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エイリアンバスターが裸エプロンで待機してるんだが  作者: 天近嘉人
ニーナブラウスは何時も眠たい
30/46

わ、私達はそんな淫らな仲ではないっ!

結局ターニャを家に置いたまま俺は先に家を出た。


 まだ春だからだろうか、俺の頬には冷たい風が当たり、その度に火照った顔を冷やしてくれる。


 「夢じゃないよな。」


 ポツンと独り言を呟いた。


 俺は本当にターニャとキスを……。


 脳裏に先程のシーンが浮かび上がる。


 俺とターニャの唇が重なり合う瞬間が。


 「だぁー!ちくしょうっ!」


 俺はその記憶を取り払うかの様に学校まで走った。



 

 その日の昼休み、俺は何時も通り図書室に来ていた。


 ターニャも遅刻ぎりぎりに学校へ着たが会話はなく、どこかぎこちない雰囲気が俺達に生まれていた。


 「あれ?今日は希伊人君一人だけですか?」


 俺達になにがあったか知らない友子が何気なく訪ねてくる。


 「あ、ああ。まぁな。」


 「ひょっとして旦那振られたんじゃないですかい?」


 「うるせぇブライヤ、枯らすぞ。」


 「ひでぇっ!?」


 ブライヤが冷やかしてきたが軽く一蹴。


 こいつ、次余計なこといったらマジで枯らしてやろうか。


 ガラッ。


 そんな時図書室の扉が開く音が聞こえた。


 元来この図書室は誰も来ない為恐らくターニャだろう。


 俺は気を引き締めドアから入ってきた人物を見てみると。


 「……こんにちは。」


 「ニーナっ!?」


 そこに立っていたのはターニャの妹、ニーナだった。


 彼女は銀髪の前髪をピンで留めてこの学校の制服を着ている。


 「なんでニーナがここに?」


 「私も転校生としてこの学校に来たの。」


 「そんなの聞いてねぇぞっ!」


 そう言うと彼女はちょこんと首を傾げて。


 「言ってなかったけ?でも先に行くからっていったような。」


 「ああ、そうだっけ。」


 確かにターニャに絡まれている途中にそんな事いってた気がするが……。


 「あの、ニーナちゃん?ってもしかしてターニャちゃんの妹さんとか?」


 「うん、そうだよ。」


 「やっぱり!何処か似てるもんねっ!」


 「ひゅー!姉妹揃って美人とはっ!旦那よかったですねっ!」


 「うるせぇ枯らすぞ。」


 「さっきから自分の扱い酷くねぇっすかっ!?」


 ニーナの登場で静かな図書室が沸き立つ。


 「お姉ちゃんと同じで綺麗な銀髪だねさらさらしてて気持ちいいっ!。あっ!そのヘアピン可愛いっ!」


 友子がニーナの頭を撫でながら。


 「……これはお姉ちゃんに貰ったの。私のお気に入り。」


 褒められたのが嬉しかったのか満更でもない表情を浮かべて照れる。


 「つか、なんでお前まで学校に着たんだ?」


 「それは、お姉ちゃんと理由は同じ、希伊人を守るため。」


 俺はそうかっと一言いってから背もたれに身体を預ける。


 まぁ理由を聞いて納得するし特に反論があるわけではないし。


 つか、俺を守ってくれる肝心のターニャがいないのだが。


 「……ところでお姉ちゃんは?」


 キョロキョロと辺りを見回し、ターニャを探すニーナ。


 「あいつならまだ来てねーよ。お陰で腹が減った。」


 「ふーん、そうなんだ。」


 ガラッ。


 再びドアが開く音が響き、一同それに振り返る。


 やってきたのは勿論彼女だ。


 「や、やぁ待たせたな希伊人。」


 ばつが悪そう入ってくるターニャ。


 そしていそいそと席に着くとこほんと咳払いを一つしてから。


 「ほら、お、お弁当を持ってきたぞ。」


 「お、おう。あんがと。」


 顔を逸らしながら渡されたお弁当を俺も視線があっちこっちに行きながら貰う。


 蓋を開けて弁当を食べていると、ターニャが身体をもじもじとさせながら。


 「きょ、今日は天気がいいな。希伊人。」


 「ああ。」


 「あ、あの今日の夕飯は炒め物でいいか?それともカレーとかの方がいいか?」


 「別にどっちでもいいけど……。」


 「そ、そうか……うむぅ。」


 

 くそっ気まずいっ!気まず過ぎるっ!


 「今日の二人とも何かちょっと変ですよ?」


 俺達に疑問をもった友子がそう聞いてくるがどちらも答えられず。


 「友子さん……ちょっと。」


 ニーナが友子を呼びこそこそと耳元で囁く。


 「ふえっ!?希伊人君とターニャさんがっ!?は、はわわわわわわっ!?」


 顔を真っ赤にしてその場にへなへなと力なく座り込む友子。


 「おいっ!ニーナっ!お前余計な事いってんじゃねーよっ!」


 「別に何もいってない。」


 ツーンと俺から顔を背けるニーナ。


 何だよ、こいつもしかして怒ってるのか?


 俺なんかしたかな?


 その後も独特な緊張感が広がる中、俺は弁当を食べる。


 「じーーー。」


 そんな俺とターニャを先程から見つめるブライヤ。


 見られていて居心地が悪い。


 「なんだよ、さっきから見つめてきて。」


 「いやね、二人の様子がおかしいなーっと思いまして。ほら何時もなら姉御が旦那にあーんなんてしてるのに。ほらっ自分達に構わず思い切りイチャついてくだせぇ。」


 「お前ほんとに枯らす」


 「わ、私達はそんな淫らな仲ではないっ!」


 バンっと机を叩き興奮気味に立ち上がるターニャ。


 「ちょっとターニャさん?」


 「べ、別に希伊人にああされたいこうされたいとか思った事などないからなっ!ほんとだぞっ!?」


 「姉御っ!落ち着いてくだせぇっ!」


 「うるさいっこの淫乱触手エイリアンめっ!」


 訳のわからない事を口走り遂には腕時計をサイコガンに変形させる始末。


 「大体私は希伊人を守るのが指名なだけあって好きとかそういう訳ではないからなっ勘違いするなよっ!?」


 「ちょっとっ!ストップっ!ストーップっ!」


 今にも暴発しそうなターニャを腕ずくで止めに入る。



 急にどうしたんだよこいつはっ!


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