表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/250

41)エドワルドの決意

 エドワルドは、ベルンハルトに手を引かれ、また真っ暗な中を歩き、ベルンハルトの執務室に戻った。会わせてもらえなかったけれど、エドワルドに不満はなかった。ルートヴィッヒはエドワルドを大切に思ってくれている。アリエルが大変な今、エドワルドに出来ることは、ルートヴィッヒに心配をかけないようにすることだ。


「エドワルドのせいではないよ。大切なのは、実行した犯人、命令した黒幕を捕まえることだ。悪いのはその連中だ。それは私とルートヴィッヒの仕事だ。エドワルド、お前は自分の身を守りなさい」

「はい」

ベルンハルトの言葉に、エドワルドは頷いた。エドワルドは護衛騎士を連れ部屋に戻った。その時、気づいた。


 あの日、エドワルドの部屋に、報告を受けたベルンハルトが血相を変えてとんできた。本当に無事かと何度も聞かれ、体のあちこちを触られ、抱きしめられた。そのあと、ベルンハルトは竜丁のために必要な薬草を回せと命じていた。


 だが、同じ報告を受けたはずの母シャルロッテは来ていない。確かに、母とは王家が関わる行事でしか顔を合わせないに近い。エドワルドはシャルロッテの権力の源である王子だ。気遣いがあってしかるべきだ。王妃である母シャルロッテは、側室もいないのに、王の寵愛を失っている。王子の母という以外、後宮に存在意義がない。


 王子を襲うにしては手緩いと、父達は言っていた。では、王子ではない人を襲うならば、どうなのだろうか。


 もし計画が最初から王子でなく竜丁を狙っていたら、命じた人物は、王子の身の心配をするだろうか。国を守るのに必要な竜を怒らせるに決まっている竜丁殺しを計画するなど非常識の極みだが、可能性はある。


 翌日、エドワルドはもう一度、ベルンハルトへの面会を申し込んだ。


 ベルンハルトに人払いを願い出た上で、エドワルドは、昨日、胸に浮かんだ懸念を口にした。

「エドワルド。賢くなったね。お前が自分で気づくとは。だが、これは、今のところ、私達、二人だけの胸の内に秘めておくべきことだ」

ベルンハルトはエドワルドの頭を優しく撫で、抱きしめてくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ