第十五章 亮太、販売イベントに成功する
ストレスから、やがて亮太は会社でも厨房や休憩室などで一人の時や泉と二人っきりの時は足を放り出すなど男を出していた。
そんな亮太を見て泉は、「ちょっと、人に見られればどうするのよ。」と亮太を宥めていた。
亮太は、「大丈夫だよ。誰もいないから。」と油断していた為に、亮太をいじめる材料を捜していた昌子に見つかってしまった。
昌子は、亮太が大股開いて足を放り出している様子を見て、「陽子さん、人のいない場所ではあんな事をしているのね。あばずれだわ。」と亮太の正体を社員達にばらそうと考えていた。
昌子が男性社員や女子社員にそれとなく伝えても、「陽子ちゃんがそんなみっともない格好しないよ。」とか、「あの可愛い陽子ちゃんが、そんな事をしないよ。自分が男性社員から嫌われているからといって、陽子ちゃんの変なデマを流すな!」と誰にも信じてもらえなかった。
昌子は、写真撮影しておくべきだったと後悔していた。
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そんななか、亮太は課長から、「取引先のキャリアウーマンが、交渉の窓口として芹沢さんを指名しました。お願いします。」と依頼された。
亮太は、「そのキャリアウーマンが、何故私の事を知っているのですか?」と何故自分が指名されたのか不思議そうでした。
課長は、「男性社員の人気が高いために気にしていると、たまたま君を通路で見かけたらしい。」とキャリアウーマンから聞いた事を説明しながらも、通路では他の女子社員も見かけるだろう。何故通路で見かけただけで芹沢君だとわかるのだろう?と疑問に感じていた。
昌子はそれが面白くなく、取引先のキャリアウーマンに、「芹沢さんは人前では大人しいですが、人のいない場所では大股開いて、みっともない格好をしていますよ。そんな女性を交渉の窓口に指名すれば、あなたの品格が疑われますよ。」と告げ口して考え直すように促した。
キャリアウーマンは、「陽子もあいかわらずね。」とクスッと笑った。
昌子は、「陽子さんを御存じなのですか?」と亮太を指名した理由を知りたそうでした。
キャリアウーマンは、「それは、あなたの御想像にお任せします。少なくとも人の悪口を告げ口する女性より信頼できると思いますよ。」と簡単にかわされた。
昌子は、取引先のキャリアウーマンにも相手にされず不満そうでした。
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亮太は会議室に通されたキャリアウーマンを見て、「あかり、あかりじゃないの。」と驚いた。
結城課長は、「君達は知り合いなのかね?」と亮太の様子から二人は知り合いのようでしたので確認した。
亮太は、「女子大時代の親友です。」と説明した。
あかりは、「こういう事はチームワークが大切です。だから親友の陽子を指名したのです。男性社員の人気も高いようなので問題ないと判断しました。」と亮太を指名した理由を説明した。
交渉の窓口をしている亮太は部長から、「津村さんは気難しく、上から目線で厳しい指摘もされ、どの部署でも苦労しているようですが、君は津村さんの心をしっかりと掴んだようで、交渉もスムーズに進んでいるようですね。結城君から聞いたが、君達は親友らしいですね。各部署で販売している商品の宣伝を、実績もあるイベント会社のキャリアウーマンである津村さんに依頼したが、君の部署だけスムーズに進んでいるので、他の部署からも君に交渉の窓口を引き受けてほしいと要望がありました。」と依頼され、亮太はOLから営業社員に抜擢された。
それが面白くない昌子は、亮太に悪戯して失敗させようとしていた。
ある日、亮太は、商品販売イベントを、イベント販売会社のあかりの協力で、昌子達女子社員も参加して実施していた。
亮太の体調が思わしくなかった為に、昌子は亮太に復讐するチャンス到来と何かしようと考えていた。
そこへあかりが来て、「陽子さん、ちょっと来て。」と亮太を連れていった。
昌子は、「ボサッとしているからあかりさんに怒られるのよ。これで交渉の窓口もクビね。」と悪戯しなくても亮太が自爆したと嬉しそうでした。
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あかりは他人に聞かれないように、亮太を自分の車に乗せた。
亮太は、「ごめん、あかり、なんだか今日は朝から体調がよくなくて・・・」と謝った。
あかりは、「ほんとうに陽子は昔から手がかかるわね。泉さんから着信があったわよ。自分の生理の周期ぐらい覚えておきなさいって言っていたわよ。」と笑っていた。
亮太は、「生理が始まったのか?どうすればいいんだ?」と焦っていた。
あかりは車のカーテンを閉めて、「見せて。」と亮太のパンティーを脱がせて確認した。
亮太は、「そうか、だから先程からムズムズしていたのか。」と納得していた。
あかりは、「もう、グチャグチャじゃないの。大学を卒業して私の役目も終わったと思っていたのに、また陽子の世話をする破目になるとは思わなかったわ。」と呆れて生理の処理をした。
亮太は、「スッとした。助かった、ありがとう。」とホッとした様子でした。
あかりは、「これで、今日一日は大丈夫よ。あとは同居人に相談しなさいね。数日は下腹部が重苦しいと思うので、無理しないでね。」と安心させて車からでた。
その後、あかりは亮太を助けていたので、昌子は一体何があったのか不満そうでした。
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昌子はイベント終了後、会社に戻って結城課長に、「芹沢さんがあまり動かなかったので、今日のイベントは不調でした。」と報告した。
結城課長は、「イベント会社の津村さんから、いままでの中で一番順調だったと報告がありました。販売数字からも順調だったと思われます。芹沢さんの数字もいいぞ。君は何を見ていたのだ?」と指摘された。
泉が亮太の事を心配して、時間を見つけて気付かれないように集客して亮太を応援していて、更に、あかりが自分の売上の一部を亮太の売上として計上していた事には昌子も気付いていなかった。
昌子は納得できずに他の社員達に、「なんか、その数字おかしくない?陽子さんがあれだけ売り上げていただなんて信じられないわ。皆も見ていたでしょう?」と問い詰めていた。
他の社員達は、「販売数字が全てを物語っているよ。」と誰も昌子には耳を傾けなかった。
昌子は、「平井さん、あなた商品の管理をしていたわよね。何か知っているのではないですか?」と真一に確認した。
亮太は、あかりが亮太を助けていた事に真一が当日気付いた様子でしたので、「平井さん、女子大時代に啓子と仲が良かった女性が最近ここにきているわよ。今度紹介してやろうか。」と手を打っていた。
真一は昌子の疑問に、「いや、陽子さんはボサッとしているようでも、結構売り上げていましたよ。お上品でお淑やかなので、ボサッとしているように見えるのではないですか?お客様は、そのような陽子さんに引かれていたので、陽子さんの売上が伸びたのだ。」と亮太を庇った。
昌子は、「陽子さんは、最近ブリッコしてないじゃないの。ブリッコじゃないのにブリッコして皆を騙していたのよ。今回も騙しているわよ。」と騙されないように促した。
真一は、「私は当日、商品を管理していました。間違いなく、あれだけの商品は売れたよ。入金もあったから間違いない。皆さんが売上を報告した数字とも一致します。どこも可笑しくないです。もし、昌子さんの指摘どおり、陽子さんがあれだけ売り上げていないのだったら誰が売り上げたのですか?それをはっきりさせないと、昌子さんはただ陽子さんを陥れようとしているだけですよ。」と指摘した。
結城課長が、「平井さんの指摘通りですよ。あなたのしている事はチームワークを乱すだけです。先日の机の件もあり、もし、この事が部長の耳に入れば退職勧告される可能性があります。私も庇いきれませんよ。」とこの件から手を引くように警告された。
しかし昌子は、亮太をいじめる材料を捜す為に、当日亮太を観察していたので亮太があれだけ売り上げていない事に気付いていて、誰かが売上数字を操作していると考えてその証拠を捜していた。
その事に気付いた真一が、「先日、課長から警告されたでしょう。クビになりますよ。」とやめるように説得した。
部長が朝礼で、「イベントが切欠になり、わが社の売上が伸びています。今後も定期的にイベント会社の津村さんに依頼して、イベントを開催する事が取締役会議で決定しました。」と社員達に報告した。
昌子は、そこまで決まってしまえば逆らっても無駄だと今回の件は諦めた様子でした。
次回投稿予定日は、4月12日を予定しています。