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アイスティーは零れて  作者: 良夜 未黒
12/17

12 途切れた物語

 翌日、俺はちゃんと学校に行き、四天王と凛子からしつこく詮索された。凛子は俺が何処に行っていたのか知っている筈なのに、仲間に加わって楽しそうに俺を追い詰めた。


「ねえ、そこの紳士君。」

 学校帰りの電車の中、凛子の家に向っている途中で背中を突かれて振り向いた。

「お母さんがねー、君の事好きになっちゃったって。」

「俺は学生の間は誰とも交際しない。」

「ふふ、でもね、ラブレターは千切ったノートじゃなくって、ちゃんとした紙を使って欲しいんだって。」

「あれはラブレターなんかじゃない。」

「お母さん、大切に仕舞っていたよ。皺にならない様にクリアファイルに挟んでね。」

「会議の資料とかに混ざって誰かに見られるんじゃないだろうな。」

「ふふふふ、だと面白いね。」

「どこが。」

「だって、『頑張る』って漢字、間違ってたよ。」

「ええっ! やっぱり、迷ったんだよなー急いでたからな。辺が違っていただろう。」

「そうでーす。」

「スマホで調べれば良かったよ。何となく形で覚えていたんだ、回収してくれないかな。」

「無理よ。お母さんが大切に持っているんだから。」

「ちゃんとした紙で正しい漢字のを提出するからさ。」

「あはは、どうかなー、文字に勢いが無くなっちゃうでしょ。気持ちがこもっていて、とても素敵だって言ってた。」

 凛子は昨夜、久しぶりにお母さんと一緒だったせいかとても生き生きとしている。あと一週間は日本に居るらしいので、俺が凛子の家に泊まらない日は彼女のお母さんが来る事になったらしい。安心だ。彼女が寂しくなる時が無くなるから。きっと色々な話をするんだろうな等と思うと俺も嬉しくなる。凛子の家の最寄り駅を降りた俺達は手を繋いで買い物に行く。何度もラブレターなるノートの紙切れの回収をお願いしたが無理だと突っぱねられた。凛子は笑いっぱなしだ。


 いつもの様にキッチンに並んで夕食の準備をしている。いつもの様に、お揃いのエプロンを身に着けてだ。

「昨日はね、鯛のカルパッチョとアラビアータにしたの。一緒に買い物に行って、僕が鯛を切ってもらう様におじさんにお願いしていたら、お母さん、びっくりしていた。」

「あまりに簡単すぎてだろ。」

「そう、それに日本はこんなにも便利だなんてね。それに残念がっていたなー、包丁を使う事が無くてね。」

「それは良かった、怪我人がでなくて。あっ、いや、いっそのこと指を切ってその血で俺の間違った漢字を塗りつぶして欲しかったな。」

「あははは、ダイイング・メッセージじゃないんだから止めてよ。」

「俺が居ない間に女性2人で恐怖の一夜を過ごすんだ。この前見た映画の様にね。」

「後ろに座っていた絶叫の人が何処からか突然現れて急に叫ぶの? それの方が怖いよ。あははははは。」


 一週間が過ぎ、彼女のお母さんは雨が降らない国へと戻って行った。


 キッチンに並んで夕食の準備をしている。

「ごめーん。年末に向こうに行かないといけなくなっちゃたの。」

「いつから?」

「12月の20日には日本を発って、戻って来るのが来年の4日だって。」

「ふ~ん。」

「クリスマスも年越しも初詣も出来ないね。僕の目標だったのに。」

「しょうがないよ。でも初詣は出来るよ。その年の初めてのお参りだからね。」

「待っててくれる? 他の誰とも行かないって。」

「待ってる。約束するよ。陽菜にも言って置く。」

「良かったー、初詣だけは達成できるね。」

「何処に行くのか決めているの?」

「東京大神宮。」

「何処、それ。」

「えーーー、知らないの? 縁結びの神様だよ。女性に大人気の場所なんだよ。」

「そうなんだ。大神宮なんでしょ、大きいの?」

「これだから、男の人ってダメなんだよね。」

「俺は興味が無いからだけだよ。」

「ふ~ん、でも縁結びの神様が居るんだよ。」

「もう、縁結んでいるじゃん。」

「えっ? でも、ずっと将来に続く縁の事だよ。」

「将来もずっとだよ、いつも凛子の事を思っているよ。本当だよ。」

「ありがと。嬉しい。」

「あーいいけれど、手、止まってるよ。」

「もぅー、人が折角感傷に浸っているのにーー。」

「早くタベタイ。 ハラ減った。」

「この、ロボットめ。貴方には心が無いの? あははははは。」

 向かい合っての食事も凛子は楽しそうに話し続けている。母親との一週間は余程楽しかったのだろう、だが俺には凛子が急かされて残された時間で母親との思い出を詰め込めるだけ詰め込もうといった焦りではないけれどそれに似た何かを感じている。普通の生活を一緒に過ごしていただけなのに、その一つ一つ全てが楽しく感じているのはそう言う事なんじゃないかなと。

「それで、ノラ猫は何匹保護して幸せな世界へ放ったの?」

「それがねー、まだ一匹。」

「えっ? まだ一匹って。」

「まだ花のがいっぱい在って。」

「そうか、もう冬なのにまだ花が咲いているのか。」

「もしかして除草剤で枯らそうとしていない?」

「一気に出来たら気持ちいいね。」

「ヤダー、折角咲いた花だよ。しっかり飾って上げないと可哀そうじゃない。」

「分かった。食べ終わったらここに花をいっぱい摘んで来てくれ、一緒に飾るために話し合おうか。」

「そうだね、相談してどんどん飾ろうね。」


 凛子が持って来た大量の花のカードにたじろぎながらも、テーブルに散りばめられた花を同じ日にできそうなものでグループ分けを行う。まるで企業の開発における【KJ法】の様だ。頭を冴えさせるための飲み物として選んだ相棒はアイスティー。外は寒いが家の中は暖かく、冷たい物が美味しい。

 カードを仕訳けていると突然凛子が立ち上がり、

「あっ、思い出した。」

と言って自分の部屋に駆け込んで行った。暫くするとブサイク猫のカードに、

『滝を見に行く。』

と書いて持って来た。

「何で滝なの?」

「この前ふっと見たテレビで言ってたの、日本は雨が多いから滝も多いんだって。分かっているだけで4千以上も有るんだってよ。もしかしたら1万を超える数があるのかもって言ってた。雨の降らない国に行くからやっぱり滝は見ておこうかなって。」

「ふ~ん、滝となるとちょっと遠出だな。他のと組合せが上手く出来るかなー。」

「頑張って。」

「取り敢えず、こっちのカードのを先に思い出にしよう。滝は考えておくよ。」

「楽しみー。何処に行くのかもだけれど、紳士君が何と組み合わせるのかも楽しみだよ。」

「相変わらず、宿題の課題は難しいのを出して来るな。」

「んーーふふふふっ。」


 実家に戻った時にリビングでボーっとしながら雑誌を見ていた。毎月カード会社から送られてくる小冊子のものだ。有名店での食事やショッピング、演劇から旅行までもが網羅され、その会社だけの特別なものが数多く掲載されていた。俺は凛子の希望の【滝】を探して旅行のページを捲っている。屋久島、北海道、海外など綺麗な滝の写真はどれも時間とお金が掛る所に有った。そんな中、ふとしたページに目が止まる。京都のお寺の特別拝観である。

 凛子の予定も聞かずに、すぐさま近くに居た母親にお願いして2名分の予約を取った。苦笑いしながらも母さんは『がんばれ』と言って快く予約の電話をしてくれた。


 その日の学校が終わるまで、俺は我慢できずに授業中にもかかわらず凛子にノートの切れ端を渡した。

『来週の木曜日、2人でズル休みする。』

「ええ~~!」

 凛子は突然声を上げ、先生から「どうしたの?」と言う追及と共に同級生からの笑いを浴びていた。当然俺の背中は何度となく突かれる。


「ちょっと紳士君、どーゆー事?」

「ごめん、ごめん。くくくくっ。」

「笑うなんてひどーい。ズル休みって一体何?」

 帰りの電車も凛子の家の近くになって、聞き耳を立てる同級生が居ないのを確認すると凛子は突然突っかかって来た。

「来週の木曜日に【滝】を見に行く。それと【湯豆腐】も食べる。」

「ほう、そんな組合せで来ましたか、って僕の予定も聞かないで決めたの?」

「予約が必要だったんだよ。だから急いでいてね。ズル休み、したくない?」

「したーい。」

「はははは、だと思ったんだ。皆が勉強している時に俺達は滝を見て、美味しい物を食べる。どう?」

「いいねー。でも、紳士君、この前ズル休みしたばっかりでしょ。段々いけない道に進んでいるんじゃない?」

「誰の所為だよ。」

「んふー、僕です。僕がイケナイんですー。」

「計画は全て俺が立てる。その日の行動は凛子も分からない。いいでしょ。」

「おー、ミステリーツアーだね。楽しみだなー。」

「問題はだ。俺達2人が同時に休むって事なんだ。」

「そうだね。カズ達の拷問が待ってるね。言い訳考えるのも楽しいね。僕は何て理由にしようかなー。紳士君はどうするの?」

「ああ、俺は母さんに体調不良って言ってもらう約束している。」

「え~~、ズルいじゃん。自分ばっかり。僕はどうすればいいの?」

「それは自分で考えて。これは凛子の宿題だから。」

「え~~、ズルいズルいよー。あはははは。」



 朝6時。眠そうな凛子を連れて東京駅に向かう。7時の新幹線に乗って向かうは京都。2時間ちょっとで着くなんて思うと、少し遠い通学の学生と一緒の感覚だ。滑る様な走りと揺れの少ない車内で朝食の駅弁を食べながら凛子はカズにメールを打っていた。女性特有の月一に訪れるものが酷くて学校を休むから先生にそれとなく言っておいて欲しいっていう理由にしたらしい。女性特有なので担任の男の先生と電話するのが恥ずかしいからという理由も付け加えていた。

 京都駅に着くと直ぐにバス乗り場に行き、市営バスに乗って京都市内を北上する。二条城を左に見ながら真っ直ぐな道を進み北大路堀川のバス停で降りてそこからは歩いて集合場所へと向かう。

「ねえ、紳士君。こんなところに滝が有るの?」

「いいから、今日は俺の計画に黙って乗るんでしょ。」

「そうだけれど、見渡す限り平地だよ。」

「んふー、いい所なんだよ。きっと気に入ってもらえるよ。」

 観光客だけでなく地元の人でさえ歩いていない道を2人で手を繋いで行く。松の木が適度な間隔で並び、綺麗に四角く削られた石で挟む様に丸みを帯びた石が敷き詰められた道を辿って行くとそこはお寺とは思えないこじんまりとした屋根瓦の門が有り、既に数組のカップルが集まっていた。カップルといっても俺達以外は50代以上の夫婦の方達ばかりである。俺達を見るなり近くに居た夫人が話し掛けてきた。

「まあ、こんなに若い方もいらっしゃるのね。ここへは初めて?」

「はい。」

「そう、貴方方もお茶道をされているの?」

「いいえ、そういう訳では。」

「あら、そうなの。」

「はい、今日は滝を見に来ました。」

「それはそれは。特別な時にしか見られないからとっても貴重なのよ。どちらからいらしたの?」

「東京からです。」

「へえー、遠くからいらしたのねえ。もしかして、学校は休んで来たの?」

「ええ、まあ。」

「んふふ、それでも見る価値は十分に有るわよ。しっかり見て行ってね。」


 『茶聖ちゃせい』と称された千利休の墓があるここは、お茶道をしている方達にとって聖地のような場所であり、特別拝観のこの時でなければ見られない襖絵がある。それが【滝】なのだ。

 中から案内をしてくれる人が出て来ると、自然に並んで話を聞く。そして俺が凛子に見せたいと思っている【滝】のある広間に案内された。

「うわ~~。」

 凛子は見るなり声を漏らした。

 その声はそこに集まって静かに見つめる人を掻き分けて滝の絵の襖が佇む部屋全体に響き渡った。慌てて口に手を当て周りを見回す凛子に、参加した人だけでなく説明をする人もにこやかに微笑んでいる。入る前に話し掛けてきた夫人がひそひそ声で言う。

「どう、凄いでしょ。」

 青と白だけで描かれているその滝に圧倒されている。無駄が無い。

 青と白だけなのである。自然の中に有る様な、木々や岩、苔や枯れ葉など一切ない。それは自分で想像しろというのだろうか。見る人によってその滝はすべて異なり、無限の景色を映し出している。音も無く、風も無い。ただ静かな空間にその滝は在り、水は落ち、流れ続けている。凛子が俺の腕を力強く掴んで来る。凛子と目を合わせると彼女はゆっくりとした動きで何度も頷きながら笑顔を見せて来た。

 続いて狩野永徳親子の襖絵の説明を聞く。絵の中の視線の先を辿ったりすると説明が無ければ分からない事に凛子は感心して、時折声を漏らしていた。その反応が説明をしてくれる人以外の他の人達にも新鮮だったようで、皆楽しく拝観を終えた。帰り際に、説明して頂いた方から静かな庭を是非見て行くといいと教えて頂いたので向かった。

 『高桐院こうとういん』と書かれた古びた小さな木の表札のある門をくぐると、青竹の手すりに囲まれた石畳みの細い道が有り、その脇を竹林が囲んで静かに風が吹いていた。道の両側には苔が緑の柔らかいうねりをもっていて何処までも静かで緑色だった。凛子は俺の腕を抱きかかえる様にして狭い道に2人で並んでゆっくりと歩く。

「ありがと。とってもいい滝だった。絶対に忘れられないよ。凄かったもん。」

「それは良かった。でもまだ湯豆腐が有るからね。」

「楽しみだなー、静かだなー、遠くまで来たんだなー。ふふ。」


 タクシーを拾って「南禅寺まで」とお願いする。

 松の林の中にある緩やかな上り坂を数歩歩いてやっと一段上るという階段の先にサスペンスでも有名な『水路閣』が見えて来た。お寺なのに赤煉瓦の近代的な水路がある。でもその古びた感じが今の時代では寺に合っていて趣のある景観となっている。その橋脚部分の間から顔を覗かせてははしゃいでいる俺達を他の観光客が楽しそうに見ていた。ここにも俺達の様な若い者は居ず、皆立派な大人の方達だけで静かに見て回っていたのである。俺達は広い境内を離れたり近寄ったりしながら、『三門』の階段の所に来た。ここであの有名な言葉を言いたかったが、門の下では周りの木の枝に景色が隠れて遠くまでを見通す事が出来なかった。それでも凛子は知っていたのか、額に手を当て遠くを見やるポーズをして、

「絶景かな、絶景かな。」

と言って笑っている。

 南禅寺を満喫してから、丁度お昼の時間になったので三門を下って有名な湯豆腐のお店へと向かう。

 既にほぼ満席で、俺達は唯一空いていたテーブルへと通され安い湯豆腐のコースを頼んで待つ。誰もが食べている湯豆腐が並べられるとその硬さにやや驚きながらも、

「体が温まるね。」

「うん、京都で湯豆腐っておしゃれだね。カズ達は今頃お母さんのお弁当だよ。」

「あー、ズル休みが癖になりそうだ。」

「イケないんだ―。でも知り合いが居ないっていいね。あー開放感。」

 食事の後はこの店にある池の傍をゆっくりと歩いて京都の庭を堪能した。冬なのに風も無く温かい陽射しが水面に反射してキラキラと彼女を輝かせている。その中で笑顔の凛子が池の錦鯉に向かって話し掛けていた。

「君達はいいねー、自由じゃないけどゆったりと広い池で過ごしてる。プクプクしているからご飯もちゃんと貰っている様だね。幸せにねー。」

 そんな眩しい彼女の姿に見惚れている俺に気付き、

「ねえ、紳士君。ここに金魚を放してもダメかな。」

等と聞いて来る。

「一口で飲み込まれるんじゃない。」

と答える俺。凛子はケタケタと笑っていた。


 またタクシーに乗って清水寺へと向かう。

 交通量の多い道を山に向かって左折すると、ほとんど車の来ない道路をひたすら登って行く。心配になっていたが、やがて、

「着きましたよ。この道を進むと静かでいい景色が見られるからね。」

と優しい運転手のおじさんが笑顔で案内してくれた。

 木に囲まれた細い道を進むとやがて真っ赤な三重の塔が現れて、その横を抜けて崖の方に行くと対面に例の清水の舞台が同じ高さで見えた。下からではなく、同じ高さから清水寺が見えたのである。その舞台には多くの観光客が居るのが見え、左にある赤い塔の更に左に京都の市街が見える絶景ポイントだった。俺達の周りには誰も居ない。俺達だけがこの景色を、清水寺を堪能出来ているのである。

 小さな木の看板に沿って舗装されている道を進み清水寺へと向かった。途中ですれ違う人も居り、さっきの所は誰も知らないのではなく、たまたま俺達しか居なかった事を知った。それでも凛子は、

「僕達だけで良かったねー。」

と言って感動している。

 清水寺の舞台を堪能してから、土産物屋の並ぶ坂を下り国道1号に出て、五条大橋方面へと歩く。

「京都駅まで歩くよ。」

「えっ? そんなに近いの?」

「うん、ゆっくり歩いても1時間は掛からないかな。」

「へー、意外と歩いて回れるんだね。」

「うん。それと一緒に歩きたい所も有るしね。」

「えー、何処どこ?」

「それはお楽しみ。」

「はーい。」


 五条大橋に着くとその下を流れている川を見て凛子が言う。

「これって、鴨川?」

「そう、遊歩道が整備されているから川沿いを歩けるんだ。」

「行こ行こ。」


 川沿いの遊歩道を歩くのは俺達だけだった。冬の平日、まだ昼に近い時間帯にここを歩く観光客も居ない。犬の散歩時間でもなければランニングの時間帯もわずかにずれているのか、本当に誰も居なかった。車や喧騒は堤防の上に有り、俺達は川のせせらぎの音に包まれながら手を繋いでゆっくりと歩いている。時折顔を見合わせて笑顔を交わし、幸せな時間を味わった。


 新幹線の中での会話はもっぱら次の目標と翌日の言い訳である。

「やっぱり、僕達2人が同時に休むとカズ達の尋問を受けるよね。」

「きっとね。何言っても信じてくれないよ。」

「紳士君は体調不良で休んで居るんでしょ、どんな顔をして学校行くの?」

「取り敢えずマスクはしようかな。」

「あははは、マスクって、いかにも偽装している様じゃない。」

「大丈夫、たまに咳するから。」

「あははは、じゃあさ、午前は紳士君がマスクして午後は僕がしようか。」

「誰も気付かなかったら笑うね。途中でマスクをしてない俺が咳するよ。」

「あははは、やってみる?」

「見つかったら、カズ達の仕返しが怖いよ。拷問なんてもんじゃないよ。」

「石川五右衛門の様に釜茹で? 絶景かな、絶景かな。あははは。」



 数日後、凛子はお母さんの所に旅立った。


 俺達の思い出作りもここで一旦途切れる事となる。

京都への1日旅行。

時間にゆとりが無いから凝縮して濃い旅が出来ます。

ゆっくりする時間と急ぐ時間、鴨川沿いはゆっくりしたいですね。

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