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カン
「源さん、いつから気が付いてた?」
文雄は、源三の横に戻ってきた。
「最初から。線香の匂いでな。坊主なら居酒屋におおぴらに来らんねえだろ。酒を飲まねえんなら供えてるんじゃねえかってな。元警官のカンてやつだ。」
「これで、振り出しだ。」
文雄は手に持った杯を勢いよく飲み干した。
「なんだ、お前もこの件調べてんのか?」
「いや、特に調べてるわけじゃ。まあ連続放火犯に話が聞けりゃ小説のねたにでもなるかともとは思うがね。」
3人が思い思いに店を後にすると、居酒屋の明かりが消えた。