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  作者: ひじきとコロッケ
ルトナーク
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ポーレットはあきらめない

「オルグか……」


 表向き、真っ当な商売をしている以上、告発してどうなるという物でも無いだろう。と言うか、法整備がまともにされているとは思えない社会で、ある程度金と力を持つ相手に何が出来ると言うのか。

 そう、今の話をどこかに持ち込んでも「手続きは正しく行われたんだろ?」で終わりなのだ。

 では、さっき金を盗んだ男を捕まえる……無理だな。あの建物に逃げ込まれた時点で詰み。社会的信用は冒険者であるリョータたちよりオルグの方が上だろうから、「オルグさんの部下がスリなどするはずがなかろう」だ。


「逃げ込まれる前に捕まえておけば良かったな」

「今更の話ですね」

「そうだ、いいことを思いつき「却下」

「せめて最後まで聞くくらいしてくださいよ」

「えー」

「リョータ、聞くくらいはしよう?」

「エリスがそう言うなら……」

「あ、もしかして尻に敷かれてるタイプですか?」

「さて、帰るか」

「うわわわ!冗談ですってば!」

「……で?」

「えっとですね……ギルドから出ている指示は出来るだけ街の外に出るな、ですよね?」

「そうだな」

「魔の森に行くのは禁止されていません」

「俺ら、魔の森経由で街から街へ移動したりしたんだが」

「何やってんですか」

「「あははは……」」


 情報を集めていたポーレットもそこまでは知らなかったらしく、ジト目で見られる。清楚可憐(自称)な美少女(年齢不詳)のジト目。そういう性癖ならご褒美だろうが、リョータにそういう属性はない。


「まあ、それは極端な話ですが……えっとですね。私を雇いませんか?」

「は?」

「私、この街は結構長いので、魔の森で稼げる場所、色々知ってますよ?」

「へえ」

「うわっ、興味ゼロって反応」

「だってなぁ……」

「お二人の実力なら、十日で中金貨五枚くらい稼げる場所にお連れします!」

「お前の取り分は一日に小銀貨一枚だな」

「そこは情報提供料として大銀貨を」

「却下」

「はう……酷いです」

「だが、魔の森に行くのは……行くつもりだけど……暇だし」

「暇つぶしで魔の森に行く人って初めて見ました。でも!ならば!この街で一番役に立つポーターの私を!」

「荷物持ちは間に合ってると言うか、要らない」

「イヤイヤそこはこう……もっとたくさん持ち帰ることを目指すとか」

「移動と採集でほぼ時間いっぱいまでやっても困らないんだが」

「うう……」


 さすがに少しいじめすぎたか?でも、ホーンラビット狩り&木の実採取を泊まりがけとか無駄以外の何物でも無い。日帰りでササッと済ませて朝夕は旨いものを食ってベッドで寝る。何の問題も無い暮らし方だな。


「参考までに、お前の言う『稼げる場所』ってのと稼ぐ手段を聞かせてもらえるか?」

「えーと、場所はダンジョンです。一応三層手前くらいの場所で、稼ぐ手段は巨大トカ「却下だっての」

「どうしてですか?」

「あんなのポンポン相手できるかって」

「大丈夫ですよ、お二人なら……多分……うん……大丈夫です」

「今の間は何だ?」

「き、気のせいですってば」


 これ以上ここにいてお馬鹿なやりとりをしていても仕方ないので店を出る。


「まあ、気を落とさず頑張れ」

「うう……そ、それじゃあ!」

「何だ?」

「その……娼館送りになったら客として来てくだ「この流れでよく言えるな!」


 ゴン!


「うう……軽い冗談なのに、思い切り拳骨を落とさなくても……」


 冗談も何もリョータの年齢では店の前で追い返されるどころか、歓楽街を歩いているだけで問題になる。


「はあ……エリス、行こう」

「あ、はい……あの……気を落とさないで頑張ってくださいね」


 去って行く二人を見ながらポーレットは一人呟く。


「この状況で気を落とすなって……そっちの方が無理でしょ」




「リョータ」

「ん?」

「ちょっと……可哀想でしたね」

「まあな。でも、いちいち助けて回ってたらキリが無い」

「うん……そうだね」


 ポーレットの抱えている借金程度ならすぐに返せるくらいは用意出来る。だが、それは問題の解決にならない。ポーレットとは一緒に仕事をした仲ではあるが、そこまで親しい間柄でもないし。


「買い物して帰ろう」

「はい」




 翌朝、ギルドの外で朝食を済ませ、魔の森でホーンラビットの乱獲でもしようと話しながらギルドへ戻ってきたら、ポーレットが仁王立ちで待ち構えていた。


「おはようございます!」

「やあ、おはよう」

「おはようございます」

「さあ!今日もいい天気です!絶好のダンジョン日和です!どうですか!ポーターを連れて行ってがっぽがっぽと稼ぎ……ってスルーですか!スルーですか!」


 なんだか騒いでいるが、階段を上がって部屋に戻ると出掛ける仕度を開始する。

 ホーンラビット狩りならそれほど用意する物は多くないから準備もすぐに終わり、下へ。当然待っていた。仁王立ちで。


「さあ!どちらへ行きましょうか?お薦めはやっぱりダンジョンの……って待って!待ってくださいってば!」


 横を通り過ぎていったリョータ達の前に慌てて回り込み、お願いしますとポーレットが頭を下げる。


「あのなぁ……昨日も言ったけど、俺たちはポーターを連れて行く必要は無いんだが」

「そこを何とか!」

「……ギルドから紹介されたりするんじゃないのか?」

「それはそうなんですが、ちょうどポーターのいないパーティが無くて」


 専属のポーターがいるか、ポーターを雇っているか、負傷などで少し休んでいるか、と言ったところか。だからジェネロみたいな奴のパーティでもついていくしかなかったのか。


「そうか、じゃあ……」

「ハイ!お任「ひとりで頑張れ!」

「酷いです!」

「酷くない。って言うか、ここで騒ぐな。迷惑だろうが」

「なら!騒がなくて済むように!」

「……一つ聞いていいか?」

「何なりと!」

「お前……清楚可憐な美少女キャラで通してるんじゃなかったのか?」

「背に腹は代えられませんので路線変更です」


 お前は前後(背と腹)の区別がない体型だろうと突っ込みたかったがやめておこう。


「そうか……残念だな」

「え?」

「俺もエリスも……そうだな……あの窓際の席。あそこで優雅に紅茶を飲むような物静かな少女なら仲間に「すみません、紅茶をポットでいただけますか」


 なかなか素早いな。だが、これで外に行ける。

 そう思って外に出ようとしたら、受付嬢がこちらを手招きしている。


「支部長がお話があると」

「……わかりました」

サブタイトルが小説タイトルっぽい件

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