第8話:野良〇〇が可愛いからって飯とか上げると調子乗って××されるから注意しましょう!②
さて、そんな事を思い出していると噴水前の馬車乗り場までやってきた。
チリンチリン
馬車が出発する音だ!
俺は慌てて馬車の所まで足を急がせる。
「すみません! おじさん! 馬車で王都ミルトまで!」
馬車のおじさんはこちらに気付き、申し訳なさそうな表情で口を開いた。
「あーごめんね! 座席が埋まってしまったんだ。今日は英誕祭初日だろ? だったらもっと早く来なきゃダメだよ!」
「俺、その……新人冒険者なんだけどさ……だめかな?」
「うん、それはだめ。決まりだからさ、というか席がない!」
「そ、そんなぁ! じゃあ次の便は? 昼の便は?」
「今は英誕歳の最中だからなぁ……次の便はえっと……予約がいっぱいだから3日後だな」
「そ、そんな……田舎町ギルメスから王都ミルトまでどれぐらいかかるんですか?」
「ざっと馬車で2時間って所だな!」
「いや、歩きで」
「歩いだと5時間くらいだな……って! お前さん歩いて王都まで行くのかい!?」
まだ朝だし歩いてもおやつの時間くらいまでには到着するだろう。
「え、あ。はい、お金も時間もったいないので歩いて行きます。じゃ、そゆことで……」
せっかくの旅立ちの日なんだから気持ちを切り替え臨機応変に行動する事が大事だ。それに早く着いて魔術属性が何か気になるんだ。昔はこんな田舎町なんぞに馬車はなかったと思えばたったの5時間は苦ではない。
「ちょっとまって! お前さん魔除けの鈴はもってるかい……あ、いっちまった。まあ、普通冒険者希望の奴らは持っているだろう」