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47)西方竜騎士団5

 夕食は、食堂で全員で食べる。団長と副団長は上座、アリエルは厨房に一番近いところ、他は席が決まっていない。ライマーの説明に、かつての仲間が驚いていた。


「どうせなら、皆さん、団で纏まらず、散らばって座ってみてはいかがでしょう」

アリエルの提案で、西方の竜騎士たちは、王都の竜騎士たちに挟まれるように座ることになった。

「よろしくお願いします」

「こちらこそ」

食事中、ぽつりぽつりと会話があった。


 ペーターとペテロの双子に挟まれた西方の竜騎士は、二人に話しかけられ、いろいろしゃべらされていた。リヒャルトは西方の名物の話を楽しそうに聞いていた。


 会話が弾む食卓など、西方では考えられない光景だった。西方からきた竜騎士達が、かつてのライマーのように戸惑っているのを感慨深くライマーは見ていた。


「イグナーツさん、この晩御飯食べられないかもしれなかったんですか」

「ひどいよ、竜丁。俺が四人目に勝てないって、ちょっと思ったろ」

「あ、すみません。でも、団長様は勝てると思ったからそんなことおっしゃったのでしょう」

「四人程度で負けてもらっては困るな。届けさえ出してくれたら別に、騎士団相手に稽古したところで問題にするつもりはない。ただ、怪我は困る。お前達は国王陛下の剣と盾、陛下からお預かりした竜騎士だ。彼ら騎士団も、国王陛下に忠誠を誓う者達だ。怪我は避けるべきだ」

「まぁ、互いをよく知らない間は、安全のためには木剣を使うべきでしょう。ただ、お互い矜持もあるだろうから、それも難しい」

ルートヴィッヒの言葉にヴァルターも続けた。


「そういえば、団長様、アルノルト様とは」

アリエルは昨年の二人の手合わせを思い出していた。真剣だったらどちらかが死んでいたのではないかというくらいの気迫で怖かった。

「あぁ、刃をつぶしてあるが剣は剣だ」

去年、御前試合のあとに手合わせをした二人は、互いにかすり傷だけではあったが、かなり怪我をしていた。


「さすがに、カールとやるときは互いに木剣だ」

「お二人の違いは」

「そういえば、お前はカールとの手合わせを見たことがなかったか」


 アリエルの言葉に、ルートヴィッヒはハインリッヒを見た。

「ハインツ、お前ならどう説明する」

「彼の前の職を思い出させますね」

「他と手合わせするときはともかく、私相手だと、完全に刺客として狙ってくる」

「東方の副団長ですか。いまだに蝙蝠と呼ばせているようですね。よく、あの彼とそのような手合わせをされますね。ここは王都ですから、そうあるべきなのでしょうが」

ヴァルターが苦笑していた。


「刺客がいつくるとも限らない。王家の方々がおられる王宮と接している以上、ここはそういう場所だ」

ルートヴィッヒはライマーを見た。

「君にその覚悟はあるか」

王都竜騎士団の竜騎士たちが全員ライマーを見ていた。いつも微笑んでくれるアリエルですら、笑みを消してライマーを見ていた。

「君の希望は聞いた。だが、本当に覚悟ができているのかを確認したい。返事は明日でいい」

その日の会話はそれで終わった。


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