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30)ライマーと王都竜騎士団の竜騎士達2

「ライマーが、今後ここに配属されるのはいいとして、だ。喫緊の問題がある。夜はどうするんだ、夜は。いつまでもアルノルト殿に頼ることもできない。これからしばらくは不寝番があったほうがいい。団長の許可はないが、副団長達、始めてはどうか」

ヨハンの意見に、副団長の二人以外が頷いた。


「あの、その話ですが、すみません。僕の話のときに、団長に伝えてしまいました。不寝番は準備が出来ていて、ラインハルト侯の許可をもらうだけになってるって」

「そうか、で許可は。そこまで話したなら、もらってきてくれているとありがたいのだが」

「よくわかりませんけど、ある方と、不寝番を許可するか、全員で竜と寝るかどちらかにするというお約束になったようです」

食堂に再度沈黙が降りた。


「もしかして、そのある方って団長に似ておられる方か」

左目の下に手を添えたヨハンの言葉に、ライマーは頷いた。


「流石と言えば流石だが、どうやって、そんな約束させたんだ」

「あの、ハインリッヒ様の妹君のマーガレット様を王妃付きから外すことと交換条件だそうです」

「それは、誰が、そんな」

一番驚いていたのがハインリッヒだった。


「竜丁さんが、ある方に何とかなりませんかって言って。ハインリッヒさんが、王妃に手駒扱いされかねないからって」

「いや、いい女だな」

アルノルトが感心したように言った。


「まぁ、不寝番は始めておけ、事後承諾でいい。今日から始めろ。俺が許可したと言え。ラインハルト候が回復するまでという期限をつけとけば、折れるだろう。しっかりした嫁さ、違う、竜丁と、お前らがいるから、俺は安心して南に帰る事ができる。南は南できな臭いが、俺が抑えておく。油断するなよ。何せ、あの蝙蝠が姿を消したくらいだ。相当ことは大きいと思え。不寝番以外も、いつでも動けるように、剣持って寝てろ」

「はい」


「竜はいつでも出せるようにしておけ。竜に説明して、嫌がらなければ手綱と鞍もつけておけ。いいか、刺客相手に怖気づくな。どっかの貴族が金払って、俺やお前達に実戦を経験させてくれようってわけだ。存分に戦え。ラインハルト候はそうやって強くなった。お前らも、そうやって強くなって、いずれラインハルト候から一本取ってやれ」

「はい」

王都竜騎士団の竜騎士たちと一緒に返事をしたライマーを見て、アルノルトは笑った。

「いいことだ。頑張れよ」


 翌日、ルートヴィッヒも含めた王都竜騎士団に見送られ、アルノルトは南へと帰っていった。


 見送りのあと、ルートヴィッヒは寝台で体を休めていた。

「少し寂しくなりますね」

「また来年の御前試合に参加される予定だ。引退するまでは、ここに泊めてくれと言われている」

「引退されたら、どうされるのでしょうか」

「さぁ。南にご家族が居られると聞いているが、どうなさるつもりかまでは、聞いていない。引退した竜騎士は、それぞれだ。ゲオルグも引退した竜騎士だ。私が見習いの時に世話になった団長だ。呼び捨てにしないと怒られるから、呼び捨てにしているが、今一つ落ち着かない」


 若い頃のルートヴィッヒが、ゲオルグに叱れられる様子を想像してアリエルは笑った。


「アルノルト様もこちらにいらしたりして」

「別に構わないが。色々と助かるだろうな。見習いの時のようで、しばらく落ち着かなさそうだ」

「そういえば、団長様、どういう見習いだったか、教えていただいておりませんが」

「知らん。忘れた」

「もう。来年アルノルト様に聞くからいいです」

「なぜそんなことに興味がある」

「だって、来年見習いが来るとおっしゃっておられたではありませんか。三年毎だって」

「その準備もかねて、カールは来たはずだった。東へ返事を持って帰るはずが、何処へ消えたのやらだ」

「心配です」

「あれに限って、と思うが。心配は心配だ」

「はい」

ルートヴィッヒは目を閉じた。

「休まれますか」

立ち去ろうとしたアリエルの手を、ルートヴィッヒは掴んだ。

「もう少し、いてくれないか」

「はい」


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