第9話:野良〇〇が可愛いからって飯とか上げると調子乗って××されるから注意しましょう!③
《英誕祭》楽しみだなぁ
俺は馬車に乗り込むことをあきらめて馬車道を進む。
この馬車道は白い石畳の道が一本、まっすぐ続いている。そしてその両脇は3mから5mほどの手入れをされた木々が背比べをしているようにまっすぐに並んでいた。もし馬車が目の前で鉢合わせをしてもなんとかすれ違い通り抜けられそうなくらいの幅はあるが一向に景色は変わらないので進んでいるのかどうか不安になる時もある。
「さすがにこの時期は馬車も混むよなぁ、まあ仕方ないか」
今年は田舎町ギルメスからの冒険者は俺1人だけ。
そう考えると馬車が満席なことはおかしいと思われるが、王都ミルトは冒険者が各所から集まってくる。同時に王都では「英誕祭」というものが毎年が執り行われる。これは次世代の英雄の誕生をいわうお祭りで年に1度開催される。
これは冒険者、就職者、進学者が基礎学校を卒業した14歳から15歳の新たな生活をスタートを迎える者たちを祝うお祭りだ。そこでは世界中から珍品が立ち並ぶ商店が並べられ、歌とダンス・劇などのエンターテイメントも格安で楽しむこともできる。1週間も続く大きなお祭りで、たくさんの賑わいを見せる為、その期間を王都ミルトで過ごそうと王都へ向かう者も多い。
そんなわけでギルメスのおじいちゃんやおばあちゃん等もお祭りを楽しむために馬車に乗り込んでいる。
「全く俺が主役のお祭りなのに、王都へ歩いて行くことになるなんてな」
俺は地面に落ちていた小石を軽くけりとばした。