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……希伊人をこれ以上傷つける奴は、この私が許さんっ!

 サイコガンを片手にキリっとサキュバーナを見据えるターニャ。


 「ターニャっ!」


 俺は腰が抜けそうになるのを必死に抑えて、脱げかけのズボンを引きずりながらターニャの方に駆け寄る。


 「希伊人、無事かっ!?」


 「あ、ああ。何とかな……。」


 「そうか。……私が来たからもう安心しろ。」


 そう言って俺の頭を軽く撫でてから、再び向きなおして。


 「貴様、インマール星人だな。私を小馬鹿にしたあげく希伊人を襲おうとするなんて……言語道断だっ!」


 「あらぁエイリアンバスターさん、貴方の慌てっぷりも中々可愛かったけど……今良い所だからさっきみたいに泣いて逃げてくれないかしらぁ?」


 「貴様ぁっ!」


 ターニャのサイコガンから閃光が発射される。


 「あらあらぁ、意外と手荒なのね。」


 しかしサキュバーナはさぞ簡単そうにそれをかわす。


 そして。


 「……貴方にはおしおきしなくっちゃ。」


 ドンっと地面を踏み込んだかと思うとまるで空間を切り裂いたようにターニャの傍に移動。


 「ふんっ!」


 「ぐふっ!」


 そのまま拳がターニャの腹部に襲い掛かる。


 「ぐ、うぅ……。」


 クリティカルヒットしたのかよろよろと一歩後ろに怯むターニャ。


 「クスクスっ得意のサイコガンも距離を詰められたら無意味なようね。」


  あざ笑うかのように拳をもう一発、そして二発、三発。


 

 猛ラッシュがターニャを殴り続ける。


 ターニャもガードをするのが精一杯で正に防戦一方だ。


 だがそんな防戦も終わりが近い。


 「くぅ……っ!」


 猛攻の中、段々とターニャの表情に曇りが見え始める。


 そして。


 「もらったぁっ!」


 ガードが甘くなった一瞬をサキュバーナは見逃さず、ターニャの顎目掛けて拳を振り上げた。


 ドギャっ!


 辺りに鈍い音が響き、二人の動きが止まる、そして。


 どさっ。


 「ターニャっ!」


 膝から崩れ落ちたターニャ、そのまま立ち上がる事が出来ない様だ。


 「あら、もう終わり?エイリアンバスターも大したことたいわね。」


 一仕事を終えた様にふぅーっと息を一つ吐いてから今度はその赤い瞳が俺を捉える。


 「……じゃあ、続きしましょうか。」


 「くそ、どうすりゃあ……っ!。」


 「クスクスっそんな恐い顔しないでぇ。ほらっ力を抜いてぇ。」


 すらりと伸びた腕が俺の肩を掴み、サキュバーナの唇がこちらに近づいてくる。


 


 ――あぁ、もう駄目だ。



 せめてもの抵抗としてギュッと瞳を閉じた。


 これが俺の今出来る精一杯のことだ。


 俺はこのまま精気を吸い取られ、干からびて死んでしまうんだろう。


 世の中にそれほど未練はない、ないのだが。


 もし最期に何か一つだけ出来るのなら。



 

 

  「希伊人!何をデレデレとしているんだっ!?私のあーんには最近はうっとおしいオーラ放っている癖にっ!」


 

 ふとターニャの言葉を思い出した。


 


 最期だというのに、俺の瞼の裏は両親ではなくターニャの顔を映し出したのだ。



  


 …………あいつにもっと優しくしてやりゃ良かったかな。



 「クスクスっいただきます。」


 サキュバーナの声が耳に響き、俺は覚悟を決めた。





 だがしかし。



 ガタリっ。


 何か音が聞こえてそれに無意識に目を開けてしまった。


 そのまま音の主に目をやると。


 「た、ターニャっ!」


 思わず声が出た。


 ターニャブラウスはゆらゆらと足取りはおぼつかないがそれでも立っていた、立ち上がったのだ。


 そして。




 「……希伊人に手をだすなぁぁぁぁぁっ!!!」



 ズドーンっ!!!


 ターニャのサイコガンが思い切りサキュバーナの後頭部を殴りつける。


 「ぐはっ!」


 怯んだ隙をつき、左足を振りぬく。


 スパーンと言う快音とともにサキュバーナは右に吹っ飛び塀に叩き付ける。


 

 そして。




 「……希伊人をこれ以上傷つける奴は、この私が許さんっ!」



 ドキューンっ!!!



 ターニャの右手から閃光が目を開けられない程の輝きを放ち、そして放たれるのであった。

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