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第三十一話 幼女への愛

 同棲一日目。


 多美さんのアパートはきれいだった。少しだけ、煙草が匂った。


「買い物に行ってくるから、純を見てて」


 生後半年の女の子と、二人で残された。


 寝顔に吸い寄せられる。透きとおるような唇の薄い皮膚を、目を近づけて見た。


 甘い息を嗅いだ。


 やっぱり幼女はいい。


 この世で最高の生き物だ。


 と、純が急に泣きだした。


 おしっこだろうか?


 おむつの上から局部に手を触れてみた。濡れているかどうかは、わからない。


 おむつをゆっくりと外した。黄色いうんちをしていた。


 おむつ拭きを取ってきて、優しく拭いた。何度も何度も、丁寧に。


 ドアのあく音がして、ビクッと振り返った。多美さんが帰ってきたのだ。


 ああ……二人っきりの時間が、終わってしまった。


「ねえ」


 多美さんに言った。


「ぼく、専業主夫になってもいい?」


「主夫? 結婚して、籍入れたいの?」


「そういうことじゃなくって、子育てに専念したいんだ」


「バイトを辞めたら、賠償金の送金ができないんじゃなかった?」


「せめて、純ちゃんが幼稚園に入るまでは、ちゃんと育てたい。だから」


「わかったわ。わたしが働くから、キーくんが育児に専念してね」


   *  *  *


 多美さんは、母乳をあげなかった。


 清伸がミルクを作った。


 離乳食も作った。


 お歌を聴かせ、抱っこであやした。


 夜泣きをすると、純をおんぶひもで担いで散歩に出た。


 多美さんは仕事から帰ってくると、テレビばかり観ていた。


 お風呂に入れるのも、一緒に寝るのも、すべて清伸がする。


   *  *  *


 三年が経過し、純は三歳半になった。


 ふと、友華ちゃんと同い年になったな、と思った。


   *  *  *


 純の首を絞める夢を見た。


 そうすれば、永遠に、純は三歳のまま。


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