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メイド ナーシャの日常  作者: うぃん
第一章 黒い髪のメイド
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屋敷に咲く黒髪の魔(1)

 王都にあるダルリア王立魔術学園にて魔術を学ばれているアルピン家 長女 カリン様が、本日、お屋敷にお戻りになられます。


 ダルリア王立魔術学園は春、夏、秋、冬にそれぞれ幾日かのお休みをいただける制度をとっていて、数日前から冬のお休みに入られたのです。


「マルカム、帰ってきたぞ」

 

 満面の笑顔でマルカム様をお呼びになります。


 その身長は非常に高く、お父様であるケネス様とほとんど変わらないほどです、プラチナブロンドのその髪は短くまとめられています。黒いジャケットにパンツスタイルと一般的な魔術師の装いとは遠くはなれたものなのですが、その美しいお姿からは、皆に知性と強い意志を感じさせます。


 その性格は竹を割ったような男気のある方で、アルピン家の関係の方などから、マルカム様より長女のカリン様のほうが騎士に向いているのではないか、魔術師を選ぶなど本当にもったいない、などという声も聞かれるほどです。


 カリン様が昔、マルカム様にこのように話されているのお聞きしたことがあります。


「私は、おまえの親の代わりだ、ただ母親ではなく父親のような感じだがな」


 といって豪快に笑うカリン様はとても印象的でした。


 カリン様は歳の離れた弟のことをいつも心配されていて、王都に滞在しているときも、よく手紙をマルカム様宛てにお送りになられます。


 マルカム様はというと、小言の多いその手紙をすこし面倒そうに受け取ってはいるのですが、やはりカリン様のことは大好きのようで、笑顔でその手紙を読んでいることを私は知っています。




 カリン様は騎士の血筋をもつアルピン家にお生まれになられながら、魔術師であった奥様の才能を受け継いだのでしょうか。魔術にも大変な適正をもっておいでです。


 私は育ての親より少しばかり魔術を学んでおりましたから、カリン様のその内に秘めた才能をつねに感じておりました。


 魔術は体内にめぐるマナを消費して神秘の技を実現させるのですが、体内のマナが少なくなるにしたがって、身体が重くなり、また意識も深い闇に沈んでいくような感覚に襲われます。


 そして一定量を下回ると、身体が動かなくなったり、意識を手放すことになります。


 そしてひどい時には死に至ることも・・・・・・。


 このマナなのですが、保有している量やまたその質に大きな個人差があるようです。


 もちろん訓練により、ある程度の向上は見込めるのですが、生まれもっている器を超えることは難しいといわれています。


 魔術師としての血筋を濃くするために、一定以上のマナを秘めるもの以外との交わりを禁ずる、などという家訓をもつ魔術師一族の話も聞くほどです。


 カリン様は幼少のころにすでにC級魔術師に匹敵するマナを体内にめぐらせておりました。

 

 そしていまでは、その技量はA級に到達しようかというすばらしい才能の持ち主です。


 王都では若き天才魔術師として学生の身でありながら、王都の宮廷魔術師に名を連ねています。


 


 ただ・・・・・・ただ、本当に悲しいことなのですが、カリン様は私に対しては少し冷たい態度をとられます。

 

 なぜなのでしょう? ここのお屋敷にきた当初はそうではなかったように思います。


 カリン様の成長とともに少しずつ距離を感じるようになってしまいました。


 先ほども、カリン様とマルカム様がお食事を取られているときですが、時折厳しい顔でこちらを睨んでいたように感じました。


 本当に悲しい。きっと何かわたくしに至らない点があるのでしょう。


 このお屋敷にきたぱかりのときのように、朗らかな笑顔で接していただけるようこれからも精一杯がんばっていきたいと思います。



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