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3)双子たち

 翌朝、鍛錬場にアリエルが現れた。彼女が差し出したハンカチに、鍛錬場は沸き立った。はしゃぐ彼らを、ルートヴィッヒはいつも通り黙って見ていた。彼らのハンカチの意匠と、自分がもらったそれとが異なることにはすぐ気づいた。団長である自分だけが特別だというのは、悪くはない気分だ。


 アリエルが帰った後、遠慮の欠片もない部下達がやってきた。

「団長も、もらったんですよね」

「見せてください」

双子のペーターとペテロだ。竜騎士になりたいという彼らに、剣の稽古をつけてやったためか、二人ともルートヴィッヒに対して遠慮がない。双子たちと、ポールは、イニシャルが同じだからどうするのかと思っていたら、刺繍の位置を変えていた。


 ルートヴィッヒが受け取ったのは少し小さめのハンカチだが、全面を覆うほど大きく精緻な刺繍がされていた。部下のものは、簡略化された竜騎士団の紋章とイニシャルが角に刺繍されているものだ。


「部屋にある」

偶然だが、執務室の引き出しの中に置いて来た。

「見たかったのに」

「団長、明日でいいから見せてください」

「そろそろ休憩は終わりだ」

ルートヴィッヒの言葉にも、二人は引かない。


「ほら、お前ら、鍛錬に戻れ、鍛錬に」

しつこい双子を止めたのはリヒャルトだった。

「いいじゃないですか。減らないし」

減って欲しいのは、双子の減らず口だ。双子の言うとおり、減ることはない。だが、ルートヴィッヒは、誰にも見せる気はなかった。




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