17)ライマー
騎士団の預かりとなり、教育と訓練を一から受け直してこい。竜の世話は自分たちですること。
ルートヴィッヒからその処罰を聞いたとき、なんだそんなことかと、ライマーは思っていた。
自らの甘さを、早々に知ることになった。騎士団の訓練も生半可なものではなかった。王都竜騎士団の竜騎士たちの体格を見た時に気づくべきだった。自分達がいかに鍛錬不足だったかを思い知らされた。
「我々の剣は、国王陛下のためにある」
騎士団の教育係は言い、竜騎士だろうが騎士だろうが関係なく稽古をつけた。騎士達は馬を世話し、竜騎士たちは竜を世話した。違ったのはその点だけだ。
竜騎士だという自分達の驕りが、いかに根拠ないものだったかということを突き付けられた。
稀に、王都竜騎士団の竜騎士が二人で、ルートヴィッヒの使いとしてやってくる。そんな時、竜騎士達はきちんと許可を取った上で、騎士団員相手に、練習試合をした。彼らはほぼ無敵だった。
「俺、知らなかったけど、王都竜騎士団って、竜騎士の中でも本当に強いんだな」
「あの人達が、竜騎士の標準と思っていたが、無敗のラインハルト侯の直属の竜騎士団と、他を一緒にすべきではないな」
騎士団員達の言葉に、自分達が弱いだけだとライマーは言えなかった。
秋になった。ラインハルト候が北から帰還したとの連絡はあった。ライマーを含め、西方竜騎士団の竜騎士は変わらず騎士団預かりのままだった。不満がないわけではなかった。だが、明らかに自分達が弱い以上、仕方ないと誰からともなく言い、訓練に明け暮れる日々を続けた。




