表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/250

31)ライマーから竜騎士達への告白1

 本来、夕食は全員揃って食べるのがここの習慣だと言い、ハインリッヒは、今日も階段を登っていくアリエルを見送っていた。


「全員で食べるのですか」

ライマーの言葉に、ハインリッヒが振り返った。

「食堂はそのためにあるものだ。違うか」


 王都竜騎士団では、食堂の中央に机を並べ、長方形にして全員で席に着いた。団長と副団長だけは席が決まっているが、あとは適当と教えられた。他に、アリエルは厨房に一番近い席に座るから、そこも駄目だと教えられた程度だ。今日もその席は空いていた。


「西方は違うのか」

「はい。西方は身分で席が決まっていましたから」

「面倒だな」

「つまらんな」

男爵家の次男ハインリッヒに、辺境伯の父親に勘当されたヨハンも賛同した。


「西方に平民出身はいるんですか」

「います。同じ竜騎士といっても貴族出身の者に、小間使いのようにされています」

「うわ、なんか可哀そう、それ」

「同じ竜騎士でそのような、あるまじき行為だ」

「ここが違うのかな、他と」

「いやぁ、南方は一緒みたいだよ。馴染んでるだろ。誰が来ても。毎年」

「東は」

「俺がいたころは、ここと同じだった」

「あの蝙蝠副団長がいるところだから、身分とか気にしてないだろ」

「あぁ、あの人、今どうしてるんだろうな」


 西方竜騎士団を離れて、あそこが異様な場所だったということに、ライマーはようやく気付くことができた。西方の団長と副団長に何度も注意されていた。団長達が正しかったのだ。だが、子爵出身の団長と、平民出身の副団長の言葉に、侯爵家や伯爵家の出身の竜騎士達は耳を貸さなかった。


 昨夜、寝る前にリヒャルトに何があったか話をしたいと言ったら、明日の夕食の後に提案するといいと教えてくれた。話す気になったかといって、頭を撫でられ、弟と間違えたと謝罪された。故郷の兄、エーリヒを思い出して、懐かしかったというと、ちゃんと兄にも説明するようにと言われた。いくつになっても弟は弟だと、リヒャルトは笑った。


「あの、お食事のあと時間をいただいてよろしいでしょうか。御前試合のときのことを、僕が知っていることをお話ししたいです」

食事も半ばを過ぎたころにライマーはいった。

「言ってくれるなら、聞きたい」

ペーターの言葉に、竜騎士達が全員頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ