今日から世話になる転校生のターニャブラウスだ。
ジリリリリリッ!
うるさい目覚まし時計が朝を告げる。
俺は寝ぼけた目を擦ってアラームを止めた。
「ふぁーあ、眠い。」
欠伸をしながら布団から出て、リビングに向かう。
トーストを齧りながらモーニングコーヒーを楽しむ、これが俺の朝の楽しみである。
そういや、ターニャは何してんだろうなぁ。
ガチャリ。
「おはよう希伊人、朝食の準備が出来ているぞ。」
「…………なんで朝から裸エプロンなんだよ。」
「む?上司からはこれが日本の朝の定番と聞いたのだが……。朝から元気ムクムクになるとかなんとか。」
「いや、擬態語の時点でおかしいだろっ!」
上司も絶対からかって教えてるだろそれっ!
「ふっまぁいいさ。早く朝食を食べよう。」
納得はしないが渋々席に座り朝飯を食う。
ターニャが作ってくれたのはご飯に味噌汁、そして卵焼きと焼き魚といったこれぞ日本の朝食といった献立だ。
俺は卵焼きを箸でとって食べる。うん、美味い。
「そういえば希伊人はこれから学校という場所に行くらしいな。」
「ん?ああそうだけど。」
「そうか、その、私の故郷では学校とやらがなくてな、その楽しいのか?」
「楽しくねぇ。」
即答してやった。
「楽しい訳ねぇだろ、学業に勤しむっていう本分を忘れて分け目もふらずにイチャコラするカップルとか大声で下ネタ叫べば面白いと勘違いしている野郎とかがウジャウジャいるんだぜ?ちっとも楽しくねぇよ。んな所。」
「そ、そうか…………気を引き締めねばな。」
「あん?」
「いや、こっちの話だ気にするな。」
「そうかよ。」
その後も特に会話はせず、朝食を食べ終わり学校へ行く準備をする。
「……そんじゃ行ってくるから、あっ!お前その格好で出歩くなよ。近所で色々噂されたら困るからな。」
「うむ、心得た。……それでは、んっ。」
ターニャは瞳を閉じて唇をこちらに差し出してくる。
「なにしてんだよ急にっ!」
「ほら、これも常識なのだろう。……これでも私も恥ずかしいんだ。早くしてくれ。」
「だあああああっ!!!もうっ!行ってきますっ!!!」
「お、おい良いのか?……ではまた後でな。」
ターニャから逃げるように俺は猛ダッシュで学校へと向かった。
「ふぅー。ったく朝からなんでこんなに疲れなきゃいけねーんだ。」
学校に着き、机に顔を伏してから一息。
なんだかターニャが着てからため息をつく回数が増えた気がする。
この先も苦労が増えんだろうなぁ。
白髪とか生えなきゃいいけど。
キーンコーンカーンコーン。
そんな事を考えてるうちに始業のベルが鳴る。
各々席に着くが何故かクラスの奴らはそわそわしている様だ。
それもその筈、実は今日転校生が来るらしい。
この時期に転校とは珍しいが。
そのせいでクラスではその話題で持ちきりだ。
「っべー!今日転校生来るらしじゃん?っべー!」
「イケメンかな?イケメンかな?」
「馬鹿野郎、おっぱいがぷるんぷるんの美少女に決まってんだろっ!」
「いやいや、きっと黒セーラーで黒髪で赤目の美少女が妖刀なんか持ってて『転校してきたの。この町の潜む闇を斬りに。』とかそういう展開に決まってますぞっ!!!」
「「「萌えるっ!」」」
など等、リア充や、馬鹿女に下ネタ男、クラスの隅にいるオタク共が各々好き勝手言っている訳だけれども。
いや、最後特におかしいだろ、なんだよその厨二くさい設定は、お前らラノベの読みすぎだろ。
とまぁ色々盛り上がってはいるが俺には特に関係はない。
群れをなさず孤独な一匹狼の俺にとってクラスメイトが一人や二人増えた所で関わりがないからな。
ガララッ!
「はい、お前ら席につけよ。」
先生が入ってきてクラス中が期待の空気に包まれる。
そして。
「知ってると思うが今日このクラスに新しく転校生がくる。お前ら仲良くするように。……よーし、入っていいぞ。」
「……今日から世話になる転校生のターニャブラウスだ。皆よろしく頼む。」
ぼへぇ……。
明日こそ一日一話投稿になると思います!よろしくお願いします!