また困った事があったら私達を頼っていいぞ
図書室から半ば強制的に追い出された俺たちは弁当を持って廊下をさ迷っている。
「くそっあの三つ編みめ、まじめ振りやがって。」
「まぁまぁそういうな。彼女も自分の仕事を全うしただけだ。それに私達にも非があるしな。」
「まぁそうだけどさぁ。」
このご時勢、そんなまじめに働いても損するだけだ。
現に、変にまじめな所為であられのないことを吹き込まれ裸エプロン等をやってしまう堅物を俺は知っているからな。
その話は置いておいてそれよりも。
「つか、さっきの警報は結局なんだったんだよ。エイリアンなんて現れなかったぞ。」
「ふむ、私のこの時計は最新鋭の技術で作られているから故障や誤報などありえん。間違いなく近くにエイリアンはいる。私の傍から離れるなよ。」
ぎゅううううう。
「おいくっつくなよ離れろっ!」
目立つからっ!それに色々あたってるからっ!
「いや、離すと心配でな。」
「大丈夫だからっ!大体こんなにくっついてたら戦えないだろっ。」
「む?それもそうだな。」
バっ。
開放された。
やれやれ、だからまじめちゃんは嫌いだ。
なんやかんやで放課後、その後も俺はエイリアンに襲われることなく午後の授業も終了した。
「よし、学校も終わったことだし帰ろうか希伊人。」
「そうだな。」
こいつと帰ると銀髪やらおっぱいやらが目立つので一緒に帰りたくないのだが。
廊下を二人で歩いていると前方から見覚えのある三つ編みのシルエットが見えてきた。
「やぁ友子。何をしているんだ。」
ターニャが気軽に話しかける。
「あ、今丁度図書室にこの資料を持っていく……ってはわわわわわっ!」
なにもない所で急にズテーンと派手に転ぶ友子。
「大丈夫かっ!?」
それに素早く反応し手を差し伸べるターニャ。
「あ、ありがとうございましゅ……。でも資料が。」
転んで廊下に散りばめられた資料。
それのターニャが一枚一枚丁寧に拾う。
「ほら、資料は無事だぞ。……どれ、私達も図書室まで同行しよう。いいだろう希伊人。」
「……別にいいけど。」
めんどくせぇー。
だが立ち会った以上仕方がない。
俺は渋々だが了承し図書室へと向かった。
図書室に入る。
夕焼けがいい感じに差し込んでおり雰囲気がでている。
「よいしょっと。……ありがとうございます!これで終わりです。」
「うむ、また困った事があったら私達を頼っていいぞ。」
「おい、勝手に俺もカウントするな。」
「へっくしょんっ!」
「ふふっまぁそう硬いことをいうな。」
「あの、とにかく二人ともありがとうございましたっ!」
「ああっ!」
ターニャが清々しい笑顔で返す。
それにつられたのか友子も笑った。
夕日が差す図書室には二人の笑い声が響いた。
と、綺麗なオチで終わるはずなく。
「おい、今誰かくしゃみしなかったか?」
「私ではないが。」
「わ、私も違います。」
おかしい、確かに誰かがくしゃみをする声が聞こえたのだが。
ぐるりと図書室を見渡す、しかし俺たち以外に人はいない。
その代わり観葉植物が隅にあるくらいだ。
しかし。
あの観葉植物、何かおかしい。
昼間に友子が水をやったとはいえ一枚の葉っぱにあの水滴量はおかしい。
ジリジリ近寄って見る。
そして。
「お前、なんでそんなに濡れてんだよ。汗っかきかよ。」
「……いや自分汗っかきとかそういうんじゃないっすよ。」
「おいターニャこいつがエイリアンだっ!!」
「いやいやっ!違いますよっ!自分観葉植物なんでっ!ただ喋れるだけの観葉植物なんでっ!」
「嘘付けっ!草が喋る訳ねーだろっ!」
「それはその…………てへっ。」
ジリリリリリリリリッ!!!!
ターニャの腕時計が図書室に響き渡った。
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