どうだ、これで少しは安心したか?
結局、ターニャとは湯船に浸からず、俺は先に風呂から上がり早々に寝ることにした。
「ふぃー。」
布団に入って息を一つ吐いてから、目を瞑る。
今日は本当に色々あった。
いきなり訳がわからないモンスターに襲われるし、家に帰れば裸エプロンの女は居るし、おまけにその女がエイリアンバスターで何故か狙われている俺の警護に来たっと。
改めて状況を整理しても訳がわからん。なんで俺がこんな目に会わなきゃいけねぇんだ。
そして、ターニャ。
いい奴そうだが、今ひとつ常識知らずというか、そもそもあいつは何人なんだ?
エイリアンバスターなんかやっているからターニャも宇宙人なのか?
うーむ、わからん。取りあえず寝るか。
ガチャリ。
「希伊人。」
「んだよ……ってうわっ!」
俺の寝室に入ってきたターニャの格好は寝巻き用のシャツにパンツ姿。
おまけに寝巻きのボタンは全開で、その色々見えてるんですけど……。
「前を隠せ!前をっ!」
「ああそうか、すまん。」
そういってプチプチと下から順にボタンを閉めなおすターニャ。
その度に大きな胸が揺れて、目のやり場に困る。
「……で、なんの用だよ。」
「私は一体何処で寝泊りすればいいのだろう。」
はぁ?
「いや、自分の家に帰れよ。」
「ううむ、だが護衛任務だからな。何時も希伊人の傍にいなければならん。」
「それはお前の都合だろっ!俺は知らん。……そもそも勝手に人ん家入ってる時点でおかしいだろっ!」
「ふむ、確かに希伊人には言ってなかったがちゃんとご両親には了承を得てるぞ。」
そういって先程の腕時計からまた立体画面を表示させると俺に見せてくる。
そこに写っているのは小難しい文章、そして一番下には俺の両親の名前が記されている。
「なっ?」
「あぁ……本当だ。」
くそっ!あのクソ親共はっ!
「……ところで希伊人のご両親は何時頃帰宅するのだ?」
「……海外出張で両親ともいないよ。……三年前からな。」
だから俺は中学の頃から一人暮らし。初めは寂しかったがもうこの生活には慣れた。
「そうか。……寂しくはないか?」
「寂しい?はっ、寧ろ快適な生活を送ってるよ。門限もないし学校サボっても何もいわれない。最高の一人暮らしさっ!」
俺は意気揚々とそう巻くし立てた。
――本当は、今も少しだけ
ガシっ!
「ふがっ!?」
不意にターニャが俺に抱きつく。
温かくて優しい温もりと大きな胸が俺の頭を包み込む。
「な、ななななんだよ急にっ!」
「……希伊人が悲しい顔をしているからな。どうだ、これで少しは安心したか?」
ぐぅの音もでない。
実際俺はその温かさに安心してしまっているからだ。
「……俺の母さんの寝室が空いてるから好きに使えよ。」
「すまない、使わせてもらおう。」
そういうとターニャは俺から離れ、寝室のドアノブに触れる。
「では、希伊人。また明日な。」
ガチャン。
そういい残してターニャは部屋を後にした。
一人取り残された俺。
ほんの少し、ほんの少しだけ彼女の体温が頬に残っている。
その温もりを感じて、俺は再びベットに入った。
今日の九時にもう一話更新します!