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第二十二章 亮太の主治医変更になる

ある日、亮太はあかりとの打ち合わせが終了して雑談していた。

亮太が、「先日あかりが、女の体の事は、病院の定期検診の時に相談しろと言っていたので色々と聞いていると、執刀医の長谷川医師も男性だから、具体的な事までは助言が難しいようで、看護師が対応してくれていましたが、それも限界のようで主治医が女性の東城陽子先生に変更になった。聞いたところによると、医学会の魔女と噂されている世界一の名医らしい。」と主治医が変更になったと伝えた。

あかりは、「魔女ってどういう事なの?女の体は不可解で魔女みたいだとぼやいていたけれどもそれと関係あるの?」と医学会の魔女の意味が理解できない様子でした。

亮太は、「俺もよくわからなかったから、看護師の寺前さんに聞くと、他の医師が助からないと見放した患者を、何人も手術して助けているそうだ。だから、東城先生の患者には、余命宣告された患者が多いらしい。患者も必死だから、そのような患者は東城先生を頼ってくるらしい。東城先生の持っているメスが魔法のステッキだという事らしい。」と病院で聞いた事を伝えた。

あかりは、「そのメスは、東城先生専用のメスなの?」と不思議そうでした。

亮太は、「いや、違う。東城先生専用のメスなんてない。他の外科医と同じメスを使っているそうだ。東城先生がメスを握れば、そのメスが魔法のステッキになるらしい。」と説明した。

あかりは、「そうか、だから東城先生は世界一の名医なのね。」と納得していた。

    **********

亮太は、「その東城先生から、コップなど持っているものを落とす事はないかと聞かれた。図星だったんで驚いたよ。両手とも強く握る事はできるので全く気にしていなかった。握力検査では全く問題がなかったので、長谷川先生も全く気付いていなかったようだ。さすが世界一の名医だな。」と感心していた。

あかりは、「感心している場合じゃないわよ。頭部と胴体が離れる事になったらどうするのよ。」と焦っていた。

亮太は、「意識的に持っている場合は全く問題ない。何ていったらいいのかな、他の事をしながら、というかコップなどを持っている事を気にしていない時に落としてしまう事がある。東城先生もしばらく様子をみましょうと言っていたので大丈夫だよ。」と世界一の名医を信頼している様子でした。

    **********

あかりは亮太と別れた後、心配して泉に伝えた。

亮太は帰宅後、泉から、「亮太、あかりさんから聞いたけれども腕が可笑しいの?」と心配していた。

亮太は、「あかりもお喋りだな。腕じゃなく手だよ。大丈夫だって言ったのに。力が抜ける訳でもないので心配しなくても大丈夫だ。」と泉を安心させた。

泉は、「本当に大丈夫なの?次回の定期検診はいつなの?私も一緒に行って、世界一の名医の話を一緒に聞くわ。」と亮太から大丈夫だと太鼓判を押されても、やはり心配な様子でした。

    **********

やがて定期検診日になり、泉は亮太と病院に行った。

亮太が泉の事を、東城先生に紹介した。

東城先生は、「医師には守秘義務がありますが、お二人は夫婦同然で、このような特殊なケースでは泉さんの協力が必要不可欠な上、患者本人からも依頼されましたので、お話します。」と泉を身内だと判断した。

泉は、「ええ、お願いします。」と真剣な顔つきでした。

東城先生は、「先日指摘させて頂いた件は、検査結果と陽子さんの様子などを総合的に判断して、そうかもしれないと確認させて頂きました。しかし、ここ数年の検査結果を見ても同じ状態でしたので、進行している様子もなく今までと変わりないです。しばらく様子を見ましょうと申し上げたのは、患者本人に症状が進んでいないか確認して頂く為です。進行もなく生活に影響がないのでしたら放置しておくのがベストだと思われます。手術にはリスクが伴います。下手に手術して別の症状がでる可能性は否定できませんので。」と説明した。

泉は、「悪化というのは、コップなど持っている物を落とす事が多くなるのですか?手術で対応可能なのですか?先程手術にはリスクが伴うと仰っていましたが、手術で腕が動かなくなる可能性もあるのですか?」と心配していた。

東城先生は、「悪化というのは、現在は、物を持っている事を意識してない時に落とす事がありますが、意識している時、例えばコップを持とうとして落としてしまうとかですね。手術は首の神経の一部を一度切断して再度繋ぎます。首には、全ての神経が集中しています。リスクというのは腕だけではなく、もし、心臓を動かす神経を傷付ければ、心臓は停止して死亡します。」と説明した。

泉は、「それは、何が起こるかわからないと理解してもいいですか?」と確認した。

東城先生は、「ええ、そうです。これは手だけではなく、他の部位でも起こる可能性は否定できません。ですから、泉さんも陽子さんの体の変調に気を付けて下さいね。」と泉に協力要請した。

泉は、「そんなの、本人でないとわからないでしょう。」と何に気を付けるのか具体的な事を確認した。

東城先生は、「ごめんなさいね、説明不足で。女性器や乳房など、女性の部分の変調には、男性だった陽子さんも気付かない可能性があります。その他、長谷川先生も男性だった陽子さんは、女性の部分の神経がうまく繋がっているのかも気にしていました。ですから長谷川先生は、そのような部位は詳しく調べていたのです。長谷川先生から、私は変態だと誤解されているようだと笑っていましたので、長谷川先生の名誉の為に説明しておきます。」と補足説明した。

亮太は、「そうか。だから、女性の部分は詳しく調べていたのか。」と納得していた。

東城先生は、「それでは、女性器の内診から始めますが、泉さんにも気を付けて頂きたいのでここにいて下さい。」と泉に説明しながら内診を始めた。

    **********

その後、泉は日程調整して、陽子が男性だったと知っている、あかりや昌子や昌子の妹の良美を秋山邸に招いて、東城先生の診察内容を説明した。

「先日、あかりさんから亮太の手に変調があるようだと聞いたので、私も心配で、毎月の定期検診の時に私も亮太に同行して先生の話を一緒に聞いてきました。」と説明を始めた。

最後に泉は、「そういう事だから、皆も亮太の生理の処理の手助けをした時には、女性器の変調に気をつけてあげて下さいね。勿論女性の部分だけではなく、体全体でも、何か可笑しい事があったら私に知らせて。病院に相談するから。」と依頼した。

良美は、「生理といえば、もうそろそろ陽子さんの生理が始めるのではないですか?」と確認した。

亮太は、「えっ?また始まるのか?」と不安そうでした。

泉は、「さすが、良美さん、良く知っているわね。もう始まっていると思うわよ。亮太!パンツ脱いで。」と生理の処理をしようとしていた。

亮太は、「トイレではなく、こんな場所でパンツ脱ぐのか?」と恥かしそうでした。

泉は、「こんな大人数でトイレに入れないでしょう。」と亮太のパンツを脱がせた。

泉は、「みんなによく見えるように四つんばいになって。」と亮太を四つんばいにさせて、東城先生からの注意点を説明しながら生理の処理をした。

生理の処理と説明が一通り終わると亮太は、「女の体の事はよくわからん。どうだった?今のところ問題なかったか?」と、そんなに心配していませんでしたが一応確認した。

泉は、「ええ、問題なかったわ。大丈夫よ。」と亮太を安心させた。

良美が、「物を持っている事を気にしていない時に落とす事があるのよね?それだったら、歩く時はどうなのですか?一歩一歩確認しながら歩いている人はいないと思うわよ。そんな事を気にせずに歩いていると思うけれども、陽子さんは普通に歩けるの?」と気になり確認した。

泉は、「さすが良美さん、細かい事によく気付くわね。そう考えると、他にも無意識に行動している事があると思うけれどもどうなの?亮太、問題ない?」と確認した。

亮太は、「問題ないかと聞かれても、無意識に行動している事だからわからないよ。気にならないのは問題ないのではないかな?そんな事を考えながら歩いていたら、逆に足がもつれるだろう。」と特に問題ないと皆を安心させた。


次回投稿予定日は、5月10日を予定しています。

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