表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/250

14)来年の約束

「竜丁、見るならば中にいろ。踏み台には乗るな、危ない」

「はい」

ルートヴィッヒの言葉に、アリエルは鍛錬場に足を踏み入れた。


 団長達は強かった。


 竜騎士に、改善すべき点を次々指摘しながら、しばらく手合わせをし、ある程度したら、技を決めて終わらせていた。稽古を完全に調節していた。


 アリエルにも、部下と練習していても、団長達には、あまり鍛錬にはならないことが分かった。稽古をつけてやっているため、持久力の訓練にはなるだろうが、技は向上しないだろう。


 副団長のリヒャルトとハインリッヒは別枠で、アルノルトに相手をしてもらったが、あっさり負けていた。


 そのうちに、ルートヴィッヒもアルノルトも、数人まとめてかかってくるように命じた。竜騎士たちの動きを見ていたアリエルは首を傾げた。数人まとめてというが、攻撃が一人ずつなのだ、連携していない。数人で一人を攻撃している意味もない。


「竜丁どうした」

気づいたルートヴィッヒが声をかけてきた。

「あの、せっかく数人で攻撃するなら、計画して攻撃したら、もうちょっと強くなれるのではないかと」

「ほう」

「二人いるなら、上段下段をそれぞれ同時に突けば、避けるのが難しくなりますよね」

アリエルの物騒な言葉に、団長二人は、何かを思いついたらしい。

「面白いな。確かに、刺客は同時に来ることが多かったな」

実戦経験豊富なルートヴィッヒは、物騒な過去の経験を口にした。


「なるほどな。お前ら、数人ずつに分かれて、計画練ってこい。明日、出発前に稽古するぞ」

「同じ団だけでまとまるな、適当に散らばれ。ハインツ、リヒャルトお前たち二人は、二人で組め。楽しみにしているぞ。たまには私から一本取れ」


「出発前に稽古ですか」

アリエルは疑問を口にした。

「当たり前だ、いつ何時、有事になるかわからん。宣言してやるだけありがいと思うべきだ」

「飛ぶのは竜だ。人間ではない」

「そうですね」

優しいと思ったアリエルが、手厳しい団長達に賛成し、竜騎士達は肩を落とした。


 翌朝。にわか仕立ての組み合わせでは、さほど連携がうまくいくわけがない。ルートヴィッヒもアルノルトも少しは手こずったようだが、結局は、部下達では、歯が立たないままだった。

「来年までに、竜丁殿がいったような、連携がうまくいくような稽古はしておく。私の部下が、ラインハルト侯から一本とると思うと楽しみだ」

「そのお言葉、そのままお返ししますよ」

ルートヴィッヒは好戦的な笑みを浮かべていた。

「竜丁殿、せっかくだから、南でとれる旨いものを持ってくる。楽しみにしていろ」

「はい」

来年の再会を約束して、南の竜騎士団は去っていった。


「さっさと、貴族が動く前に娶るのも手かもしれない」

去り際、アルノルトはルートヴィッヒに囁いた。


 南方竜騎士団は、一度大きく旋回してから、南へと飛んでいった。

「稽古にも精が出るだろう。王都竜騎士団団員が、南に負けるわけにはいかない。気を緩めるな」

「はい」

ルートヴィッヒの言葉に、竜騎士達は答えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ