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運命的

登場人物



三杉慎二(慎慈・しんじ)

23歳。俳優。幼い頃から超能力があったが、大人になるにつれて能力が止まっていた状態だった。ジャン・ジェイラヴに出会ってから封印が解けたように超能力が動き出す。超能力以外に未完ではあるが魔法の能力も備わっている。瞑想をするので物事を明瞭に理解する。マーシャルアーツが得意。



レイン

デュガムバス国の優秀で天才的な魔法使い。

悪に対して強い憎しみを抱いている。攻撃的で気性が荒いが、妹のジュリアに対しては優しくて、すべての愛情を注いでいる妹思い。両親を早くから亡くし、孤独な一面も垣間見れる。 ハンサムな顔立ちをしている。



神藺絵莉(かむいえり)

16才の女子高生。魔法使いの血を引いている。

明るくて思いやりがある女の子。親友の真梨とは大の仲良し。強気な性格で魔法も攻撃的。絵莉は華のある女の子。



ジャン・ジェイラヴ

バルドギュラス国の『ディリラバ』という最高位の魔法使い。ディリラバは防御や守護、医療専門の魔法。慎二の能力に期待をしている。一度は慎二に助けを求めて拒否をされた。



グザリフ

・ジルアズバ国の殺し屋。


○これまでの魔法の説明


【ファムまたはフォム】

・追尾波動砲


【ファムラウン】

・強大な追尾波動砲


【ディラグバス】

・3重のバリア


【ラギラーミン】

・動きを止める魔法。


【ギャムワンズド】

・物を消す高度な魔法。

【残像火球】

・5発連続のファム。



○その他


艶夢市(アデム市)

慎二、レイン、絵莉、ジュリアが住んでいる街。


『光の扉』

・魔法界と現世を繋ぐ扉。結界が張られている。


『龍の神殿』

・ドラゴンの住み処。


『龍の門』

・龍の神殿にある門。

 レインは高層ビルの屋上でジャン・ジェイラヴと話していた。倉庫で火災前に現れた金髪に赤い瞳の男との格闘した件についてを詳しく説明をすると同時に、彼の事について、何か情報を知りたいと思っていた。


 「ジャン、彼の正体について知りたいのだが、何か心当たりはあるのか?」レインは中々の腕前だった男を思い出して言った。


 「グザリブという名前の男だ。私の命を狙う殺し屋だが、ひょっとしたら、レインの事も狙っているのかもしれない」


 「ある犯罪者が『9階にいたのは、お前か?』と俺に尋ねてきたんだ。9階にいたのは、奴の事グザリフを意味しているのか、それとも、ジャン、あんたの事なのかを知りたい」


 「それは私じゃない。グザリフと思うかもしれないが、あの時は私が逆にグザリフを追跡していたんだ。グザリフの行き先は、倉庫以外には不審な動きは見られなったよ」


 「一体誰だったんた? 犯罪者は、男の姿を見てはいないらしいが《何か》を聞いたかもしれない。人気のない9階で何をしていたのか? 後日、調べなければならない」とレインは憂鬱な気持ちで物思いに耽りながら言った。


 「ジャン、下に見える夜の街を見てみろ。艶夢が燃えている。天候の悪い日がそろそろ半年近くにもなろうとしているし、艷夢に住む人達の顔付きにも異変が起きている。皆して、キツイ顔付きになっているのが本当に気掛かりだ。不吉な予感が胸中に去来しているのかもしれない」とレインは言って苛立ちを隠しきれないでいた。


 「レインの言う通り、確かに落ち着きのない顔をした連中が多い。人間には五感以外に、第六感がある。人間には無意識で感じ取る能力が備わっているんだ」とジャン・ジェイラヴも心配そうに話した。


 「ジャン、魔法界と現世が繋がる『光の扉』は開けられているのか?」


 「『光の扉』はそう簡単には開けられないだろう。魔法使いの門番が10人はいるのだからね。チェックが厳しいし、結界も張られている。人間も『光の扉』を見つけるのは極めて困難なはずだ。確実に閉められた状態だと言えるよ。私は時空間ワープをして現世に来た」

 「俺はデュガムバス国にある『龍の神殿』、龍の門を開けて来たんだ。龍の門はワープが出来るからね」とレインはドラゴンを思い浮かべていた。 


 「レイン、よく見つけたな! あらゆる世界を繋ぐ空中に浮かんだ幻の神殿、何処にでも行き来が可能と言われる『龍の神殿』か。常に宙をさ迷うために、見つけるのが難しいと言われた神殿だ」ジャンは興奮気味で話した。


 「ドラゴンの住み処、隠れ家でもある」とレインは付け足した。


 「ドラゴン。天の使い、正確には、聖なる記憶の使い。無限の叡知を持つ偉大な化身。残念ながら『龍の神殿』はバルドギュラス国では見つけられなかった」とジャンは下を向き足元を見ていた。


 「ジャン、バルドギュラス国にもドラゴンはいるはずだろう?」


 「ああ。確かに、ドラゴンが大空を横切る姿を見掛けた事が2、3回はある」とジャンは悔しそうに言った。ジャンは咳払いをしてから話を続けた。


 「ドラゴンは滅多に見れない存在だし、いつ現れるかもわからない。世界が不安定になると現れるともいわれている。ドラゴンは災いか幸運かどちらかを与える存在かもしれない。


 本当の事を言うと、魔法界の混乱で、現世に悪影響を与えたくはない。

 魔法界では昔から領土の拡大や激しい侵略や抗争が繰り返されてきた。

 平和な時期もそれなりにはあったのだが、たった一人の馬鹿が登場すると、馬鹿のために、たちまち混乱と化していく」とジャンは怒りを込めて胸の内を吐き出した。


 「俺の祖国、デュガムバス国、ジャンの祖国、バルドギュラス国は友好国だ。私を含め、必ず平和を取り戻すために力を貸してくれる仲間が現れるはずだ。

 良い兆候があるならば、仲間が現れるのを信じで待とうじゃないか」とレインは心強い言葉をジャンに真剣に伝えた。


 「そうだな」ジャンは勇ましい顔をしていた。


 空気を切り裂き轟音が近づいてくる。

 照明弾のように闇夜に明るく光ったものの正体、それは火球の音だった。


 レインとジャンがいる高層ビルの屋上に火球は迫っていた。


 「ジャン、危ないぞ!!」レインは叫んで危険を知らせた。身構えたジャンは、空を見上げていた。

 5発の火球がまとめて襲い掛かってきたのだ。


 レインとジャンは屋上全体を包み込むようにしてバリアを張った。


 火球が側まで迫った時、男が横から飛んできた。バリアに向かって呪文を唱えると、レインとジャンのバリアは消えてしまった。


 レインは静かに男を睨み付けた。男は殺し屋グザリフだった。

 ジャンが再びバリアを2重にした呪文を唱えて張るとレインに合図を送った。


 レインも強めの防御魔法『ディラグバス』を唱えて3重のバリアを張り巡らせた。

 グザリフは舌打ちをしながらバリアの外側にいて火球が当たる様子を見物することにした。


 火球は続け様にバリアに衝突したのだが、バリアが破られることはなかった。

 レインは間も入れずに、グザリフに「ファム」をお見舞いした。

 グザリフは左にシールドを浮かばせて防護をするとファムは消滅した。


 レインは向かい側の高層ビルの空を見ていた。レイン達の様子を見ている人影あった。

 男はレインの視線に気付くと、素早く横に移動してから消えてしまった。


 殺し屋グザリフは狂気に満ちた怪しい瞳でレインを見ていた。

 「ジャンにレイン。二人まとめて葬ってやる!」とグザリフは叫ぶと、ジャンに向かって残像火球を撃ってきた。


 残像火球は1回に5発の火球が放たれる魔法で、しつこいまでの火球攻撃が特徴だ。かなりの威力があって、先程のレインが唱えたバリアの魔法『ディラグバス』を張ればダメージは大幅に軽減される。


 ジャンは残念な事に『ディラグバス』ができなかった。代わりにレインがジャンのスペースに『ディラグバス』を張り巡らせた。


 残像火球が連続でジャンを守る『ディラグバス』に当たると、鈍い衝撃音が響き渡った。

 『ディラグバス』は見事に残像火球を跳ね返した。

 「グザリフ、貴様は終わりだ」レインは冷酷な声を腹から出して叫んだ。


 「レインか、フフフ。バルドギュラス国の高貴で最高の魔法使い。御目に掛かれて実に光栄の極みだ。レイン、貴様も威勢だけは良いみたいだな。お前の命も戴く」クザリフは叫ぶと呪文を唱え出した。


 「グザリフ、お前こそ、この場て最後を迎えることになるんだ。覚悟はできているのか?」とジャンは言うと、解けたディラグバスを抜け出てレインの横に来た。


 「ハハハハ。笑える。お前たちが先に死ぬんだ!」グザリフは両腕を二人に向けて魔法『ファムラウン』を唱えた。ファムラウンは少しばかり時間が掛かる魔法だがファムの大型バージョンであり効果は高い。 これを、まともに食らうと高層ビルも崩れ落ちるであろう。


 「食らえ!!」グザリフは両腕を真上に上げて、レインとジャンにファムラウン投げ飛す用意をした。


 「どうする? レイン」


 「ジャン、ディラグバスをもう一度、張る」とレインは再びディラグバスを張ると、勢いよく飛び出してそのまま直接、グザリフに向かっていった。


 レインは腕を上げて準備をするグザリフのお腹に強い蹴りを入れた。


 グザリフは息が出来なくなり力なく沈むと、高層ビルの屋上に向かって落下していき、めり込む形で仰向けで倒れた。


 「グフッ、やるな」グザリフは悶えながらも体を起こすと瞬間移動でレインの背後に行き、両腕でレインの首を絞めた。


 今度はジャンが瞬間移動をすると、逆にグザリフの背後に回り込み、至近距離から後頭部を力一杯に殴り付けた。

 ジャンは続けて、前に頭を揺らして空中でよろめくグザリフの股間を目掛けて思い切り蹴り上げた。


 グザリフの目が飛び出さんばかりになっていた。

 呼吸が取れず、虚ろな視線でジャンを探していた。

 動きが回復していない状態なのにグザリフは、左腕を後ろに下げると力任せに前に突き出した。


 レーザー剣がジャンの腹部を貫通した。


 「ジャン!」レインは喉に違和感を感じながら掠れた声で叫んだ。


 グザリフは笑いながら、顔面が蒼白になって口をパクつかせて血が滲むジャンの腹部にファムを撃った。 ジャンは力なく屋上に落下していった。


 レインはジャンより先に屋上に行くと落下するジャンを抱き止めた。


 無防備になった二人に向かって、今度こそはとファムラウンのエネルギーを集めるグザリフは勝ち誇った顔をしていた。


 レインは魔法でジャンの腹部に手を翳していた。

 治せる範囲の怪我だが一刻を争う程の重傷だった。

 ジャンは目を閉じて荒い呼吸をしていた。




――――――――――――




 慎二は映画の撮影を終えて、艷夢駅からタクシーで自宅に帰宅する途中で災難を受けていた。


 慎二はタクシーの中で火球が飛んでくるのを目撃していた。


 揺れるほどの衝撃を受けた後に道路に10メートル程の大きさの穴が至る所にできていた。


 慎二はタクシーを降りると、先にある高層ビルの屋上を見上げていた。慎二は通行人や逃げ惑う人を掴まえては事情を聞いた。


 皆、一様に「何がどうなっているのか分からない」と同じ説明を繰り返すのみで緊迫する状況に怯えきっていた。


 道路は人で溢れかえり混沌としていた。

 焦げ臭い臭いが辺り一体に漂っていた。


 慎二は側にある地下鉄の入り口の階段を見つけると素早く駆け降りた。


 トイレに行き個室に入ると鍵を閉めて、先ほど見た高層ビルの屋上に向かって瞬間移動をした。


 ジャン・ジェイラヴが血塗れで倒れていた。


 慎二はジャンを介抱している男の姿を見ると、一瞬で状況を理解をして判断をした。


 慎二は宙に浮かんでファムラウンのエネルギーを集めているグザリフに何かを唱え出した。


 グザリフの集めたエネルギーが吸い取られていく。グザリフは、ファムラウンができない理由が分からなくて戸惑っていた。


 レインは異変を察知して慎二を見つめた。


 慎二はレインに黙って頷くと、グザリフに向かってマーシャルアーツと超能力を織り混ぜた攻撃を仕掛けた。


 慎二は宙に浮かんでグザリフの側に行くと、グザリフの動きを完全に止めて、これでもかと言うばかりに顔面を強く殴り続けた。


 グザリフは何が起こったのか全く理解出来ないでいた。


 慎二はグザリフに向かって「消えろよ」と静かに呟いた。グザリフの顔は蝋燭のように溶け始めた。


 グザリフは自分の顔を押さえたがったが動かせないでいた。

 慎二はグザリフに対して何の感情も持たずに攻撃をしていた。


 グザリフは体全体も溶け始めていた。


 「た、助けてくれ」とグザリフは叫ぶと涙を流し始めた。


 「命乞いか。今さら遅いと思うよ」と慎二は言い捨てると、レインとジャンの傍に向かった。 


 グザリフは力を振り絞って逃げようと試みたが、無理な話だった。


 レインは慎二に畏敬の念を込めて見つめていた。


 「ジャンは大丈夫か?」と慎二はレインに話し掛けた。

 「ああ、もう少しで随分と良くなるよ」とレインは慎二に優しく言った。


 グザリフは溶けゆく顔を歪ませて慎二の超能力を解くと姿を消した。





つづく

ありがとうございました♪これからも宜しくお願い致します!

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