……私じゃ嫌だった?
パイクとの激戦が終わった後、俺達はニーナを抱えて家に戻りすぐ手当てをした。
エイリアンバスターは傷の応急処置などを心得ているらしくターニャが一人で止血したり包帯を巻いたりしてくれた。
ニーナもなんとか大丈夫なようだ。
その日の夜、俺はベットに潜り、暗闇の中ずっと考え事をしていた。
あの時ターニャが来てくれなくて本当に連れ去られていたら俺は一体今頃どうなっていたか。
ニーナが俺を守るためにどれだけ傷ついたか、どれだけ痛かっただろうか。
そして、妹を傷つけられたターニャの心はどれだけ辛かっただろうか。
色々な感情が俺の頭の中を駆け巡り、かき回していく。
俺が……俺が強ければ。
俺に自分を守る程の力があれば彼女達が辛い目に合うことなんてないのに。
俺にもっと力があれば。
無い物を嘆いても仕方がないのだがそれでも考えてしまう。
ガチャリっ。
そんな事考えていると部屋のドアが開く音が聞こえる。
こんな遅くに誰だろうか。
暗闇の中目を凝らして見てみると。
「希伊人……起きてる?」
そこに立っていたのはニーナだった。
頭に包帯を巻いていて痛々しいがそれ以外は何時も通りのほほんとしている。
「ニーナか、どうした?いっとくけどここは俺の部屋でお前の寝室じゃないからな。」
「うん……分かってる。」
そういうとよいしょと俺のベットに潜り込むニーナ。
「ちょっ!?だからここは俺の部屋なんですけどっ!?」
「だから……わかってるって。」
「じゃあ何で?」
少しニーナが間を置いてから。
「今日、希伊人に怖い思いさせちゃったから……。」
恥ずかしそうに布団で顔を隠して彼女はそう言った。
俺の為に彼女は添い寝してくれるというのか。
俺なんかよりもニーナの方がよっぽど怖い思いをしたというのに。
「……私じゃ嫌だった?」
布団からちょこりと顔を覗かせてニーナが。
「嫌ってわけじゃないけど。」
「ふふっじゃあ一緒に寝よっ?」
ぎゅっ。
布団の中で俺の手を握ってくる。
彼女から伝わってくる体温が優しく、温かく俺の心を癒し、先ほどの不安を取り除いてくれる。
「ニーナ、ありがとうな。」
俺はニーナにお礼を言った。
彼女は一瞬驚いたのか目を丸くしたが、その後ふんわりと笑ってから。
「……どういたしまして。」
俺はその優しい笑みを見て、目を瞑った。
ガチャリッ。
目を瞑った所でもう一度ドアが開く音が聞こえた。
「希伊人、その起きてるか……ってうわぁー!!!」
入ってきたターニャが行き成り絶叫する。
「わわわわっニーナと希伊人が同じベットでっはわわわわっ!!!」
「お姉ちゃん落ち着いて、これは私が希伊人を和ませようとして……。」
「そ、そうか。ぐすっ。我ながら気の利く妹だな。ぐすっ。うぅ……うわーんっ!!!」
突然泣き出して、その場に崩れ落ちるターニャ。
「お、おい。急にどうしたんだ。」
「だって、私が希伊人を……ぐすっ。私が……っ!ふえーんっ!!!」
子供みたいに泣きじゃくるターニャ。
どうしたんだ一体?




