室で君は雪のように冷たくなった。
2028年の5月中旬。
僕は1人病室で天井を見上げていた。
なんて暇なんだろう、あれだけ行きたくなかった学校も意外と恋しくなるもんなんだなと感じていた。
半月前、急に倒れてしまった僕は病院に運ばれ、ここに入院することになった。家族はすぐ退院できると言っているが、お医者さんの顔を見るとそんな事ないんだなと言うことに気づかされてしまう。
そんな顔しないでくれよ、せめてもう少し機嫌のいい顔できないのかと思ってしまうが、病名を知っているお医者さんは僕の残り短い人生を悟っているのだろう。
僕はなんでもどんどん身体が動かなくなっていく病気らしい。今は手が動かしづらい程度だが、これから先どんどん自由がなくなっていくみたいだ。18歳の僕には流石に重すぎる試練じゃないか?と思うのだが神様はいかんせん僕の事が嫌いらしい。これからどう生きていこうかなと考えながら天井を見る毎日、特に趣味もないし、やることもない。
そんな時、僕の病室にもう1人のお客さんがやってきた。
彼女は健康的な肌の色にパワフル全開な女の子で、何故ここにいるのだろうと思うほど元気だった。
「なんでここに来たの?病気とは縁がなさそうだけど」
そう聞くと彼女は
「わかんないけど、なんかやばいらしい」と笑って答えた。
やばそうには見えない彼女だが、ここに入院すると言う事は本当にやばいのだろう。ただ、彼女はいつでも笑顔で病気の事を忘れているかのように振る舞う。
やはり心が強い人は病気にも負けないのか、そう思っていたが、ある日の夜、隣のベットから咽び泣く声が聞こえる。
「そばでも食べてる?」冗談混じりで聞いてみたが、返答はない。これはミスったと思い「君がなんの病気かはわからないけど、僕よりは未来の事を知れると思うよ」そう言うと、カーテンがガラッと開いた。
「なんでそんな事言うの?私たちまだ18歳だよ!?人生これからって言う時にそんな悲しいこと言わないでよ!」
彼女は柄にもなく大声で叫んだ。
そうか、この子はまだ人生を楽しもうとしてるんだ。僕のような決まった未来に絶望し諦めてないんだと。そう感じた時目から涙が溢れた。止まらない。感情が押し寄せてくる。
「君はいいよね、まだ希望があるから。でも僕の未来は決まってる。蜘蛛の糸にも満たない希望に縋れるほど僕は理想主義者じゃない!」柄にもなく叫んでしまった。
お互いの泣き声が響く病室は、永遠のように感じた。
いつの間にか朝になっていた。気づいたら疲れて眠ってしまったみたいだ。彼女も隣のベットで寝ている。
やってしまった。女の子に対してキレるなんて男失格だと思いつつ、彼女が目を覚ますまで待っていた。
6時...7時。彼女はなかなか目を覚さない。いつもは6時くらいに起きている言っていた彼女だが、昨日あれだけ泣いてしまったから疲れているのだろうか。
8時になっても彼女は起きない。看護師さんがやってきた。
「〇〇ちゃん、もう朝だよ」優しい声で起こそうとする看護師さん。しかし、急に口調が変わる。
「〇〇ちゃん?〇〇ちゃん!」彼女は一向に起きない。
看護師さんは急いでドアを出て行った。
僕は起きて、彼女のカーテンを開ける。彼女は眠っている。
「おーい、昨日はごめんって。流石に言いすぎたよ」
彼女は眠っている。
「僕もさ、君みたいに希望をもって生きてみようかな〜なんて思ってるんだけど、どう思う?」
彼女は眠っている。
「いや無視しないでよ、君の優しさに動かされた人がここにいるんだよ、おーい」
彼女は眠っている。
「...ほんとにごめん。言いすぎた。面と向かって謝りたいから起きて。起きてよ!」
ガラッ、扉が開いた。
「君、何してるんだ。どきなさい。」お医者さんに言われ自室に戻る。横から淡々と声が聞こえる。
「8時5分、ご臨終です。」涙が止まらなかった。
僕は君に生きて欲しかった。失望をしている僕と、希望をもつ君。生きるべきなのはどう考えても彼女の方だろう。
神様は僕の事が嫌いらしい。
僕らが健康だったら。僕らが同じ学校だったら。僕らが友達だったら。ここが病室じゃなく教室だったら。今日もまた会話していたのかな。
神様、どうかお願いします。次の人生ではあの日の続きをさせてください。楽しい話をさせてください。そして僕らに未来を見せてください。
そして僕はその日の夜、病室の窓から飛び立った。