お前を……その……好きになってしまったんだ。……一目惚れって奴
「ん……んぅ。」
意識が覚醒してくる。
俺は目をこすって辺りの状況を確認した。
およそ四畳半の作りに前方には牢屋の鉄格子が見える。
どうやら俺は連行された後牢屋に幽閉されたようだ。
身体の方はまだ背中が痛むものの手錠や足枷などはされていない。
「おおっ! やっと目が覚めたようだぜぇ。」
牢屋の前に立っていたのは緑色の肌をしている男。
どうやら見張りのエイリアンのようだ。
「ここは……何処だ。」
俺は見張りのエイリアンに聞いた。
「ここは俺達宇宙海賊団の海賊船の中さ。」
どうやら俺は敵のアジトまで連れてこられたらしい。
海賊船の中という事は地球でもないな。
「しっかしお前も大変だよな。うちのボスに目をつけられるなんて可愛そうだぜ。……これからどんな目に遭わされるのやら。キシシッ。」
緑色のエイリアンが楽しそうに笑う。
くそっ他人事だと思いやがって。
だがこいつはなんとなくブライヤに通じるアホさが出ているので話をして情報を得ようと思う。
「お前のところのボスっていえば褐色の女だよな。」
「そうだ。マダンナ様は強くて美しい。最高の女さっ。巨乳だしな。おっと、俺が巨乳って言った事は内緒だぜ? なにされるかわからねぇからな。」
成る程、名前はマダンナで巨乳っと。
「で、そのマダンナさんが俺なんか捕まえてなにするつもりなんだ。自慢じゃないが俺は普通の人間以下の能力しかないんだぞ。」
「そんなの下っ端の俺が知るかよ。……けどまぁマダンナ様が幹部であるパイク様まで使ってお前を連れてきたんだ。相当な理由があるんだろうよ。」
理由は……わからずか。
しかしパイクがそんなに地位の高い奴だとは。
本当に何で俺なんかを攫ったのか理由がわからない。
先程言ったが俺は人並み以下の人間だ。
顔だってかっこよくないし運動もろくに出来ない。
そんな俺をなんだって宇宙海賊団のボスが狙っているんだか。
「おい。」
その時、何処凛々しい声が牢屋内に響き渡る。
「あっ! マダンナ様っ! 」
見張りのエイリアンが声の主に対して気をつけの姿勢をとり、敬礼をする。
「見張り、ご苦労。少しこいつと話をするから出ていってくれないか? 」
「はいっ。わかりました。」
見張りはスタコラと何処かへ行った。
変わりに現れたのは褐色で艶やかな黒髪の女、しかも巨乳だ。
間違いない、こいつが。
「ん? どうした? 私の顔に何かついているか? 」
「……あんたがここのボスか。」
「いかにもそうだ。私が宇宙海賊団のボス。マダンナ・グラハムだ。」
こいつが、俺を狙っている張本人か。
こうしてご対面出来たのもいい機会だ、なんで俺を攫ったのか直接聞いてやるっ!
「なんで俺なんかを攫ったんだっ!? 」
俺は一番知りたいことを叫んだ。
「ふむ、理由か……。」
マダンナは口元に指を置いて暫し考えるポーズをとる。
そして。
「り、理由はだな……。」
もったいぶったのかここで文を途切れさせる。
いや、違う。
もったいぶるというよりこれは……。
マダンナが身体をもじもじとさせて頬を赤く染めながら。
「お前を……その……好きになってしまったんだ。……一目惚れって奴。」
はっ?




