第11話 男性保護観察官登場
男性保護観察官、通称「ダンカン」。
男性をあらゆる危険から守り、精神および肉体のケアに努める国家資格を有する護衛官。今から15年前に登場したこの資格は、数少ない男性と知り合う職業であることから、現在でもあこがれの職業トップテン入りをしている人気職である。
だが実際の「ダンカン」はその性質上、高い精神性と技能、包容力が求められ、その合格率は0.01パーセントとも言われている。
事実ダンカンが派遣される男性は、女性からの性的被害者や重度の引きこもりからの更生を目指している場合が多く、その精神状態は極めて危ういと言える。その為彼女たちは「頼れるがやさしく温かく見守ってくれる女性」を演じなければならない。
結果、多くの女性がその道半ばで挫折し職を去ることになる。
その職業年数は5年から7年と言われている。
(「小学生でもわかる職業案内」著 平田恵子より抜粋)
うゎ、なんかごつい制服着た女性がいるんだけど、あれってもしかしなくても「ダンカン」じゃね?
先週、図書室で見た本に載ってたから覚えてるんだよね、まさにラノベみたいな職業じゃんって感動したもんだ。
でもダンカンが動いたってことは、ひろし君の騒動、相当やばいことになってるんじゃないの?だれか詳しい人いないかな?
先生たちは最近やけにピリピリしていて話聞ける感じじゃないし。
こうた君なんか知らない?
ほうほう、さすが師匠、情報通でいらっしゃる。
師匠曰く、「桜泉学園の理事会が動いた。」との事。
天下の名門、桜泉学園の理事会、国を動かすとは半端ね~。
本来ダンカンは精神的に弱っている男性に寄り添うのが仕事。ひろし君全然弱ってないんだけど、その辺どうなの?
まぁ、事件自体は普通だったらトラウマものなんだけど、そこはねぇ、ひろし様だし。
ひろし様すごい笑顔でダンカンと話してるんだけど、お目々キラッキラしてるんだけど。よっぽどうれしいのか超笑顔。
うぁ、ダンカン顔赤くなってんじゃん。口元ニヤケそうなの堪えてるんだか、ヒクヒクしてるんですけど。
普段弱ってびくついた男性に細心の注意を払って接してるから、男から好意100パーセントで話しかけられる経験てないんだろうな~。
これって案外コロッといっちゃうパターン?
まさに男女比世界あるある!
しかし、あのダンカンを落としに掛かるなんて、ひろし君恐るべし。
(side:女子)
ひろし君にダンカンの警護ってどういう事。
もしかしなくても今迄みたいにそばに行けないって事?
それって最悪じゃん、私の熱いパッションをどうしたらいいのー!!
これは事案ね、緊急会議が必要ね。
当面は反省した態度を見せて、ダンカンを徐々に懐柔していくのが得策ね。
こうしちゃいられないわ、放課後空き教室に集合よ!