第11話:野良〇〇が可愛いからって飯とか上げると調子乗って××されるから注意しましょう!⑤
俺が母さんの最後の1つを食べようと口もとまで運んだ時、木々の中からスライムがどこからともなく出現した!
「おっスライムだ」
町の基礎学校で習ったことがある。
スライムは青色・赤色・緑色等のゼリー状の生き物だ。
町の外ならどこにでもいて、ぷにぷにしている。こちらから刺戟を加えなければ襲ってこない。ゼリー状なのでおいしそうに見えるが雑食のため味は最悪だと教わった。
『すらすら~』
かわいいなぁ……! でも学校の授業で習ったのとは違って色が黒いぞ。
たしかスライムはいろんな色があるとも教わったけど、黒色のスライムなんて初めて見た。
そこで俺はあることに気づいてしまった。
「あっ! 魔物よけの鈴忘れた!」
迂闊だった。
町の中は特殊な魔物よけがおいてあるため魔物は近寄ってこないが、町と町の間の道は話が違う。だから馬車の中に魔よけの鈴が備え付けられているが、俺は今馬車に乗れず魔物除けの鈴を持っていなければこうやってスライム含む魔物が近寄ってくる可能性もあるのだ。
しかし旅を初めて一番最初の魔物がスライムだったのは幸いだった。
黒いスライムは犬や猫と同じくらいの大きさで目がうるるんとしていてかわいらしい
さすがにスライムにやられてしまう事はさそうだが……
『すらすら! すらすら!』
黒色のスライムがこちらに近づいてきた。
「ん? なんだい? おなかがすいているのかい?」
『すらすら! すらすら!』
「なんか見ててかわいいなぁ……。ほら少しだけだけどお食べ」
俺はサンドウィッチの三角形の先をほんの少しだけちぎると黒スライムに差し出した。
『すらー!』
黒スライムはぺこりとお辞儀をしたように見えた。
ぱくっ
スライムの目と目の間に小さな口がもぐもぐと動き出す。
「お、食べた食べた。おいしいかい?」
『すらー!』
スライムが跳ねている。どうやら喜んでいるみたいだ。喜んでいるところがなんともかわいらしい。
「よし! じゃあこのサンドウィッチ全部上げるよ」
俺は黒スライムに残りのサンドウィッチをスライムに差し出す。
ぱくっ
むしゃむしゃ……
スライムは喜んでいるようだ。夢中でサンドイッチを咀嚼している。
(母さんも俺に料理を作ってくれるときはこんな気持ちだったのかな)
『すすすすすすすす、すらー!すらー!』
ぺっぺっ
あれ、スライムの様子がおかしい!!
なんか舌を出してはぁはぁしている!!