はい、あーんっ。
「っべー!転校生まじっべー!」
「うわ!美人さんだっ!」
「おっぱいすげー!」
「銀髪美少女ktkr!」
「「「萌えるっ!」」」
転校生であるターニャの登場に盛り上がる一同。
ターニャも満更ではない表情を浮かべてる。
「な……え?えぇ……。」
そんな奴らとは裏腹に俺は困惑していた。
なんでターニャが学校に?つか制服がコスプレ感半端ないんだけど。
「では、ブラウス。空いてる席に座ってくれ。」
「了解した。」
スタスタ。
「……隣の席とは偶然だな。学校でも宜しく頼むぞ希伊人。」
……しかも俺の隣だし。
これからどうなんだよ、俺。
キーンコーンカーンコーン。
昼休みのチャイムが鳴り、各々蜘蛛の子ように散り教室から出て行く。
俺も昼食を食べにある場所に向かう。
静かに一人でゆっくりと食べられる場所だ。
「おい希伊人。君の分のお弁当も作ってきた。一緒に食べよう。」
「いらねぇ。」
ターニャが差し出した弁当箱を手で押し返す。
「なんだ、折角作ってきたのに。……まぁいい一緒に食べようじゃないか。」
「だから嫌だっていってんだろ……俺もう行くから。」
「なにをそんな頑なに……っておいっ!どこへ行くんだ!?」
俺はターニャを無視してスタコラとある場所へ向かう。
やって来たのは図書室、俺はここで昼を過ごす。
今時図書室を利用する奴など皆無で一人で過ごすには持って来いの場所だ。
え?図書室での飲食は禁止だって?
細かいことは気にすんな。
俺は日差しが丁度当たるお気に入りのスポットに座り、今朝買っておいたコンビに弁当の蓋を開けた。
すると。
ガラララ。
「……やっと見つけたぞ、希伊人。」
「チっバレたか。」
「さぁ、観念して私と一緒にお昼を食べてもらおうか。」
「わぁーたっよ降参だ。」
ターニャが俺の正面に腰掛けて。
「では、頂こうか。」
ターニャが弁当の蓋を開く。
中身は肉と野菜のバランスが取れている幕の内弁当のようだ。
……正直そっちの方が美味そうだな。
「おい、やっぱり俺弁当もらうわ。」
「そういうと思っていたぞ。ふふっ素直じゃない奴め。」
どこか嬉しそうに俺ようの弁当を取り出した。
そして。
「はい、あーんっ。」
「いや自分で食えるしっ!?」
「そうか?こうすると日本の男子は喜ぶと……。」
「またそれかよっ!っ……もういいから弁当よこせ。」
俺はターニャから弁当を奪い一口食べる、うん美味い。
その後もターニャの手作り弁当に舌鼓を打ちつつ、どうしても気になることがあるので質問してみる。
「なぁ、なんで学校にいんの?わざわざ転校生になって。」
「無論、希伊人を護衛する為だ。」
「はぁ……。」
「エイリアンはいつ襲ってくるかわからんからな。……うむ、この卵焼き美味いな。」
卵焼きを頬張りながらターニャがそんなことを言う。
「それに学校というのも気になっていたしな。話に聞いたよりは楽しいぞ。」
そういいながらポケットを漁って。
「皆優しくしてくれるし、それにほら、これは同じクラスの尾多暮君がくれた物だ。その人形が私に似ているとかなんとか。」
ターニャが手に持っているのは今流行っている深夜アニメの『マジカ☆マジスカ』に登場するキャラクターのフィギアだった。
「貸せ、へし折ってやる。」
「嫌だっ!何をする止めろっ!」
フィギアを奪い、へし折ろうとすると。
ジリリリリリっ!!!
「な、なんだっ!?」
ターニャの着けている腕時計から警鐘音が発せられる。
「むっ!?この反応はっ!?」
「どうなってんだよ一体っ!?」
「希伊人っ!近くにエイリアンがいるぞっ!気をつけろっ!」
「はぁっ!?」
いきなりの出来事で訳がわからないがターニャの顔つきから見て事の重大さがわかる。
静かな図書室に緊張が走る。
そして。
ガララっ!
「来るっ!」
ターニャが俺を背中に隠す。
くそっ!エイリアンがまさか本当に襲ってくるなんてっ!
一体どんな奴だ俺を狙っているのは。
ターニャの背中からチラっと顔を覗かせてエイリアンの顔を拝む。
すると。
「は、はわわわわわわっ!!!!」
えぇ……。
図書室に入ってきたのはエイリアンなどではなく、三つ編みのメガネっ娘でしたー。
なにこれ。