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に
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妙にリアルな夢をみて飛び起きる。
首がきちんと繋がっているか不安で触れる。
己の首は、陶器かというほど美しく滑らかで、傷1つついていなかった。
ほっと息をつき辺りを見渡す。
僅かに空いたカーテンの隙間に見え隠れする空には、まだ星が瞬いている。
眠れそうになくてベッドから降りる。
綺麗に添えられたスリッパに足を通し、水を飲もうとテーブルへ向かう。
この国でも有数の名高き公爵家であり人が多く出入りし常に騒がしいと言えど、この様な時間は流石に誰も居ないらしい。
非日常的な時間に気分が上がり、らしくなくバルコニーへ出る。
夜風が優しく髪をさらった。
瞳をつむり夜の匂いを感じながら、先程見た夢を反芻する。
夢とは思えない夢だった。
殺されかけた感触が未だに残り、背中は嫌な汗でぐっしょりと濡れている。
水を1口飲み下して、この国随一の名家の一人娘でその美しさは天上世界にすら届くと言われるその令嬢、スフィレーア・ユクリスナは小首を傾げた。
「あれ、わたくしだったのかしら。」