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第十六章 亮太の体の持ち主、判明する

ある日、泉が、「亮太、共同風呂に入れないと女子寮に入寮しなかったでしょう?女性に慣れる為に、今日は銭湯に行こう。」と銭湯に行く準備をしていた。

女湯なんていやだと拒否する亮太に、銭湯に行く道具を渡して、「行くわよ。」と亮太の手を引っ張り銭湯に連れて行った。

銭湯に到着した亮太は、女子高生など、若い女性の裸を堂々と見られるのは嬉しいが、こんな女ばかりの場所で裸になるのは抵抗あるな。と戸惑っている様子でした。

泉が、「何しているの、早く脱いで。」と泉に裸にさせられた。

入浴も泉にリードされて、浴槽では隅っこで小さくなっていると、浴槽の真ん中に引っ張られた。

入浴後、慌てて服を着て帰った。

銭湯からの帰り道に泉は、「これからも、たまに銭湯にいきましょうね。」と抵抗なく普通に女湯に入れるまで亮太を銭湯に連れて行こうと考えていた。

亮太は、「冗談じゃない。もう絶対にいやだ。」と女ばかりの場所で裸にさせられて恥かしそうでした。

泉は、「亮太、それだといつまでも本物の女性になれないわよ。」と二人で雑談して帰っていると、亮太がストーカーされている事に気付いた。

    **********

亮太は、「泉、後ろを振り向かないでそのまま歩いて。先程から誰かに尾行されている。」と伝えて心の準備をさせた。

泉は、「えっ?尾行って、私達ストーカーされているの?怖いわ。」と亮太に確りと抱きつき怯えていた。

亮太は、「泉、震えているのか?案外可愛いところもあるな。」と泉の肩を抱いていた。

泉は、「もう、亮太、茶化さないでよ。」と声まで震えていた。

亮太は、「そんなに怖いのか?大丈夫だ。俺がついている。そこの角を曲がったら隠れるぞ。」と泉が一人の時に襲われる事を恐れて、泉を守ろうとしてストーカーと対決しようとした。

    **********

角を曲がった所で隠れるとおばさんでしたので亮太は、「おばさん、誰を捜しているの?何か用ですか?」と男性だとばかり思っていたので亮太も泉も予想外で驚いた。

中年女性は、「ごめんなさい。決して怪しい者ではございません。」と焦っている様子でした。

亮太は、「怪しい者でなかったら、何故こそこそしているのだ?用事があるのだったらはっきり言えばいいじゃないか!」と中年女性の正体を知りたそうでした。

中年女性は、「ごめんなさい、実は六年前、私の娘が亡くなりました。娘はドナーカードを所持していました。娘の体を傷つけたくなかったので反対しましたが、医者から、病気や事故で苦しんでいる人を助けたいとの本人の希望です。娘さんの最後の願いを叶えてやって下さいと説得されました。内臓を取り出す以外に、頭部と胴体を入れ替える方法があり、娘の体を切り刻まれたくなかった為に後者を選びました。どこかに娘の体があると思いました。年齢からして学生の可能性があると考えました。学生でしたら、銭湯を利用する可能性があると判断して、九州から北海道まで日本中の銭湯などで捜していました。お嬢様の声が娘の声とそっくりでした。銭湯に入っていったので、今日も銭湯の準備をしていたので私も銭湯に入り、失礼かとは思いましたが確認すると、ホクロや痣などの身体的特徴が娘とそっくりでした。間違っていればごめんなさい。六年前に、頭部と胴体を入れ替える人体実験のような手術を受けませんでしたか?」と娘じゃないかと期待していた。

亮太は焦って、「痣ってなんだよ。」と中年女性の話には真実味がありおろおろしていた。

中年女性は亮太の左腕をとり、「ほら、左上腕部の内側に痣がある。色や形、大きさも同じです。娘に間違いないわ。」と痣を指摘した。

亮太は、「えっ?こんな所に痣があったのか。」と驚いていた。

泉は、「亮太も知らない痣を知っているのは彼女の話は信用できそうですね。」と泉は中年女性の話を信用した様子でした。

中年女性は、「亮太?」と不思議そうでした。

泉は、「確かに亮太は六年前に、事故で瀕死の重傷を負い、頭部と胴体を入れ替える手術をしました。亮太は首から上は男性で、首から下は女性、すなわち、あなたの娘さんで間違いないと思います。生理の処理は、いまだに私が手伝っているのよ。今日は女性に慣れさせる為に、私が無理に亮太を銭湯に連れてきました。」と説明した。

    **********

亮太は、「俺はいったい誰で、あんたは何者だ!」とどうすればいいのか混乱している様子でした。

中年女性は、「ごめんなさい。自己紹介が遅れて。私は秋山幸枝です。ぜひ、私の主人や子ども達に会って頂けませんか?」と娘が見つかって喜んでいた。

幸枝はさっそく主人に電話して、娘が見つかった事を報告した。

主人も最初は驚いていた。

その後落ち着いた主人と亮太と日時の打ち合わせをした。

最後に主人は、「間違いない。すみれの声だ。すみれと話をしているようだ。」と確信を持った様子でした。

後日改めて秋山夫妻に会うと、主人は官房長官でしたので言葉を失った。

秋山官房長官は、「話は妻から聞きました。私も最初は期待していましたが、最近は諦めていました。妻の努力が実って私も感激しています。君も突然体が女性になり混乱しているだろう。もし、私の体が突然女性になったらと考えると、君の混乱は想像できるよ。親兄弟はいないと聞きました。私達と養子縁組して私達の娘になって頂けませんか。考えておいて下さい。」と依頼された。

亮太は、「先日私と一緒にいた泉と相談させて下さい。」と泉と別居すれば、生理の処理など女性の部分で相談できないので即答を避けて帰宅後泉に相談した。

泉は、「官房長官の娘って箱入り娘じゃないの。大賛成よと言いたい所だけれども、現実はそんなに甘くないわよ。兄弟がいるのでしょう?表面上は温かく迎えてくれると思うけれども、遺産相続など厄介な問題にならない?亮太が養子縁組すれば、その兄弟の取り分が少なくなるのでしょう?その他にも、そんな名家だったら、しきたりとか色々あると思うわよ。ここは慎重に考えないと、厄介な問題に巻き込まれるわよ。」と現実はそんなに甘くないと考えている様子でした。

    **********

数日後、打ち合わせを兼ねて泉と秋山家を訪れた。

子ども達を紹介されると亮太は、「私の兄弟になるのね。私はもともと男だったから、生理など女性の部分で不明な事は泉に助けられています。生理の処理は、いまだに泉に手伝ってもらっています。」と泉を紹介した。

泉は、「生理以外にも、色々と苦労しています。スカート姿で大股開くのはやめなさいと何度も注意したのにね。こんなはしたない女性は官房長官の娘になれないわね。これで養子縁組の話は破談ね。」と横目で亮太をチラッと見た。

官房長官一家が苦笑いする中、亮太は慌てて足を閉じた。

官房長官は笑いながら、「娘が色々と大変お世話になっています。」と御礼すると幸枝が、「あなた、まだ私達の娘になるとは決まっていませんよ。娘の体でも他人ですよ。」と先走りしないように忠告した。

官房長官は、「大股開いたくらいで破談にするほど私は小さな男ではありませんよ。まだ女性の体に慣れてないのですね。先日依頼した件は考えて頂けましたか?」と同居したい様子でした。

亮太は、「養子縁組して同居するには条件があります。私はもう泉と離れられません。泉も一緒に同居する条件を了承して頂ければ特に問題はありません。」と泉と離れたくない様子でした。

官房長官は、「お二人の関係は御夫婦のようなものだと理解すればよろしいですか?その条件は私も大歓迎です。娘の事を一番理解している泉さんに、娘の礼儀作法の教育係として同居願います。条件はそれだけですか?それで私達の娘になって頂けるのですか?」と期待した。

亮太は、「このような名家ですと、しきたりや伝統なども色々あると思います。私がなじめるかどうか確認する意味で、実験的に、ここでしばらく泉も一緒に同居させて頂けませんか?その上で決定したいと思います。」と泉に忠告されたので慎重でした。

亮太の慎重さが官房長官には、亮太が軽薄な人物ではないと感心させて、ますます気に入られたようです。

    **********

その数日後、亮太は泉と官房長官宅に住む事になった。

会社には、しばらく親戚の家から通勤すると届けて、詳しい説明はしませんでした。

一か月同居して官房長官一家と打ち合わせした。

亮太は、「泉とも相談しましたが、問題が一つありました。ここからだと通勤するには電車を三回乗り換えなければならず大変です。いつまで続くか自信がありません。」と同居するにあたっての問題点を指摘した。

官房長官は、「車通勤すればいいじゃないか。免許は持っているのだろう?車ぐらい買ってあげるよ。必要であれば、泉さんの車も買ってあげるよ。」と亮太と同居できるのであれば、車の二~三台ぐらい安いと考えていた。

泉が、「うちの会社は、一部の認められた社員だけしか車通勤は認められていません。」と忠告した。

官房長官は、「禁止ではないのですね。それでは依頼してみてはどうですか?」と亮太に依頼して、亮太が務める会社の社長とは面識があったので依頼しようと考えていた。


次回投稿予定日は、4月15日を予定しています。

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