なんならあんたも試してみるかい? 俺の強さってやつをよぉ。
俺は倒れたマダンナをそっと地面に置いてこっそりと牢屋を後にした。
なんとかしてここから脱出して地球に帰らなくては。
帰る方法としてはいくつかある。
まず一つ目はこの海賊船を乗っ取ってそのまま地球に帰る。
二つ目はどこかにある移動用の小船の様な物を見つけてそれに乗って帰る。
パイクが地球に来る際、わざわざ海賊船ごと地球に来ているかというとそれは考えづらい。
だとするとなにかしら移動用の小船、エイリアンだから、UFOか?があるはずだ。
海賊船を乗っ取るといっても俺にそんな戦闘能力はない、なので後者を選択した。
そろりと牢屋の入り口から顔を覗かせ周囲を確認する。
確か見張りのエイリアンが先程マダンナに退出させられているはずだ。
きょろきょろ確認してみると。
「おい、お前っ!」
不意に声をかけられる。
驚いて声の主の方を見てみるとやはり見張りのエイリアンがそこにいた。
「なんで、牢屋から出ているんだ? マダンナ様はどうした? 」
まずいな、早速ピンチだ。
どうする……っ!
「……マダンナならそこで伸びてるぜ。」
俺は自信たっぷりな表情を作ってそう言った。
「何っ!? マダンナ様が倒れている? どういう事だ? 」
「……俺が倒した。」
「嘘を言うなっ! お前みたいな餓鬼にマダンナ様が負ける訳ないだろっ! 」
相当混乱しているみたいだな、もう一押しだ。
「なんならあんたも試してみるかい? 俺の強さってやつをよぉ。」
俺は拳を固めて見張りにつきつける。
なるべく強そうに、怖そうに構えて。
「ひっひぃ……っ! 」
恐怖からか腰を抜かしてその場で尻餅をつく見張り。
そして這いつくばりながら逃げようとする。
俺はそれを逃しはしなかった。
逃げようとする見張りの背中を思い切り踏んづける。
見張りはふげっ! と間抜けな声を漏らした。
「このまま俺はここを去る。お前は案内役だ。」
「ふ、ふげぇ……。」
俺は見張りを案内役、兼人質として、そのまま進むのであった。




