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35)王都竜騎士団の日常2

 目の前の光景にライマーは、ここにいてもう、何度目になったかわからない驚きを感じていた。


「そういえば、俺達、見慣れたけど、なかなか見ないよな」

彼らの視線の先では、エドワルドが竜騎士と、アリエルは護衛騎士と剣の稽古をしていた。


 アリエルは常に腰に長剣を帯びていた。少し短く、小柄な彼女に合わせたものだろう。通常、竜丁は短剣の携帯しか許されていない。王都竜騎士団を象徴する漆黒の剣帯を締め、漆黒の柄と鞘を持つ剣を腰に差した姿は、あの日、御前試合の日、話題になった。剣帯にある王家の紋章とベルンハルトの紋章に気づいた者もいた。


「竜丁さんは長剣を携帯しておられますが、あれは」

「うーん。前の件だよ。異常に気付いてフリッツに教えたことになってるっていったろ。その功績ってことで、陛下から、常にこれで身を護るようにというお言葉つきで賜った。だから、ああやって持ってる。使わずに済めばいいけど、今後どうなるか」

「竜丁さん、剣筋いいように見えるんですけど」

「気にするな」

「何故、女性が長剣の稽古をしているんですか」

「もう、当たり前になってしまったから忘れた」

「竜丁は真面目で稽古熱心だ。腕力が無い分、器用さで補ってる。お前ら、他人を見る間があれば稽古しろ」

「はい」

リヒャルトの言葉に、竜騎士たちは稽古に戻った。


 夜、ライマーは手紙を書いた。数日毎に、兄エーリヒと、姉アーデルハイドに手紙を何度も送っていた。御前試合で事故にあったとき、命がけで助けてくれたラインハルト候の率いる王都竜騎士団に転属したい。ラインハルト候からは許可をもらっている。ぜひ、自分の決意を祝福して応援してほしい。


 エーリヒが治める伯爵家の領地は遠い。アーデルハイドが嫁いだ子爵家も決して近くはない。手紙が無事に届くことを願いながら、返事を心待ちにしながらライマーは手紙を書き続けた。



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