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流さんの話

 流は深呼吸をした後、周りを見渡して咳をひとつしてから、静かにゆっくりと話し始めた。


 「このカフェを出て左に行ったら交差点があるだろう? その手前で手相占いをする老人に会ったんだよ」

 

 「老人? 手相占い? いましたっけ? 見たことがないなぁ」慎二は首を傾げ横に振りながら言った。


 「俺も見たことがなかったからさ、なんだか様子が変だなぁとは思ったよ。占いに全然興味がないので、そのまま通り過ぎようとしたらさ、『待てよ!』と老人に呼び止められたんだ」

 

 「なんか買わせようとしたんじゃないんですか?」

  

 「ハハハ。俺も同じことを考えたよ。でもな、そうじゃなかったんだよ。お爺さんは黒のスーツを綺麗に着こなしていて粋な老人だったよ。良い歳の取り方をしているなぁと感心したくらいさ。老人は『お前の知人に若い男がいるだろう?』と話し掛けてきたんだ」

 

 「まさか、僕じゃないでしょうね?」慎二はコーヒーの残りを飲んだ。

 

 流はニヤリと笑って「まあまあ、先を話しても良いかい?」と笑った。慎二は微笑みながら黙って頷いた。


 「老人は『その男は選ばれた男。今すぐに会わなければならない。1度、私のところへ連れて来てくれないか?』と言ったんだよ。


 俺だってまだ49歳だ。気持ちは若いつもりだからね、『俺の世代は若い部類に入りますかね?』と聞いたらさ『お前も十分に若いが、更に若い年代の事を言っているんだよ。気分を悪くしないでくれよ。20代前半の男、誰か心当たりのある人間はいないか?』と老人は目を閉じながら話を続けていたんだ。

 

 俺は心の中で(目が不自由な方なのかな?)と思っていたらさ、老人は『心配はいらない。しっかり見えているよ』と答えたんだ。

 俺は何も声を出して言っていないからよ、胸が気持ち悪くなったんだ。あの老人……、薄気味悪くてさ」


 「流さん、それはいつの話なんですか?」


 「昨日だよ」


 「話を続けてください」と僕は先へ促した。


 「20代なら、まず最初に慎二か、常連の北川という男が頭に浮かんだ。北川はここ最近は来ていないし、他の20代の常連だと女性客が多いから、女性も念のために2人ほど頭に思い描いてはみたんだ。

 

 『この場合は、やはり男だろうな』と俺は思い直して、頭の中で慎二の事を強く考えたんだ。 

 

 すると老人がカッと啓示を受けたかのように、目を見開くと『その男だ! 今すぐ呼ぶことは可能か?』と言ってきたんだ。


 俺は(考えていることが分かるのか? かなりヤバイ奴だな)と思い、足早にその場を去ろうとしたら、足が固まって動けないんだよ。体が震えてきて、俺は怖くなったんだよ。こんなことは今まで1度もない事だからね。


 老人は『返事は?』と聞いたので、俺は早く去りたいがあまり『わかりました。伝えてみます』と言った後に、俺は老人に名前を教えていないのにさ、こう言ったんだよ……。


 『間違いなく三杉慎二を連れて来るようにな』と念を押すようにね…。

 

 

 

 カランカラン♪

 

 

 

 ドアの呼び鈴が鳴り響き僕らは驚いて振り返った。

 

 若い女性が2人でカフェに入ってきた。 

 

 「こんにちわぁ~。マスター、メロンソーダとアイスティーをくださぁ〜い♪」注文をした若い2人組の女性はテーブルに向かい合って座った。


 「かしこまりました」流は頭を下げるとテキパキと仕事に取り掛かっていく。

 

 「流さん、それは本当の話なんですか?」僕は神妙な顔をすると怪しげな話の続きを待った。


 「ああ、本当だとも。俺も付き添うからよ、明日辺りに、一緒に占い師の所へ行ってみるのはどうだい?」

 

 「流さん、今から行ってみましょうよ!」僕は勢いよく立ち上がって言った。

 

 

 

 

つづく

読んでくれてありがとうございました!自分でもどうなるのか分からないので、楽しみにしています!またよろしくお願いいたします!

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